2023年6月23日に公開された『リバー、流れないでよ』の感想です。
2分間きっかりのタイムリープを繰り返す人々の群像劇。
元々観る予定は無くてたまたま時間があったのでふらっと映画館に行ったんですが、非常に面白くて楽しめました。かなり"当たり"の映画に出会えたと思います。
以下、本作のネタバレを一部含んでいる場合がありますので予めご了承ください。
目次
基本情報
画像出典:公式Twitter(@river_europe)
- 監督:山口淳太
- 公開:2023年6月23日
- 評価:★3.5(最高★5)
京都の貴船の老舗旅館を舞台に、2分間のループに囚われてしまった人々を描いた群像劇。
製作はヨーロッパ企画。
感想
2分をループする群像劇
面白かった!!
というのがまずストレートな印象です。かなり狭い範囲を舞台に、登場するキャストも数えるほどしか出てこないのですが、どの人物もキャラクターが立っていて非常に魅力がありました。藤谷理子さん演じる主人公のミコトも可愛らしくて世界観とも非常マッチしたヒロインという感じでした。全体的に派手さは無いですが、完成度は高く、日本映画の可能性を感じさせるといった印象の作品です。最近は予算ドバドバCGバリバリのハリウッド映画ばかりだったので(そーゆうのも凄く好きではあるんだけども)、脂っこい料理に疲れた胃にすっと優しく入っていく日本料理って感じの映画だったと思います。
内容としては2分のタイムリープをひたすら繰り返す群像コメディ。この2分のループはそれぞれすべてワンカットで撮られていて、映画の大半の時間がこの2分ワンカットをひたすら繰り返すという内容になっています。この「2分間のループ」という題材にひたすらアイディアと情熱を詰め込んだ、という感じの良作です。ループものというと、主人公だけがループしていて周囲は「おいおい何寝ぼけてんだい?」みたいな感じになる話が大半というイメージがあるので、そもそもループの群像劇ものっていう題材自体が新鮮でした。「なるほど、こんな切り口もあるのか」と感心させられます。登場人物全員がループに囚われているので何より話が早い(主人公一人がループする場合は同じ説明を何度も繰り返したり、ループを重ねていくとしまいには説明シーンがカットされることもあったり)。2分というかなり短いスパンでループしているのに、テンポが良くて話の進みが早い。ひたすらループを繰り返しているのに飽きることなく観ていられました。かなりあっという間の90分だったと思います。
ヨーロッパ企画さんの作品は初めてでしたが、以前公開された『ドロステのはてで僕ら』や公演の方も観てみたくなりました。
舞台は京都・貴船
本作の舞台は京都の貴船。パワースポットとしても有名な貴船神社のお膝元です。登場人物はみんな「きぶね」と言っており、個人的には「きふね」の印象が強かったんですが、調べてみると神社の方は「きふね」で地名は「きぶね」ということなんですね。
過去何回か行ったことがあり、京都市街からはまあまあ遠くて行くの大変なのですが自然豊かで雰囲気もいい所なので個人的にも好きです。本作をみてまた行きたくなりました。
オチについて(ネタバレあり)
人によってやや賛否ありそうな本作のオチ。
完全にデウスエクスマキナな感じのぶっとびオチだったと思いますが、個人的には特にマイナスの感じは受けませんでした(むしろオチがわかった時吹き出してしまった)。多分そもそもそこが重要なんじゃなくてそこまでのプロセスを楽しむ作品なんだと思いますし、むしろこのぶっとび感が舞台演劇っぽいというか長編コントっぽいみたいなところがあって僕の好みでした。
総評
改めて本作の評価。
評価:★3.5(最高★5)
2分間のループという題材にアイディアと情熱を詰め込んだ良作でした。コメディ的な色もありますが、ゲラゲラ笑うというよりはところどころクスっと出来るところがあるって感じですね。
とにかくまずは『ドロステのはてで僕ら』を観てみたいと思います。