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PS4『新サクラ大戦』感想。細かい不満もあるが十分楽しめた




PS4用ソフト『新サクラ大戦』をプレイした感想です。全員分のエンディングを見てトロコンするところまで遊びました。


正直遊ぶ前のイメージはあまり評判の良くない作品という感じでしたが、YouTubeで流れてきたテーマ曲の「檄!帝国華撃団」が非常に耳に残って興味がわいたのでプレイしました(新品1,500円ぐらいで投げ売りされてたし)。細かいツッコみどころや不満点もありましたが、熱い展開もありキャラクターも魅力的で個人的には1本の作品としてそれなりに楽しめたと思います。ただ、尺の問題もあってか「色々と惜しい」という部分がある作品であるともいえると思います。


ちなみに過去の「サクラ大戦」シリーズは一切プレイしたことがなく本作が初見となります。そのため、過去作との比較やシリーズのキャラクターの扱い等についてはほとんど触れていない感想になっています。


また、本作は各方面でのメディアミックス展開がされており、ゲームのプレイに併せて漫画版・アニメ版も観たのでそこについての感想も軽く書いています。




目次


『新サクラ大戦』製品概要

新サクラ大戦 新価格版 - PS4

機種:PS4
発売:2019年12月12日
ジャンル:ドラマチック3Dアクションアドベンチャー
作品評価:70点


【プレイ時間】
50時間


プレイ時間はストーリー1周目クリアまでが30時間ぐらい。2周目&各エンディング回収してトロコンまでで50時間ぐらいです。


「サクラ大戦シリーズ」の2023年現在での最新作。前作から10年以上の時を経て発売され、グラフィック・キャラクターデザイン・ゲームシステムが大きく変更されている。架空の時代である「太正時代」を舞台に、プレイヤーは平時は舞台の上で歌い踊り非常時には悪と戦う「華撃団」の隊長(主人公)となって隊員の美少女達との親交を深めながら平和を守るために戦うという比較的王道なストーリー。


メインキャラクターのデザインは漫画『BLEACH』の久保帯人氏。




本作からプレイしても大丈夫?

 
「サクラ大戦」のシリーズは過去にかなりの数の作品が発売されていますが、結論から言うと本作から遊んでも全く問題ありませんでした


僕自身、本作がシリーズ初のプレイになりましたが、過去作の知識が無くても全く問題なく遊ぶことができました。世界観は過去作とも同一のものとしており、時系列的には旧作品の時代から約10年後ぐらいが舞台になっています。


過去作品のキャラクターも一部登場していますが、特に過去作を知らないことで損をするとかゲーム体験が損なわれるということはありません。過去作の「メインキャラクターの何人かは見たことがある・名前ぐらいは知っている」程度の知識があれば全く問題ないと思います。

「サクラ大戦」のシリーズは移植作が極端に少ないこともあって現状新たに遊ぶことが難しいため、手に取りやすい本作から遊んで興味がわいたら過去作にもチャレンジしてみるというのは全然ありだと思います。



作品の特徴や良かった点

唯一無二の世界観

サクラ大戦シリーズと言えば、大正浪漫、宝塚、スチームパンク、メカ、美少女、歌謡曲、時代劇といった様々な要素がこれでもかと盛り込まれているのが大きな特徴。そしてそれらがすべて絶妙にマッチして唯一無二の世界観を作り出していると思います。


物語の舞台となるのは架空の時代「太正」。名前の通りベースになっているのは実際の大正時代で、大正浪漫を感じさせるキャラクター・街並み・風景等のデザインは非常に良かったと思います。



アドベンチャー+アクション

本作はアドベンチャーパートとアクションパートの2段構成。ペルソナに近い(あちらはアクションではないけど)イメージを持ちました。


アドベンチャーパートでは拠点となる帝国劇場や帝都を移動して、各キャラクターとのイベントをこなして親密度を深めたりストーリーを進めたりがメインになります。ここではサクラ大戦シリーズお馴染みの要素らしい「LIPS(時間制限式選択肢)」が重要で、選んだ選択肢(時間切れも含む)によってそのキャラとの親密度が上下したりイベント内容が変化したりします。


