久々にガンダム系の読み物。
タイトルは長いので省略して記載していますが正式には『機動戦士ガンダム ジオン軍事技術の系譜 ジオン軍の闘争 -U.C.0079-』。
『ジオン軍の失敗』、『ジオン軍の遺産』に続くシリーズ3作目。
Amazonでは「コミック」という文字が見えますが、漫画ではなく普通に活字の本なので注意。
機動戦士ガンダム ジオン軍事技術の系譜 ジオン軍の闘争 -U.C.0079-
- 著者:岡嶋裕史
- 出版社:KADOKAWA
- 発売日:2023/12/26
- 頁数:271ページ
- オススメ度:☆☆☆☆
『ジオン軍の失敗』『ジオン軍の遺産』の続編。MSの開発技術、生産体系等に焦点を置いていた過去2作に対し、今回は一年戦争におけるジオン軍(主にザビ家)の戦術・政策にスポットが当てられた作品になっています。そのため今回は技術書では無く、「U.C.200年ぐらいに書かれた歴史書」という体裁で書かれています。各章ではブリティッシュ作戦、ソロモン会戦、ア・バオア・クー会戦等の一年戦争の大きな戦いにスポットを当て、その中で「当時のジオン軍やザビ家にはどのような思惑があってそのような行動に至ったのか」を読み解いていくという流れになっています。
これまでの2作品と同様に筆者の考察や想定で書かれている部分もあるので、ある種「ガンダムの同人誌」的なノリで読むのがいいと思います(実際に本作も「後世の歴史家が一年戦争を考察する」といった体で書かれているので)。一年戦争時代の背景を深堀りする作品として、いちガンダムファンとして非常に楽しく読めました。ガルマやデギン公王が再評価されているような内容も新鮮で楽しめました。
個人的には技術系メインの過去2作も良かったですが、「ガンダムワールドを広げる読み物」としては本作の方がより好みに近かったと思います。改めて初代ガンダムを見直したくなりました。
<メモ・知らなかった言葉>
・キルゾーン
戦場において、多くの死者が出ることが予想される地帯。拠点防衛側の観点では、敵を仕留めるための準備がしてある場所。
・策源地
戦場の後方にある、作戦計画をたてたり補給物資を集積したりする根拠地。作中におけるア・バオア・クー、ジャブロー等。
・コンティンジェンシープラン
緊急事態が発生した際に、悪影響を最小限にとどめるために実施する施策や行動指針を定めた計画。
・縦深作戦(縦深攻撃)
前線の敵部隊のみでなく、後方に展開する敵部隊までを連続的かつ同時に攻撃することで敵軍の防御を突破し、その後に敵軍を包囲殲滅しようとする攻撃手段。
・衆寡敵せず(しゅうかてきせず)
多数に対して少数では勝ち目がない。連邦対ジオンの戦いは本来こうなるはずだった。
・無謬(むびゅう)
理論・判断などに誤りが無いこと。
・アジテーター
扇動者。大衆を扇動する人。