色々と話題になった映画『大怪獣のあとしまつ』がアマプラに先行配信が来たのでやっと観ました。料金は500円です。
まず先に言っておこうと思いますが、出演している俳優さんたちは全体的に良かったと思います。この映画それ以外に褒める所が無いです。なので以降酷評のみになります。また、ラストの展開を含むネタバレがありますので未視聴の方はご注意ください。というか、未視聴の方はそのまま一生観ないのが一番だと思います。
目次
基本情報
- 公開:2022年2月
- 評価:★0.5(最高★5)
【ストーリー】
人類を未曽有の恐怖に陥れた大怪獣が、ある日突然、死んだ。
国民は歓喜に沸き、政府は怪獣の死体に「希望」と名付けるなど国全体が安堵に浸る一方で、河川の上に横たわる巨大な死体は腐敗による体温上昇で徐々に膨張が進み、ガス爆発の危機が迫っていることが判明。
大怪獣の死体が爆発し、漏れ出したガスによって周囲が汚染される事態になれば国民は混乱し、国家崩壊にもつながりかねない。終焉へのカウントダウンは始まった。
しかし、首相や大臣らは「大怪獣の死体処理」という前代未聞の難問を前に、不毛な議論を重ね右往左往を繰り返すばかり…。
絶望的な時間との闘いの中、国民の運命を懸けて死体処理という極秘ミッションを任されたのは、数年前に突然姿を消した過去をもつ首相直轄組織・特務隊の隊員である帯刀アラタだった。そして、この死体処理ミッションには環境大臣の秘書官として、アラタの元恋人である雨音ユキノも関わっていた。
果たして、アラタは爆発を阻止し、大怪獣の死体をあとしまつできるのか!?
そして彼に託された本当の〈使命〉とは一体――!?
Amazon商品ページより引用
とにかく面白くない
これにつきる。
とにかくギャグが本当に面白くなくて寒い。失笑以外になにもわいてこない寒いやりとりを2時間延々と見せられるのは正直苦痛でしかない。そしてちょいちょい出てくる下ネタが下品以外の何物でもなく全く笑えない、不快。下ネタについては小学校ぐらいの子供むけって感じのレベル。実は子供向け特撮映画だったのかもしれないが、だとしても本作は「子供向け」ではなく「子供騙し」レベルの内容。あのキノコのシーンとか本当に面白いと思ったのか?
登場人物(特に政府の人間)が基本バカしか出てこない。いわゆる「会議シーン」はバカが笑えないギャグを延々だらだら繰り返しているだけなので、『シン・ゴジラ』のように未曽有の困難に直面した国・人々の群像劇を期待しているとがっかりすると思う。『シン・ゴジラ』の中にも「バカな政治家・無能な政治家」みたいのは出てきていたけど、あれは賢い人間や正しい考えの人間もいる中でのキャラクターだから活きている。『シン・ゴジラ』は「東日本大震災とその復興のメタファー」なんて言われていて、本作もそういった要素(+世界で蔓延しているアレも)を思わせる部分もあったけれども、そうだとするならばこのふざけ具合は不愉快で不謹慎でもある。
逆に『シン・ゴジラ』とは真逆でシュールなギャグに徹したコメディ映画を目指したというのであれば、残念ながら肝心のギャグ部分が全く面白くないので救いようがない。ちょいちょい出てくるパロディのような所も、全編通して寒いこの映画のなかで出されても結局寒くしか映らない。中身のない映画にパロディだオマージュだと他所からネタを借りてきたところで、それは何の評価点にもならない。
最低の脚本・最低のラスト
ラストがひどい。作った人のプライドの欠片も感じない、これまでの展開を全て無意味にするブン投げラスト。投げっぱなしのラストすべてが悪いとは思わないけど、本作のは過去一番ひどかった。序盤から「デウス・エクス・マキナ」という言葉をちょいちょい出してこのラストを匂わせていたけれど、これを「序盤から入れていた伏線を見事に回収したでしょ(ドヤッ」とでも思っているのなら本当に失笑。作り手としてのプライドと責任の放棄にしか感じない。このラストではなく何かしらの決着をつけて終わっていれば「平凡な駄作」で終われたかもしれないが、このラストが本作を「世紀のゴミ映画」にする決定打になってしまった感じがする。
前項の寒い展開も含めて、総じて本作は脚本がひどい。過去観てきた映画の中でもワーストにひどい。なんか製作者が「思っていたより伝わらなかった」みたいな感じで観る側を批判しているとも取れることを言ってちょっと炎上してたけど、安心してください、しっかり余すことなくつまらなさは伝わっています。あのクソラストが百万歩譲って「結局何も変えられない政治・社会への風刺」だったとして、そこまでの約2時間弱の積み重ねが全くないから何の重みもないペラッペラな投げ逃げにしか見えない。
予告が面白そうだったのがいけなかった
多分本作一番の問題はこれだと思う。
題材としては悪くないし、実質『シン・ゴジラ』の続編的な作品を思わせる予告編は確かに面白そうだった。期待度が非常に上がってしまったのが何よりの問題だった。期待に反して、予告に全振りしただけの映画だったというオチが低評価の嵐を生んでしまった。
高級フランス料理を期待して食べに行ったら残飯が出てきて、高級フレンチと同じ料金を取られた。って感じ。そりゃ酷い評価にもなるよね。
今回僕はアマプラで500円でみたので耐えられた(途中退屈でもスマホ見れたし)が、これを1900円払って劇場で観ていたらもうさらに数倍ボロクソに言っていたかもしれない。
まとめ
既に観てた多くの皆さまの言われておたとおり、本当に酷い映画でした。
個人的な邦画ワーストだった『風俗行ったら人生変わったwww』に並ぶぐらいの酷さだったと思います。唯一褒められる所があるとしたらそもそもこれを世に出そうと思った度胸とかでしょうか・・・。
こんなのが『アベンジャーズ:エンドゲーム』や『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』などと同じ金を取っているという事実が、どんなホラー映画よりも恐ろしいホラーでした。ちょっと日本映画の料金体系見直した方がいいんじゃないでしょうか。