ゆめろぐ

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【映画感想】『沈黙の艦隊 北極海大海戦』




2025年9月26日に公開された『沈黙の艦隊 北極海大海戦』の感想です。


有名な漫画作品の映画化作品。ちなみに原作は未読。
2023年9月に公開された映画『沈黙の艦隊』から数えて2作目の映画作品ですが、その間にAmazon Prime Videoで配信されたドラマ版『沈黙の艦隊 シーズン1 〜東京湾大海戦〜』のストーリーを挟んでいるため、映画1作目⇒映画2作目だと話が繋がらないので注意。



【1作目及びドラマ版についてはこちら】
www.yumekichi-blog.com



以下、本作のネタバレを一部含んでいる場合がありますので予めご了承ください。





目次

 



基本情報


画像出典:公式Twitter(@silent_KANTAI)


 

  • 監督:吉野耕平
  • 原作:かわぐちかいじ
  • 公開:2025年9月26日
  • 評価:★3.5(最高★5)

 
かわぐちかいじによる同名漫画の映画化作品。
大沢たかおが主演兼プロデューサーを務め、防衛省・海上自衛隊が製作協力をしている。

ストーリーはAmazon Prime Videoで配信されたドラマ版『沈黙の艦隊 シーズン1 〜東京湾大海戦〜』のラストから続く内容となっており、東京湾を脱出してニューヨークの国連本部に向かう「やまと」とそれを阻止したい米軍艦隊との戦い、「やまと」を巡る日本国内の政治劇を描いでいる。


 

感想

まず総評としては前作よりもさらに面白かったです。劇場で観て良かったです。

事前にドラマ版を見ていったので、各キャラクターの立場や目的が良くわかっていたためストーリーもすんなりと入ってきました。特に政治パートでの色々な人の色々な思惑は過去作品から地続きになっている内容なので、本作から観てしまうと「?」となると思います。

まずなによりやっぱり潜水艦での戦闘シーンの映像は凄かったです。ビジュアル面はかなりお金をかけてしっかり作っているなって感じがしました。潜水艦ってどうしても密室劇になってしまうので絵が単調になってしまいがちだと思うんですが、その辺は潜水艦の外のシーン(特に本作では北極の流氷がかなり効果的に使われていた)や、両陣営の描き分け(本作では敵陣営の感情もしっかり深堀りしたり)なんかををうまく散りばめて映像が退屈にならないように作られていたと思います。あとはBGMも良かったと思います。本作主な戦闘シーンは前半の北極海と後半の大西洋での2回ですがどちらも見応え十分で大満足でした。

多分ですが今後ドラマ版のシーズン2が作られて、本作も前作同様にドラマ版の中で改めて描かれる、という感じになるんじゃないかと思っています。実際、ドラマのシーズン1の前半は映画第一作目に+αの映像を加えたもので、後半はそれに続く新たなストーリーという構成で、実質ドラマの方が「完全版」と言っていい内容でした。そうすると話の内容はドラマ版を見ればすべて理解できてしまうので、「じゃあ映画版見なくていいじゃん」と思われるかもしれませんが、戦闘シーンの迫力・演出といった観点では映画館の大画面と音響でしか味わえない部分も多くあったと思います。個人的には前作も本作も劇場で観れて良かったと思っています。


ストーリーも前述の通り過去作品を観ているので、各キャラクターの行動原理がすんなり入ってきてかなり入り込んで観れました。今回の政治パートは衆議院の解散総選挙をして「やまと」との関係について国民の是非を問うというものでしたが、ちょうど前半と後半の大海戦2つに挟まれる形で長すぎも短すぎもせずちょうどいいバランスだったと思います。戦闘のハラハラドキドキからは一休みをしつつ、政治劇・群像劇という人間ドラマ要素による「味変え」で、2時間強という長めの上映時間でも観客を最後まで飽きさせない工夫がされていました。

政治パートのテーマは国防・日米関係・憲法改正といったかなり重たいものですが、40年近く前の作品が原作とは思えないほど現在の日本の状況をかなり反映したテーマになっていました。そんな以前から日本の将来を正確に描いていた原作が凄いのか、原作を現代にマッチするように落とし込んだ脚本が凄いのか、両方凄いのか。

政治パートで際立っていたのはやはり本作から登場した津田健次郎さん演じる鏡水会代表の大滝が非常にいい味を出していました。ラストで次に繋がりそうな伏線を露骨に残して終わっていたので、今後の活躍も楽しみなキャラクターです。それと個人的には前作における米軍最大の良心とも言えるボイス司令官が本作でも再登場してくれたのは嬉しかったです。何気にドラマ版でもかなり好きなキャラでした。


あとはやっぱり主演の大沢たかおさんがとても凄かった。どう表現していいか語彙力が飛んでしまうぐらい凄かった。最近のXでは「キングダム面白おじさん」として扱われがちな所がありますが、ビジュアル・演技の説得力というか、画面からあふれ出てくる「絵力」みたいなものが凄かった。彼の海江田なくして本作はあり得なかったと言いたくなるぐらい、作品におけるプレゼンスを放ちまくっていました。あと単純にめちゃくちゃカッコいいです。


ということで本作は続きものとして前作以上に楽しめた良作になっていたと思います。劇場に観に行って正解でした。ついにニューヨークにたどり着いた「やまと」。この先、「やまと」は、日本は、そして世界はどう変わっていくのか、今後の展開に興味が尽きません。続編の情報が非常に楽しみです。元々はどこかのタイミングで原作を読んでおこうかと思ったんですが、逆に今は映像作品の完結までは情報を入れないで楽しみにしておこうと思っています。


【1作目及びドラマ版についてはこちら】
www.yumekichi-blog.com