2025年3月7日に公開された映画『ウィキッド ふたりの魔女』を見る前に、「そもそも『オズの魔法使い』ってどんな話だっけ」と思ったので予習も兼ねて小説版(なんか家にあった)を読み返してみました。以下、感想と言うよりは粗筋をざっと書いています。
読んだのは2013年発売の角川文庫のものです。
オズの魔法使い
- 著者:ライマン・フランク・ボーム
- 訳者:柴田 元幸
- 出版社:角川文庫
- 発売日:2013/2/25
- 頁数:204ページ
- オススメ度:☆☆☆☆
物語のあらすじ
主人公のドロシーはカンザスの農場でおじさん夫婦と共に暮らしている。
竜巻がきて子犬のトトと一緒に家ごと飛ばされてしまう。
ドロシーが目を覚ますと、家はオズの国の東のマンチキンたちの国に着地していた。そしてマンチキンを支配していた東の悪い魔女は落ちてきた家の下敷きになっていた。
ドロシーは北の良い魔女からエメラルドの街にすむ大魔法使いオズの話を聞き、東の悪い魔女の持っていた魔法の銀の靴をもらう。
ドロシーは大魔法使いオズに助けてもらうために黄色いレンガの道を通ってエメラルドの街に向かうことにする。北の良い魔女はドロシーのおでこにキスをして悪いことから守る魔法をかける。
トウモロコシ畑で竿に掲げられていた脳味噌のないカカシを助ける。カカシはオズに脳味噌をもらうためドロシーと共にエメラルドの街に向かうことにする。
森で錆びて動けなくなったブリキの木こりに油をさしてあげる。ブリキの木こりも心臓(=心)をもらうために一緒にオズの元に向かうことにする。
弱虫なライオンと出会い、ライオンはオズに勇気をもらうためにドロシー達と一緒に行くことにする。
川をいかだで渡ろうとしているときにカカシが川の真ん中に取り残されてしまうが親切なコウノトリに助けてもらう。
眠ったら目を覚ますことのない赤いケシの畑の中でドロシーとトトとライオンが眠ってしまう。ライオンは重すぎて畑の外に運び出すことができない。大山猫に追われていたネズミの女王を木こりが助け、お返しにネズミの群れにライオンを救う手助けをしてもらう。
途中立ちよった農家でオズに会ったことがあるものはおらず、誰もオズの本当の姿を知らないという話を聞く。
エメラルドの街にたどり着き、門番から鍵のついたメガネをつけさせられる。
オズの宮殿に行き、一人一人オズの謁見を許される。オズはドロシーの前では巨大な頭の姿で現れ、カンザスに帰す代わりに西の悪い魔女を退治してくれと頼む。カカシの前には美しい婦人の姿で、木こりの前には恐ろしい獣の姿で、ライオンの前には火の玉の姿で現れ、同じように西の悪い魔女を退治したら願いを叶えると言う。
皆は途方に暮れながらも、悪い魔女のいる西の国を目指して出発する。
一つ目を望遠鏡のようにしてドロシー達を見ていた西の魔女はまずはじめに狼達にドロシー達を襲わせるが、狼はすべて木こりに切り殺される。次にカラスの群れを送るがカカシにすべて首をねじられて殺される。次は蜂の群れを送るが、木こりのブリキの体で針を折られる。起こった魔女は奴隷のウィンキーに槍を持たせて差し向けるが、ライオンが吠えるとウィンキー達は逃げていった。
魔女は翼のある猿たちを三回だけ呼び出すことができる黄金の帽子の三回目を使って猿たちを呼び出した。
猿たちは木こりとカカシを倒しライオンを捕まえたが、北の良い魔女の魔法に守られているドロシーには手が出せないので、ドロシーを西の悪い魔女の城に連れてくる。悪い魔女はドロシーを奴隷にしようとする。悪い魔女はドロシーの銀の靴を奪おうとするが、怒ったドロシーが水を浴びせると、実は水に弱かった悪い魔女は溶けてしまった。
ライオンを檻からだし、魔女の支配から解放されて喜ぶウィンキーたちに手伝ってもらって木こりとカカシを助ける。