ストーリーが進むとメカに乗って戦うアクションパートが発生。アクションパートは自機を後ろから見るタイプの視点で、数多く出てくるザコ敵を倒しながらステージを進み最奥部で待ち受けるボスを倒すという形式になっています。無双系ゲームに近いイメージ(一般的な無双ゲームよりはステージは一本道だけど)ですね。ただ、本作は□ボタンが必殺技で〇ボタンが通常攻撃という無双ゲーとは逆の配置になっていますので、無双ゲーに慣れていると操作に戸惑うかもしれません(オプションで配置を変更可能なので最初に設定を変えておくのを推奨)。

アクションパートでは主人公の神山機とパートナーとなる機体(話数によってキャラ固定だったり選択できたり)を自由に切り替えて行動していきます。各機体には攻撃・必殺技などで差別化がされていたり、条件を満たすと合体攻撃が発動できるようになっています。


基本的にはアドベンチャーパート⇒アクションパートの順にこなしていくと次の話に進むという構成になっています(話によってはこのサイクルが2周する場合もあり)。



アニメ作品のようなストーリー構成

本作はアニメやドラマ作品のようにストーリーが区切られた話数構成になっており、全8話のストーリーになっています。


各話は前項の通り、アドベンチャーパート⇒アクションパートの構成になっており、途中途中にアニメでCM行く前にでてくるようなアイキャッチ(ポケモンでいう「だーれだ?」の部分)を挟んだり、各話の最後にはちゃんと次回予告なんかがあったりします。特にこの次回予告は結構出来が良くて、毎回別のキャラがナレーションを務め最後はキャッチコピーの「太正桜に浪漫の嵐」締めるという構成なんかも印象的で、予告は毎回楽しみでした。


また中盤では各キャラをメインとした回があり、「各隊員にはそれぞれ抱えている問題がある⇒主人公や他の隊員の手助けでそれを解決する⇒バトルパートに入る⇒勝利のポーズ、決めっ!」の王道パターンはまさにアニメ作品を観ているような感覚になりました。


展開も基本的には勧善懲悪・熱血スポコンを思わせる王道な展開が多く、色々と細かいアラはあるものの勢いで押し切る感じはやっていて楽しかったです。下の方で色々と細かい不満点は上げていますが、全体通してで言えば本作のストーリーは結構好きですし印象に残る内容だったと思います。



キャラクター・メカも魅力的

キャラクターについてはキャラデザの変更が発売前に色々と物議をかもしたという話もあるようですが、本作がシリーズ初見の自分としてはどのキャラクターも魅力的で良かったと思います。


デザインに加えて、さすがPS4ソフトということで3Dグラフィックの出来も良く違和感のない動きをしていました(最初は話しているキャラが突然四白眼になって驚いたけど、慣れたら「そういうデザインか」と気にならなくなった)。キャラ・メカ合わせてビジュアル面では非常に高いクオリティの作品だったと言っていいんじゃないかと思います。


女性キャラクターもそうですが、主人公の神山も基本的には責任感があって熱血漢の王道主人公ですが、結構ふざけたところもあったり(特にふざけた選択肢を選んだ場合)して好感が持ててプレイヤーの分身的な立ち位置として感情移入しやすい良キャラだったと思います。



主題歌『檄!帝国華撃団<新章>』

やっぱりサクラ大戦と言えば主題歌の『檄!帝国華撃団』は未プレイだった僕でも良く知っているぐらいシリーズを象徴する歌だと思います。本作でもOPとしてアレンジバージョンの『檄!帝国華撃団<新章>』が使用されており、冒頭述べた通りこの歌を聴いてゲーム自体に興味をもって今回プレイしました。僕のように「歌から入ったプレイヤー」って結構多いんじゃないかと思うくらいの名曲だと思います。


本作の<新章>ではラストの歌詞がアレンジされて「夢は蘇る帝国華撃団。我ら新章(あらた)なる帝国華撃団」となっているのが非常に印象的でした。劇中でもストーリーに合わせてこの曲やイントロバージョンが流れるようになっており、物語を盛り上げる要素になっています。



