PS4の『よるのないくに』をプレイしました。トロコンまでしたのでその感想です。
本作はコーエーテクモゲームスから発売されたかなり古い作品(2015年)です。発売当初にPS3版を買ったものの中途半端にプレイして放置していました。PS4版が中古で安く売られていたのを発見したので、せっかくなのでと思いトロコンまでクリアしました。
キャラクターは可愛いし3Dモデル等のビジュアル面は非常に良質、ただしストーリーやゲームシステムはかなり薄味、という印象の作品でした。
目次
製品概要

定価:6,800円(税別・据置機版)
機種:PS4,PS3,VITA,Steam
発売:2015年10月1日発売
ジャンル:美少女従魔RPG
プレイ時間:30時間
作品評価:60点
プレイ時間は1回目のクリアまでが約20時間、全エンディングを見てトロフィーコンプまでしたのが約30時間。
プレイヤーは邪妖を狩る聖騎士である半妖の少女アーナスとなって、「永久の夜」の訪れによる世界の終焉を防ぐために戦うアクションRPG。アーナスは永久の夜をもたらす「夜の君」の復活を防ぐために生け贄とされる聖女リュリーティスを守りながら、世界と彼女のどちらのために戦うべきなのか思い悩みながら、「夜の君」を巡る闘いに身を投じていく。主人公のアーナス、ヒロインのリュリーティスの二人の少女の友情、そしてそれを超えた愛の物語。
作品の特徴や感想
本作の特徴や気になるポイントなどを。
雰囲気はいいが全体的に非常に薄味な作品
破滅に向かっていく世界、近・現代のヨーロッパ風の建物やフィールド、キャラクターやボス等のデザインといった全体的な雰囲気は非常にいいゲームだと思います。
また、主人公アーナスとヒロインのリュリーティスが常に百合百合しているので、そういったジャンルが好きな人にはそこもポイントになるかも。ただし、そこまで露骨だったりくどい表現も無いので、自分のように百合要素にあまりなじみが無くても違和感なく遊べました。主人公アーナスのキャラクターが可愛いと男らしいがちょうどいいバランスで同居していたのが良かったんじゃないかと思います。逆にリュリーティスは見た目も中身も完全に"ヒロイン"という感じ。
こういった雰囲気の世界観やキャラクターデザイン(ビジュアルも中身も両方)は好きな人には結構刺さると思います。ただ、それ以外については正直"全体的に非常に薄味なゲーム"という印象が強かったです。決して悪くは無いんだけど人に強く勧めるほどの決め手には欠ける、というのがトータルの評価でした。
ゲームシステム
ゲームシステムは割とありがちなアクションRPG。
拠点となる「ホテル・エンデ」で装備や従魔(後述)の準備を整え、フィールドマップに外出して戦闘・探索・イベントの進行などを行ってストーリーを進めていきます。
アクション操作ボタンは小・中・大の攻撃と回避というかなりわかりやすい操作性。ある程度はボタン連打で振り回していても進めるので、アクションがそこまで得意な人じゃなくてもある程度サクサク進めると思います。イメージ的には『無双系』とか『閃乱カグラ』とかに近いイメージの戦闘。武器は基本の剣、短剣、銃、戦槌、魔剣ヨルド(長剣)と、ストーリーが進むごとに解放されていって戦い方にもバリエーションが出てきます。個人的にはアーナスのアクションについてはジャンプが無いのがなれるまで少し違和感があったかな。
もう一つ重要な要素がアーナスに付き従う従魔(セルヴァン)。
オトモとして一緒に戦ってくれる妖魔で、同時に最大4匹まで召喚して共に戦ってくれます。従魔には攻撃型や魔法型、回復型等のさまざまなタイプがあり、4匹のデッキを(スキルを解放していくことで)最大で4セット、最大16匹を連れていくことができるようになります。この従魔の編成によってかなり戦闘の仕方や難易度が変わって来るので、本作の戦闘システムのキーとなるポイントとして結構面白かったと思います。
また、戦闘中にゲージを貯めることによりアーナスを変身させることができます。変身は4種類(+隠し1種類)用意されており、従魔のデッキの構成によって変身できる形態が変化するので、ここでも従魔が戦闘に置いて重要な要素になっています。
ただ、戦闘システム自体は色々と工夫があっていいと思うんですが、基本的にはホテルでイベントを見て出撃、指定のマップの奥まで進んで時にボスと交戦、を繰り返すことになるので、全体的なゲームプレイとしては正直結構単調でだんだんと飽きてしまいました。そこが前の項目で”薄味”と評した要素の1つになっています。
シナリオも薄味
シナリオも結構薄かった印象。
掘り下げていけば結構面白い世界観や設定だと思うんですが、ゲーム内ではあまりそれが活きているようには見えなかったと思います。結構説明不足の部分も多く、考察の余地を残してあえて説明していないというよりは「描写しきれなかった」という感じに見えてしまいました。
登場キャラクターもアーナスとリュリーティスの他にはサブキャラが数名ぐらい。特にせっかくビジュアル面がいいのに女の子のメインキャラクターが主人公アーナスとヒロインのリュリーティスと敵陣営に1名ぐらいしかいなかったのが残念でした。
この辺も前述のゲームシステムと併せて、プレイの後半で「退屈だな」と感じてしまった要素だと思います。
ビジュアル面がいい
本作の一番の良かったポイントはやはりビジュアル面。
そもそものキャラデザも非常にいいですし、3Dモデリングも途中10年前の作品ということを忘れそうになるぐらい主にキャラクターのビジュアルは良かったと思います。
