ゆめろぐ

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【読書感想文】大正浪漫 (YOASOBI『大正浪漫』原作小説)




久々の読書感想文です。
YOASOBIの楽曲『大正浪漫』の原作となった同名の小説(元のタイトルは『大正ロマンス』)を読みました。小説より先に曲の方を聞いてすごく良かったので小説の方も読んでみたいと思ってポチりました。




大正浪漫 (YOASOBI『大正浪漫』原作小説)

大正浪漫 YOASOBI『大正浪漫』原作小説

  • 著者:NATSUMI
  • 出版社:(株)双葉社
  • 発売日:2021/9/19
  • 頁数:201ページ
  • オススメ度:☆☆☆☆


本作は「夜遊びコンテスト vol.2」大賞受賞作の『大正ロマンス』に加筆修正を加えて出版されたもの。YOASOBIの楽曲はすべて原作となる作品があるということは知っていましたが、本作は既存の小説ではなくてそのためのコンテストの受賞作だったみたいです。


2023年の現代を生きる少年・時翔の元に届いた不思議な手紙。それは100年前の大正の世を生きる少女・千代子からのものだった。お互いの生きる時代を言葉で伝えあううちに次第に惹かれあっていった2人だったが、ある日時翔は千代子の生きる時代にあの関東大震災の日が迫っていることに気付き…。というお話。



普段あまり恋愛小説は読まないんですが、本作はかなりすんなりと読むことができました。200ページと少なく1ページ辺りの文字数も少ないので短編小説に近い感覚で読める作品だったと思います。良くも悪くも比較的軽い内容で、時間のある休日にカフェかなんかでサクッと読むのに適していたと思います。実際2時間ぐらいで読み終えることができました。


時を越えた恋というのはSFテイストのドラマ・恋愛作品では比較的ありがちで正直もう擦り倒された設定かなとは思いますが(最近だと新海誠とかその辺の名前が浮かびそうな感じ)、ヒロイン千代子の生きる大正時代が近代日本の歴史の中でも激動の時代であるというのが物語や読む人の感情にちょうどいい感じの起伏を生んでいたんじゃないかと思います。劇中でも描かれていた関東大震災が1923年、そしてその10数年後には太平洋戦争と、千代子は本当に激動の人生を生きたんだなぁとしみじみ感じます。最初の1ページを読んだときに主人公時翔の生きる時代が2023年の1月であることが書かれていたのが印象的でしたが、読み終えた今になって本作が「100年を隔てた恋の話」であることを考えると、物語の舞台は絶対にその年じゃないとダメなことがわかるわけです。それを狙った訳ではなく読んだタイミングは本当にたまたまでしたが、2023年の最初に読む本としてはこれ以上に適したものは中々ないんじゃないかとすら感じます。



僕はYOASOBIの曲の方を先に聞いていたのであらすじは完全に曲の歌詞の通り。「あーこのセリフ歌詞にあったな~」なんて考えながら読んでいきましたが中々新鮮な感覚でした。個人的にはそれでも十分楽しめましたが、あまり物語の内容を事前に知りたくない人は歌は読む前に聞かない方がいいかも。


本作を元にしたYOASOBIの曲『大正浪漫』もすごくいい歌なので聞いたことが無い方は一度聞いてみるのをおススメします。MVのアニメーションもすごくいいのであわせておススメです(YouTubeで公式で見れます)。


YOASOBI「大正浪漫」Official Music Video - YouTube