2024年1月26日に公開された『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の感想です。
待望の劇場版SEED。前作にあたるテレビシリーズの『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』から約19年もの時を経てついに公開されました。実は個人的にはあまり期待をしていなかったんですが、非常に面白かったです。『ガンダムSEED』の続編映画としては求められていることに対して100点満点の内容といってもいいものだったんじゃないかと思います。劇場に観に行って良かったです。
以下、本作のネタバレをがっつり含んでいますので予めご了承ください。
目次
基本情報
画像出典:公式X(@SEED_HDRP)
- 監督:福田己津央
- 公開:2024年1月26日
- 評価:★4.5(最高★5)
テレビシリーズ『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の2年後(C.E.75年)が舞台。テレビシリーズの直接的な続編になっています。
過去作を観ておいた方がいいか
過去のテレビシリーズ『ガンダムSEED』及び『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の続編にあたる作品なわけですが、過去のSEED系作品2作は観ておいた方がいいと思います。
キャラクターの関係性や世界観、世界情勢などは過去作視聴済みであることを前提とした造りになっているので、絶対に観ておいた方がいいです。
「テレビシリーズ2作を全部観るのは大変」という場合は、映画数本(『SEED』は3本、『DESTINY』は4本)サイズにまとめられた総集編のスペシャルエディションもあるので、SEED系未視聴の場合は最低でもそれは観てからの方がいいと思います。
感想
面白かった!!
まずは面白かった!!
冒頭にも書きましたがとにかくよかったです。あまり期待していなかったことを差し引いても、SEEDの続編として期待される100点満点の内容を提示されたといった感想です。
話の流れ自体はかなりベタというか王道というかといった感じで、「新しい敵が登場⇒完膚なきまでに叩きのめされる⇒新機体でリベンジ・大勝利!!」といった王道の流れにキララクのすれ違い・キラの苦悩・時を経て成長した仲間達の姿、といった要素を入れたお決まりのパターンという感じでした。しかし、20年近くファンを待たせてきたSEEDの完結編(になるかはわからないけど)としてはこれ以上どうしようもないと思うし、下手に変化球な内容だったらかなり批判されたんじゃないかと思います。多分多くのファンが「俺たちが求めていたSEEDの続編はこれだよ!!」と言える内容になっていたと思います。
僕もいちガンダムファン、いちSEEDファンとして大満足と言える作品だったと思います。
世界観はSEEDお馴染みの地獄
前作の2年後の世界はどうなっていたかと言えば、SEEDお馴染みの永遠に終わらない戦いを繰り返している状況。前作でデュランダル議長を妥当しデスティニープランを否定した結末へのアンサーだと思うとやはりしんどい世界です。結局は何も解決せず、ナチュラルとコーディネイターの確執と戦いをあおるブルーコスモスという初代SEEDから変わらない構図です。
正直個人的にはSEEDの世界ってガンダム各作品の中でもかなり上位にくるレベルで「戦いの終わりが見えない」世界だと思います。種族間での怨嗟が根底にある戦いであり、ナチュラルかコーディネイターどちらかが根絶やしになるまで永遠に戦い続けそうな結構絶望的な世界だと思っています。各ガンダムシリーズのなかでサンダーボルトの次ぐらいに行ってみたくない世界ですね(大量殺戮兵器にモブキャラが虐殺される描写エグいし)。
そんな終わらない戦いの中でキラやラクスも疲弊・苦悩してすれ違っていく、というところが本作の導入になるわけなので、SEED作品の続編としては非常に自然ですし過去作を観ておかないと世界観が理解できないというわけです。
MSについて
MSについては新フリーダムも新ジャスティスも正直そこまで好みのデザインではなかったんですが、作画に気合が入っていたこともあってかやっぱり動いているのはカッコいいですね。イモータルジャスティスのパイロットがシンだったのはまず冒頭ちょっとしたサプライズでした。
正直ライジングもマイティも含めて新フリーダムは個人的には微妙かなと思っていて、フリーダムはやっぱり一番最初のデザインが完成されすぎていて、強化発展機をつくろうとするとどうしても蛇足な部分のあるデザインに感じちゃいます(ストフリのときから感じてた)。
あとはやっぱりズゴックのインパクトですね。鑑賞前にXの方でズゴックが話題になっていたので何のことかと思ってました(ネタバレはなるべく回避してた)が、本編を観てズゴックが登場した時には危うく「これか~」って声が出そうになりました。本作を観て今一番プラモが欲しいのはズゴックですね。∞ジャスティス弐式の方はプラモの予約がすでに開始していましたが、外壁として装着可能なズゴックがプレバンかなんかで出てくれないかな・・・。
キャラデザはちょっとイマイチ
本作で一番イマイチに感じた所はやっぱりキャラデザだったと思います。言葉を選ばずに言えば「正直みんな劣化してない?」というのが情報を見た時の第一印象で、鑑賞後もそこはあまり変わりませんでした。てかあの唇が最後まで違和感だった。
なんかキャラの等身がおかしいとことか中割りみたいな顔でつったってるシーンとかもあったりして、メカの作画に比べてキャラに関しては全体的にイマイチだったかなと思います。
人間性を取り戻した(?)キラとラクス
『DESTINY』での悟りきってしまったようなキララクってあんまり好きじゃなかったんですが、本作ではちゃんと人間らしい部分を取り戻していて良かったです。感情を出していじけたり喚いたりするキラを見ると初代SEEDの頃を思い出します。キラとアスランの殴り合いも良かったですね。
結局はすれ違っていったこの二人が最後にお互いに愛を確かめあう話だと思っているので、二人の人間性が久々に(?)垣間見れたのは良かったです。最後は二人の乗った機体が合体してフリーダムがパワーアップからの大勝利。ベタベタかもしれないですが、「これでいいんだよ、これで」といった感じだと思います。
輝いていたアスラン
アスラン輝いていた!!過去一番輝いていた!!
