2026年3月6日に公開された映画『ウィキッド 永遠の約束』の感想です。
アメリカ本国では昨年11月には公開されていましたが、日本では前作からちょうど1年の期間を経ての待望の完結編の公開となりました。
早速上映3日目に観てきたのでその感想です。
【前作の感想】
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以下、一部本作のネタバレを含んでいますので予めご了承ください。
目次
基本情報

画像出典:映画『ウィキッド 永遠の約束』公式X(@wickedmovieJP)
- 監督:ジョン・M・チュウ
- 公開:2025年11月(アメリカ)、2026年3月(日本)
- 評価:★4(最高★5)
児童文学小説「オズの魔法使い」を元にした舞台ミュージカル『ウィキッド』を原作とした作品。
本作は2部作構成の完結編で、ミュージカルにおける第二幕部分をベースに映像化したものになっている。上映時間は前作より20分ちょっと少ない137分。
「オズの魔法使い」に登場した二人の魔女、南の良い魔女と西の悪い魔女の二人に焦点を当てたストーリー。魔法使いオズの嘘を知り「悪い魔女ウィキッド」として一人戦う道を選んだエルファバと、「良い魔女」として皆の希望になる道を選んだグリンダの友情の結末を描く。このパート2の部分は「オズの魔法使い」の本編の時間軸と並行する内容になっていて、「オズの魔法使いの裏話」とも言える位置づけの物語となっている。
原題は『WICKED:FOR GOOD』。「FOR GOOD」は「永遠に」というような意味で、劇中の楽曲のタイトルにもなっている。
「オズの魔法使い」のストーリーは知ってた方がいい?
前作『ウィキッド ふたりの魔女』の感想では「必ずしも必要ではないと思いますが、知っていた方がよりすんなりとストーリーを楽しむことができる」と書いていましたが、本作では「オズの魔法使いのストーリーは絶対に知っておいた方がいい」です。
本作では物語の中に原作である「オズの魔法使い」の時間軸・キャラクターが本格的に合流してくるので、原作を一切知らないとかなり唐突な展開やなぜそこにいるのかわからないキャラクターに戸惑ってしまうことが多々出てくると思います。「ウィキッドの話はオズの魔法使いの二次創作的な立ち位置」というコメントをどこかで見たのですがまさしくその通りと思います。
最低でもWiki等で「オズの魔法使い」のあらすじぐらいを読んでおくか、個人的には時間があれば1939年の映画版『オズの魔法使』を先に観ておくのをお勧めします(1時間半ちょいぐらいでサッと見れるので)。
感想など
良い完結編だった!!
「前作とどちらが面白かったか?」と問われれば前作に軍配が上がりますが、単体の作品としても2部作の完結編としても十分に楽しめた作品だったと思います。
前作からそうでしたが、やっぱりミュージカル映画として楽曲も映像も物語もすべて素晴らしかったです。今回も映画館でやっているうちに少なくとももう一回(次は吹き替え)は行っておきたいと思います。
本作は前作に比べて全体的に話が暗く陰鬱とした展開も続くので、比較的明るかった前作と比べてそこをどう感じるかは人それぞれだと思います。それについてはそもそも原作「オズの魔法使い」の展開に繋げる必要もあり、そもそも「ウィキッド」という物語自体が厳しい現実と対面する物語なので、ポスター等のビジュアルのイメージでディズニーのような夢と希望にあふれたファンタジーと思っているとだいぶ「思ってたのと違う」となるんじゃないかと思います。
個人的には前作での伏線を回収しながら、「オズの魔法使い」のストーリーに繋げていく(特にドロシーの旅のお供3人がどのようにしてそこに至るのかのくだり等)という部分は非常に上手く描かれていたと思います。過去にウィキッドのストーリー自体は見ていたのですが、結構忘れていたので純粋に「そこがそう繋がるのか」と楽しみながら観れました。
冒頭が良かった
まず冒頭の入りが非常に良かった。
前作の楽曲「Popular」「The Wizard and I 」「What is this Feeling?」「Defying Gravity」等のメロディーを使いつつ別の歌詞で現状を視聴者に提示する部分で一気に本作に引き込まれていきました。
耳馴染みのあるメロディーと聞きながら前作からの変化を映像として見て、「第二部がはじまるんだ」とワクワクした気持ちになりました。
相変わらず楽曲が良かった
やっぱり相変わらず作中の各楽曲やそれと併せて流れてくるビジュアルのクオリティは非常に高かったです。また、主演の二人をはじめとするキャスト陣の歌唱力の高さも素晴らしかった。ミュージカル映画としても文句なしの仕上がりだと思います。
ポップでキャッチーな曲が多かった前作(「Popular」とか)に対し、本作ではストーリーの展開と合わせて比較的しっとり目のキャラクターの心情に沿った曲が多かった印象です。
今回も映画見終わった後すぐにパンフと一緒にサントラも買いました(サントラが映画館の物販に置いてあるの凄くありがたいです)。
全体的に暗い展開
本作は全体的に暗い展開が続きます。
ボックがブリキ男に、フィエロがカカシ男に、そしてネッサローズは竜巻に飛ばされてきた家の下敷きに・・・。エルファバも善意を持って行った行動がことごとく悪い方向に進み、最後にはドロシーに水をかけられて死ぬという展開が原作から決まっています。