残念な点・気になる点

続いて気になる点や残念な点など。



アクションパートが単調・テンポが悪い

アクションパートについての作りこみ度は決して高いとは言えないものだと思います。
まずはステージが単調。アクションのステージは大きく3種類しかなく、話数によってルートなどは変わりますが基本的に代り映えのない風景を見ながら代り映えのない敵を倒していくことになります。

また、ステージ中は頻繁に会話イベントや演出が入るためテンポが悪いです。会話イベントはまだしも、演出(道が塞がれる⇒敵が出る⇒倒す⇒道が開く)については飛ばすこともできないので特に周回プレイ時や「いくさちゃん(クリアしたステージをパートナーを変えて攻略できる機能・トロフィーや収集においてプレイ必須)」攻略時は非常にだるく感じます。

ちなみに以下の機能はアップデートで追加されたので、これからプレイする場合はちゃんとソフトを最新にアップデートしてからプレイすることを強くお勧めします。
・ロックオン機能
・バトルのボタン配置変更機能
・会話のログ機能 等

特にロックオン機能やボタン変更については無いとかなり不便なので、正直本作を発売日に買ってアップデート前にプレイしてたらもっと低い評価にしていたかもしれません。



ボリューム不足(一部ネタバレあり)

以下、一部ストーリーのネタバレが含まれます。


ボリューム不足についてはすでに様々なレビューでも語られていました。今回1周目が30時間、トロコンまでで合計50時間と、1本のゲームとしては概ね標準的な時間ではあったと思います。なのでプレイボリュームについてはそこまで不満は無いですが、シナリオ面で描き切れていない部分が多々あったように見えました。そういったストーリー的な意味での尺不足はあったと思います。


まずは各キャラのメイン回について初穂のみがかなりの不遇を被っていること。予告やアイキャッチを見る限り5話が初穂回に見えますが、そこにさくらの機体乗り換えイベントをかぶせてしまったため内容はほぼさくら回と言った感じになっています。6話のアナスタシア回についても途中に各キャラとのデートイベントが用意されていますが、アナスタシアについてはまだストーリー的に重要な要素が明かされていない状態です。なので、5話の初穂回とさくら乗り換えイベントを別の話にし、6話もアナスタシア回とデートイベントの回に分けて余分な尺で海外華撃団の深堀りもできたらちょうどいい感じになっていたんじゃないでしょうか。


ヒロインを選択できるゲームなのに、ヒロインの扱いに格差があるのは残念なポイントだと思います。



ヒロイン選択のタイミング(一部ネタバレあり)

以下、一部ストーリー終盤のネタバレが含まれます。


次に残念なのがヒロイン選択のタイミング。7話の終盤で副隊長に選んだキャラが最終的なヒロインとなり、クリア後の共通エンディングの後にそのヒロイン固有のエンディングが流れるようになっています。


ただ、ストレートに言ってしまえばヒロイン選択からクリア後の共通エンディングまでは誰を選んでも全く同じ(最終ステージのパートナーが変わるぐらい)なので、「ヒロイン選択」感は全くないです。特に8話冒頭にさくらとの非常に重要なイベントがある(誰を選んでも内容は同じ)ため、さくら以外を選んだ時の違和感がかなりあります。


これであれば普通にラスボス倒して、エンディング前最後のアドベンチャーパートでヒロイン選択としても全く問題なかったと思います。そっちの方がエンディング回収やトロコンの手間も省けたし。



歌劇のシーンがもっと欲しかった

これは不満点というよりは願望・要望と言った感じですが、せっかく「歌劇団」がテーマになっている作品なのでもっと歌劇のシーンがあったら良かったなと思います。

個人的には毎話のバトル終了後に歌って踊るシーンがあって次の回に進む、ぐらいの感じを勝手に期待していたので歌劇のシーンがあまりなかったのは残念でした。



トロコンについて

本作トロコンまで遊びましたが、難関となる要素はありませんでした(「手間がかかって厄介」というのがある程度)。

ブロマイド収集などの時限要素(話数が進むと収集不可になる)などはありましたが、そのあたりの要素はすべて周回プレイに引き継げるので、トロコンする場合は「1周目は普通に楽しみ、2周目に取りこぼしをしっかり確認しながら進める」という進め方がおすすめです。