まずはズゴックに乗っての衝撃の登場、そして腑抜けたキラに親友としてカツを入れる、そしてズゴックの中から現れるジャスティス。心を読んでくる相手に対してエロ映像を送りつけることで攻略するギャグなのか真面目なのかよくわかんないシーンもGOOD(笑)。アスランは過去いちの大活躍でした。正直『DESTINY』あたりではヘタレコウモリ野郎みたいなイメージでしたが本作で完全に株を上げ直したといった感じでしょうか。
ちなみにメイリンじゃなくてカガリとヨリ戻したの?
シンとデスティニー
前作のラストでなんとなくキラと和解したみたいな感じになったシン。その後どうなったのかと思ってましたが、キラの部下(?)として慕っているみたいな感じになってました。キラとアスランの殴り合いを止めようとして(というかキラをかばおうとして)キラについでみたいに殴られたり、ルナを脅かして往復びんたされたり(100%シンが悪い)、相変わらずよく殴られているイメージがある人です。
前半はキラの子分で噛ませポジみたいになっちゃってるかなーと思ってましたが、やっぱりなによりも終盤でのデスティニーでの無双シーンは激アツでした。個人的に本作のバトルシーンで一番印象的なポイントだったと思います。前作ではかなり不遇な扱いだったデスティニーでしたが(主人公機なのにね)、本作かなりカッコよく描いて貰っていて良かった良かったという感慨深さにも似た感情があります。久々にデスティニーのプラモ作りたくなりました。
ステラがちゃんとシンを守っているという描写があったのも良かったです。
蚊帳の外のルナマリア
相変わらず本筋からは蚊帳の外の感じのルナマリア。結構みんな大変なことになっている中やることないからシャワー浴びてサービスシーンしてたのは面白かったです。あまり本筋に入り込みすぎて撃墜なんてされても困るのでまあいい感じのポジションに収まったという印象ですね。
「射撃が苦手」でおなじみのルナですが、まさかの核ミサイル狙撃成功に心のなかで「お~」となりました。が、2発目のミサイルには多分みんな「当たんねーんだろーなー」とか思いながら観ていたと思います(笑)。
新キャラ・アグネス
本作から登場した新キャラクターのアグネス。雑に言うと「嫌な女」「痛い女」という感じの役回りのキャラですが、尺の問題かそこまで活かしきれていないような印象もありました。ただ、最後のルナマリアとの女の戦いみたいなの(しかも本筋がとんでもないことになっている中で)は見応えあって良かったです。
そして声優さんが桑島法子(フレイ・ナタル・ステラを担当)さんということもあって注目されていたのはやはりその行く末。多くの視聴者が注目する中、四度目の正直と言わんばかりに見事に生存。もし仮に続編が作られるならどんなポジションになっているのか気になるキャラクターです。
BGMがいい
やっぱりSEED系作品はBGMがいいですね。
本作新規の曲はもちろん、聞き覚えのある懐かしいBGMや楽曲が流れてくると嫌でもテンションが上がります。
エンディングのSee-Sawの『去り際のロマンティクス』も作品にあってて素晴らしかったと思います。帰りの電車で購入してDLしました。
ぶっちゃけ何も解決していない
上の方で「SEED世界は戦いの終わりが見えない地獄」と書きましたが、本作終了時点でも結局何も解決はしてませんでした。言ってみれば新しく出てきた敵を倒しただけなので。個人的には「全体的な部分でもある程度の決着を付け、元々戦いを望んでいなかったキララクはシンたちに平和を託して引退して穏やかな日々を手に入れる」みたいなラストを妄想していたので、結局この後どうするみたいな部分が描かれなかったのは意外でした。ラクスの出生の秘密についても詳しくは触れられなかったので、まだまだ続けるんですかね。続くならそれはそれで楽しみですが、今回かなり綺麗に終わったのでそのままにしておいて欲しい気もして複雑なとこです。
総評
改めて本作の評価。
評価:★4.5(最高★5)
面白かったです。何度もいう形になりますが、SEEDの続編としては100点満点の映画だと思います。キャラデザとか細かいつっこみ所はあるもののそんなものは些末なことで、「これだよ見たかったのは!!」と大きな声で言える作品だったと思います。
久々に過去のSEED作品も観直したくなりました。