全体的に明るくキラキラしている部分の多かった前作と比べて見ると結構ギャップがあるのですが、ウィキッドの元々のテーマってやっぱり第二部の方で描かれていた内容に近かったんじゃないかと思います。「厳しい現実と対峙し、良く生きるためにどう行動するか」といったものが本作のテーマだったんじゃないかと思います。
また、エルファバの肌の色とそれによる周囲からの偏見や動物たちの扱いと言った部分は、現実世界の色々な問題のメタファーとして、きちんと考察していくと現実世界への様々な問題提起を内包した作品だと思います。第一部ではその部分がくどく・説教臭くならないように上手く演出されていたという印象があります。
エルファバとグリンダ
本作はやっぱり主役の2人の物語でした。原作の主人公であるドロシーもついに本格的に登場しますが、それでも基本的には画面には毎回チラっとしか出てこず顔もほとんど映らないようになっていて、「真の主人公登場」というよりは「個人の力では抗えない世界や物語の大きな流れを表している舞台装置」みたいに演出されているように見えました。
生まれた時から多くのものを与えられ常に人気者だったが自分が本当に欲しいもの(魔法の力やフィエロ)だけは手に入れることができなかったグリンダ、世界中から愛されていないがグリンダの欲しかったものを全て持っているエルファバ。決して完璧な人間ではない2人がそれぞれに苦悩・葛藤し、時に対立したり手を取り合ったりして成長していく話。というのが本作だったと思います。特に2人のビンタ合戦からのバトルシーン(?)は、どんなに強い魔法の力や世界中から愛される人気があっても、お互いまだ未熟な1人の人間なんだよ、という感じがして、特に良かったというか暗い展開が続く中でホッとするシーンでした。
それ以外のキャラクター
メインの2人以外のキャラクターに感じたことを。
ネッサローズ
特に本作で一番かわいそうだったネッサ。話の都合にも見える展開でアッサリと家の下敷きに。これが無いと「オズの魔法使い」の物語が始まらないので仕方ないんですが、決して「東の悪い魔女」と言われるほどの悪行をしていたようにも見えず、やや描写不足を感じさせながら退場になってしまったかわいそうなキャラクター。
ボック
個人的には本作で一番株を下げてしまった人かな。お前まだグリンダ好きだったんかい、という感じでネッサがああなってしまった元凶でもありつつ、彼の気持ちもわかると擁護したい部分もありつつ、と言った感じ。闇落ちのような雰囲気でブリキ男になったあとの展開が描かれていないので、ネッサと同じでやや消化不足となってしまったキャラクター。ちなみに原作ではブリキ男は心が無いと言いつつ一番仲間を思いやって仲間のために涙するようなキャラなので、本作での描き方とは結構違う印象。
フィエロ
本作で一番株を上げた男。
外見も内面もハンサム。カカシになってもハンサム。
マダム・モリブル
結局この人は天気の魔法だけは使えた、ということで良いの?
前作では結局この人の魔法のシーンは明確には描かれてなかったと思います。雲を操っているように見えるシーンもまだ「天気に詳しい人が自然現象に合わせた言動で自分が魔法を使っているように見せる」という結構ありがちな手法にも見えました。なので前作時点では魔法を使えるのは世界でエルファバだけにも見えたんですが、本作では「エルファバが雲に書いた文字を書き換えるシーン」「ドロシーが飛ばされてきた竜巻のシーン」で魔法を使っていたように見えます。ラストシーンでグリンダがグリムリーを使えるようになることが示唆されるシーンがありましたが、エルファバ以外のオズの世界の人たちも努力や才能が有れば魔法を使えないわけではないということなのかな。
魔法使いオズ
すべての元凶だった男。すっかり忘れていたので、「お前が父親だったんかい」と映画館でツッコミたくなりました。ちなみにグリンダがオズにそのことを伝えるシーンが本作一番の謎。なぜそれをグリンダが知っていたのか。そして唐突に表れる「エルファバが2つの世界の子供だから魔法が使える」というそれらしいけど根拠は不明の設定。ここはグリンダによる予想・考察だとは思いますが、もう一度見るときになにか見落としてないかちゃんと見てみようと思います。
ラストについて
ラストについても結構忘れていて、「あれ、結局エルファバってどうなるんだっけ」と思いながら見ていたんですが、あの終わり方は非常に良かったと思います。前の方でフィエロのセリフに「城には秘密の通路がある」みたいなのがあったのが伏線になっていました。
セリフを見るにエルファバの方は生きていることをグリンダには気づかれていないと思っているような感じでしたが、何となくグリンダの表情や仕草からは何かを察しているかのような雰囲気があったように思います。フィエロとエルファバが向かっていた外の世界にはいったい何があるのか。
最後にグリンダの手元のグリムリーが光り出して本作の物語は終了。
このシーンはミュージカル版にはないらしいですが、グリンダの成長により本(つまり魔法)が使えるようになったことを示唆しているのか、意図してかしないでかエルファバの思いに反応してグリンダに生存を伝えるメッセージになっていたのか、といった感じのシーンだったのかなと思います。
まとめ
ということで本作もとても楽しめました。
前作と2作セットで、最高のミュージカル映画体験だったと思います。
観に行こうか迷っているという方は是非映画館で観れるうちに観に行って欲しいです。
劇団四季の「ウィキッド」もどこかで必ず観に行きたいです。
【前作の感想】
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