ゆめろぐ

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【映画感想】『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』




2022年6月3日公開の『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』の感想です。


ククルス・ドアンの島と言えばかつては「知る人ぞ知る初代ガンダムの名作エピソード」と言った感じでしたが、映画化が発表されたときは「マジで!?」と思いました。どれだけファンの中で評判が良くてもあくまでガンダムの全43話のうちのたったの1話(しかも物語の本筋には関係ない)。少し「古参ファンに媚びすぎ感」を感じてしまうチョイスに期待3割・不安7割といった感じでした。


ただ、実際に観てみた感想としては思っていたよりも面白かったです。ガンダムをはじめとするメカも非常にカッコよく描かれていて、それなりに楽しめた作品だったと思います。



以下、本作のネタバレを含んでいる箇所がありますので予めご了承ください。






目次

 


基本情報


画像出典:機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島 公式Twitter(@g_cucuruzdoan)
 
 

  • 監督:安彦良和
  • 公開:2022年6月
  • 評価:★4(最高★5)

 

テレビシリーズ『機動戦士ガンダム』の中の第15話「ククルス・ドアンの島」をリメイク・再構築した作品。「ククルス・ドアンの島」はストーリー本筋とは関係のない単発回で、後の劇場版総集編や安彦良和によるコミカライズ『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』でもカットされている。ただ、番外編的な扱いではありながら良エピソードとしてファンからの人気も高かった。また、作画がちょっとおかしい所が多々あり所謂「作画崩壊回」としても有名。


本映画は本作の監督でもある安彦良和によるコミカライズ『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の世界観をベースとしており、テレビ版とは一部設定や登場キャラクター等が異なっている。また、キャラやMSのデザインも『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に準拠している。


また、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN MSD ククルス・ドアンの島 』(作:おおのじゅんじ)という「ククルス・ドアンの島」をベースにしたコミカライズ作品も存在するが、本映画との関連は今の所不明。




事前に見ておくべき作品は「無し!!」


事前予習は特に必要なし!!


「初代ガンダムのストーリーの中の一幕」といった立ち位置ですが、物語としては独立しており単体で完結しているので特に事前に観ておくべき必修作品はありません。極端な話、ガンダム初見でも「アムロって奴が主役でガンダム乗ってて、ジオン軍と戦っていて敵メカはザク」ぐらいわかっていれば十分問題なく楽しめると思います。


逆にしっかり予習しておくならテレビ版『機動戦士ガンダム』と、コミックの『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の二つを観て・読んでおくといいと思います。前者は元の話と比べながら観ることができまずが、テレビ版だけだと細かい設定が異なっているので世界観を同じにしている後者のコミックも読んでおくと完璧、といった感じ。




全体的な感想


まず全体の感想としては、冒頭にも書いた通りそれなりに面白かった作品だと思います。「名作だ!!」って程ではないですが良作って感じ。
正直あまり期待していなかったのでそもそもハードルが低かったかもしれませんが、話も良くまとまっていてメカも非常にカッコよく、娯楽作品として十分なクオリティだったと思います。


ガンダム作品という部分についても、いまだに人気の初代ガンダムを最新の映像で映画化してくれたという部分だけでもファンとしては大きかったと思います。やっぱり綺麗な映像で動くガンダムやアムロ・ホワイトベースの面々を劇場の大スクリーンで観れるのは嬉しいです。監督の安彦さんはCMの映像で「思い残すことはない」みたいなことを仰っていましたが、そんなこと言わずに初代ガンダムラストの「めぐりあい宇宙」までの映像化を強く期待したいです。


複雑な会話もなく単純明快なストーリー、まるで生きたヒーローのように描かれるメカ、といったポイントは最近の作品である『閃光のハサウェイ』とは真逆のアプローチだったと思います。どっちが正しいとか上とかは無いですが、個人的には単発の映画作品として楽しむなら本作のようなタイプの方が好きです(閃ハサは三部作のうちの1本という立ち位置でやや難解な内容にしてしまったのでモヤモヤが残ったというのもあるかも)。


「細かい部分はさておき、なんとなく面白かった!!ガンプラ買って帰ろ!!」って感じが良かったと思います。



モビルスーツがカッコいい

前にも書いていますがとにかくモビルスーツがカッコよく書かれていました。ガンダムだけじゃなくガンキャノンもザクもジムも全部良かった。本作はストーリーの都合上ガンダムが出てこない時間が長く続きますが、その分終盤登場したシーンではまさにヒーローのような描かれ方をしていたと思います。BGMもあわさって非常にテンションのあがるシーンだったと思います。


ガンダム作品を観ている時の僕の持論ですが、「見た後にガンプラが欲しくなる映像作品は最低でも良作」と思っていて、その観点からもやはり良作と言っていい作品だったと思います。


逆に残念だったのは、ガンダム以外のWBのモビルスーツにもせっかくならばもう少し見せ場が欲しかったという所です。また、上映開始前から話題になっていたシャアの高機動型ザクも出番はほとんど一瞬で終わってしまったので、もう少し活躍を見たかったです。



テレビ版との違い

テレビ版との違いをざっくりと。
まず本作の世界観はコミックの『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』がベースなので時系列が違っています。


<テレビ版>
・ホワイトベース地球降下
・ガルマ死亡
・ククルス・ドアンの島
・オデッサの戦い
・ジャブローの戦い
・宇宙へ


<THE ORIGIN>
・ホワイトベース地球降下
・ガルマ死亡
・ジャブローの戦い
・ククルス・ドアンの島
・オデッサの戦い
・宇宙へ


こんな感じ(違ってたらコメントで指摘してもらえると助かります)なので、「WB隊にスレッガーがいる」「すでにジムが配備されている」「島の所在地が太平洋から大西洋になっている」等の違いが発生していて、コミックを読んでいない人はここは疑問に思うかもしれません。

その他、「ドアンと共に暮らす子供が増えている」「島の設定が色々追加されている」「一部キャラの名前が変わっている(後の作品と被ったから?)」「本作オリジナルのキャラクターや機体が登場する」等、映画というフォーマットになるのに合わせて色々と変更されている部分がありました。



不満点など

今度は逆に残念なポイント。
やはり「アムロがドアンや子供たちと生活をする部分のストーリーが冗長」という点がマイナスポイントだったと思います。


これについてはそもそも30分番組の1話(実質20分そこそこ)を2時間弱の映画にしているのでしょうがない部分ではあると思いますが、やっぱりガンダムの出ないパートが長かった宇印象はありました。せっかく新キャラ・新機体も出しているので、もう少しドアンの過去やサザンクロス隊との因縁等に尺を割いて丁寧に描いても良かったんじゃないかと思います。



その他細かい部分

最後にその他気になった細かい部分をいくつか。


ニューヨーク?ニューヤーク?

ガンダムの世界においてアメリカのニューヨークにあたる都市は、テレビ版本編や各種ゲーム等では「ニューヤーク」と呼ばれていたと思います。しかし今回の作品ではマ・クベが普通に「ニューヨーク」と言っていました(2回ぐらい言ってたので間違いない)。



ニュータイプ的描写はほとんどなし

今回ニュータイプ的な要素はほとんどなかったと思います。宇宙世紀のガンダム作品だと嫌でも気になる要素ではありますが、本作では時系列的にもまだアムロががっつりNTとして覚醒する前だったということもあると思います。


他にもいろいろあったと思いますが、思い出したら書いておこうと思います。