各キャラのエンディングをすべて見る必要がありますが、これもヒロイン選択(7話)の直前のセーブデータを残しておけば毎回1話からやり直す必要はありません。



次回作について

以下、一部ストーリーのネタバレが含まれます。


一応はハッピーエンドになっていますが、回収できていない伏線もありますので次回作がありそうな感じはしている終わり方になっています。ただ、本作はあまり世間一般でもあまり評価が高くなく公式もなかったことに扱いな匂いもしなくないので、続編はやや期待薄なのが残念です。個人的には続編があるならプレイしたいと思います。


【解決していない要素(重大なネタバレなので白文字)】
何より旧華撃団のメンバーが救われていない
さくらの師匠が降魔と繋がっていそうな描写(一切説明なし)




コミック版

コミカライズ版『新サクラ大戦 the Comic』(全3巻)が発売されています。


細かい違いはあるものの基本的にはゲームのストーリーをなぞったコミカライズ版で、ゲーム側では描かれていなかった部分が加えられています。特に夜叉の扱いや正体についての描写はゲームよりもより詳細になっていました。また、エンディングの描写についてはよりアニメ版(ゲームのストーリーの後日譚)に繋がる内容になっています。



アニメ版(ネタバレあり)

『新サクラ大戦 the Animation』としてアニメ版も制作されています。


放送期間は2020年4月~6月。全12話。
とりあえず一気見してみましたが、内容はゲームの後日譚のストーリーとなっています。帝国華撃団にやってきた謎の少女クラーラを巡る新たなる戦い。ゲームにおける主人公の神山は不在のことが多く、さくらが主人公ポジションと言った感じになっていました。各キャラの紹介とか関係性についてはゲームの内容を知っている前提となっているので、アニメからの新規層はあまり想定していないのかも。その意味では「結構攻めてるな」と感じました。これから見る場合は「先にゲームをプレイしておくのを強く推奨」します。話数も全12話と多くないのでプレイ後にサクッと見れますし、ビジュアル面の出来も良くて個人的には結構楽しめたと思います。以下、ネタバレあり。



ゲームの後日譚という造りですが、かなりゲームの『新サクラ大戦2』に繋がる(繋げたかった?)内容になっていたと思います。テーマの一つになっていた「降魔との共存」ですが、最初は「旧華撃団も救われていない中でその元凶でもある降魔との共存は早いんじゃないの?」と思っていましたが、本アニメが前振りとなってゲームの次回作で「降魔王との決着・旧華撃団の救出・降魔との共存」みたいな話を描こうとしているのであればある程度納得。ゲームの方で投げっぱなしになっていた師匠の正体もアニメで(明言はされていないものの)ほとんど明かされました。それにしてもオムライス仮面の正体に誰も気づかないのが違和感過ぎて・・・(笑)。みんな気を使ってツッコまないようにしてるんじゃないかとすら思いました。いいキャラしてますね、オム仮面。

アニメの方も2期ないしはゲームの次回作を前提としたような内容になっていたので、現状そこからシリーズに音沙汰なくなってしまっているのが残念ですね。




総評

改めて評価をもう一度。

作品評価:70点


サクラ大戦シリーズは初見でしたが、キャラクターには魅力があり、ストーリーもアラはあるものの勢いと熱さがあって、1本のゲームとして十分に楽しめたと思います。バンダイから登場メカのプラモも出ていたのでとりあえずさくらの試製桜武を作ってみました。機会があれば他の華撃団メンバーの機体も作って並べたいと思います。


惜しい所で言えば、過去のシリーズ作品のプレイ環境が結構厳しいこと(PSP版の1&2をVITAでDLするのが現実的か)と、続編の雰囲気がほとんどなさそうなことですね。その後が気になるキャラクターも多数いるので、あまり大きな期待はせずに続編を待ちたいと思います。