このクオリティのモデリングで美少女が百合百合するというのだけもキャラゲーとしては中々の高ポイントになると思います。また、アーナスの変身フォーム5つもそれぞれいいデザインで演出含めて見応えがありました。
ただ、だからこそ、もう少し別のサブキャラだったり、アーナスの衣装チェンジだったりがあったらもっと良かったのになあと思います。
BGMがいい
もう一つ本作の良かった所としてBGMが全体的にハイクオリティで聞いていて飽きませんでした。
各ボスの専用曲などもあり、個人的には蒼血伯爵ロジエ戦のBGMが好きでした。
初回限定のコレクションボックスにサントラが入っていたのでちょいちょい聞いています。
トロフィーコンプについて
今回トロコンまでプレイしました。
本作は次項に詳細を記載しますがマルチエンディングとなっています。ですが、本編クリア後に他のエンディングも見ることができるので、周回プレイをする必要なくトロコンが可能になっています。また、特に時限トロフィーも無いので、最初のエンディングまでは自由にプレイして、クリア後の要素をこなしつつトロコンを目指すというのがいいと思います。
ただ、一部非常に面倒な作業要素としか思えないトロフィーがありましたので、できることなら初回プレイの時点からこれだけは意識しておいた方がいいです。
それは"依頼を300回達成した"というもの。
依頼はこの手のゲームにはよくある「〇〇の邪妖を〇匹倒せ」「特定の場所に行け」といったクエスト要素ですが、300回はあまりに多い。初回プレイから依頼は意識してこなしていましたが、1度目のクリアと100回達成が同じぐらいでした。プレイ中達成回数を確認する方法は無い(これも非常に不親切)ですが、100回達成のトロフィーがあるので、これが大体初回クリア時と同じくらいのタイミングでした。
依頼を意識してプレイしてもなお1回目のクリアでまだ1/3なので、残りのエンディングを見たり他のトロフィー集めと並行したりしたとしても、このトロフィーが作業として最後確実に残るんじゃないかと思います。ここはもう少し考えた数字にしてほしかったです(100回達成まででよかった)。
エンディングの種類(ネタバレあり)
本作は全部で5個のエンディングが用意されています(通常エンド3種類、特殊エンドが2種類)。
初回プレイではリュリーティスの好感度次第で通常エンド3つのどれかとなり、1回クリアするとエクストラエンドに進むことができるエクストラシナリオが解放されます。さらにエクストラエンドをクリアするとリュリーティスの好感度を変更できるようになるので、周回プレイをしなくともすべてのエンディングを見ることができるようになります。ちなみにトロコンするのであればすべてのエンディングを見る必要はありません(通常エンド1回+エクストラエンドでOK)。
内容についてはネタバレのため白文字にしています。
1.通常エンド①
条件:リュリーティスの好感度:低でクリア
内容:新しい「夜の君」となった教皇ルードゲートは自身の存在を維持するためにリュリーティスの身体を奪おうとするがアーナスによって倒される。ルードゲートに魔剣ヨルドを譲り、世界の終わりをリュリーティスと共に過ごすことにしたアーナス。そして世界は明けない夜に包まれる。。
2.通常エンド②
条件:リュリーティスの好感度:中でクリア
内容:ルードゲートを撃破したアーナス。ルードゲートの蒼い血を引き受け、新たな「夜の君」となるリュリーティス。アーナスはリュリーティスの血を吸って一緒に闇に墜ち、共に永遠の夜を生きることを選ぶ。そして世界は更けない朝に包まれる。
3.通常エンド③
条件:リュリーティスの好感度:高でクリア
内容:アーナスをかばって蒼い血を浴びてしまうリュリーティス。アーナスをリュリーティスの蒼い血を吸い出し、リュリーティスの心から自分のすべてを消すように願う。1年後、帰ってこない二人。猫の姿の「夜の君」とともに旅立つアーナス。
4.エクストラエンド
条件:エクストラシナリオをクリアし、アーナスのレベル9以上にしてラスボスを倒す。
内容:アーナスをかばって蒼い血を浴びてしまうリュリーティス。アーナスをリュリーティスの蒼い血を吸い出し、リュリーティスの心から自分のすべてを消すように願う。1年後、アーナスの行方は知れず、リュリーティスは記憶を失っているが、邪妖に襲われたリュリーティスの危機を帰ってきたアーナスが救い、二人は再会を喜びあう。通常エンド③の別展開のようなエンド。多分これがトゥルーエンド。ちなみにこのエンドはリュリーティスの高感度を5段階の上から2つ目にすることで再度見ることが可能。。
5.おまけエンド
条件:リュリーティスの好感度:最高(5段階の一番上)
内容:リュリーティスをかばって蒼い血を浴びてしまうアーナス。蒼い血によって「夜の君」となってしまうアーナス。リュリーティスから自分の記憶を消し、彼女の前から去っていく。一年後、記憶を無くしたリュリーティスがホテル・エンデを訪れる。支配人はおとぎ話のような夜の王との戦いの物語を語って聞かせる。。
総評
改めて評価をもう一度。作品評価:60点
キャラクターのデザインやモデリングについてはさすがコーエーテクモといった感じで良かったです。
しかし単調なゲームシステムや深堀り不足のシナリオから、かなり薄味のゲームという印象になってしまいました。
続編『よるのないくに2 〜新月の花嫁〜』もあるので、せっかくなのでそちらもプレイしようと思います。