ウィンキー達からそれぞれ贈り物をもらいエメラルドの街に旅立つドロシーたち。出発の前にドロシーは魔女の部屋で黄金の帽子を見つけ、被っていくことにする。
エメラルドの街への道がわからないドロシー達は野ネズミの女王にもらった笛でネズミ達を呼び出し、エメラルドの街への行き方を聞く。そこで野ネズミの女王から黄金の帽子の使い方を聞き、猿たちを呼び出してエメラルドの街に運んでもらうことにする。
再びオズに謁見した一行。トトがついたてを倒してしまうと、その裏にいたのは小男の老人だった。オズは魔法使いではなくドロシーと同じようにオズの国に飛ばされて来てしまったペテン師で、トリックで魔法のように見せているだけだった。
オズはカカシにはぬかでできた脳味噌を、木こりには絹でできた心臓を、ライオンには飲むと勇気がわくという水を与える。3人は願いが叶ったと喜ぶ。オズはドロシーとともに気球でオズの国から脱出することを提案する。飛び立つ前にオズはカカシを新しい支配者に任命する。
気球が飛び立つ寸前にトトが逃げてしまい捕まえに行っていたドロシーを残して気球は飛び立ってしまう。
ドロシーたちは黄金の帽子で猿たちを呼び出しカンザスまで連れていってくれるようにたのむが、猿たちはこの国からは出ることができない。
緑のほおひげの兵士から南の良い魔法グリンダの話を聞き、会いに行くことにする。
南のクワドリングの国に向かう途中森を守る木に行く手を阻まれるが、木こりが斧で道を切り開いた。
一行は瀬戸物でできた国にたどり着く。そこに住む住人たちも瀬戸物でできていた。
森で巨大蜘蛛に怯える動物たちに出会う。ライオンは蜘蛛を退治し、森の動物たちの王になる。
丘を越えようとするとトンカチ頭の男たちに邪魔されるが翼のある猿たちを呼び出してクワドリングの国まで運んでもらう。
ドロシーたちは城で若く美しい魔女グリンダと会う。グリンダはドロシーから黄金の帽子を受け取り、三回の願いを使ってカカシをエメラルドの国に、木こりをウィンキーの国に、ライオンを森に連れていったあと、帽子を猿の王に渡して猿たちを自由にすることを約束する。
そしてグリンダはドロシーの履いている銀の靴の力を使えばすぐにでもカンザスに帰ることができることを教えてくれる。
ドロシーは皆に別れをつげ、靴のかかとを三回鳴らすと、カンザスのおじさんおばさんの元に帰ることができた。
その他、感想とか
過去に読んでいたんですが久々に読みました。
子供向け文学と侮るなかれ、普通に面白くて結構すぐに読んじゃいました。主人公ドロシーが不思議な国にやってきて不思議な人々に出会いながら旅をするという、行ってしまえば『不思議の国のアリス』みたいな話って感じです(訳者あとがきを読むとアリスには相当影響は受けてるっぽい)。
旅の中でブレイン役になることの多かったカカシ、小さな虫も殺してしまわないように心がけていたり仲間との別れや再会に誰よりも涙していたブリキの木こり、仲間のために自分よりも大きな恐ろしい獣に立ち向かったライオン、そして家に帰ることのできる魔法の靴を序盤からずっとはいていたドロシー。「自分が求めていたもの、足りないと思っていたものは実は最初から自分の中に(足元に)あった」といったあたりを示唆する物語とするとチルチルとミチルの『青い鳥』の話なんかも思い浮かびます(発表年順にいくと、アリス⇒オズ⇒青い鳥、たぶん)。
本作に出てきた魔女は4人。出てきた順に、
・北の良い魔女
・東の悪い魔女
・西の悪い魔女
・南の良い魔女(グリンダ)
小説では名前が出てくるのは南の魔女グリンダのみ。この南の魔女グリンダと、小説では名前が出てきていないけど西の悪い魔女エルファバの過去を描いた話が、ミュージカル『ウィキッド』/映画『ウィキッド ふたりの魔女』ということになっています。
ということで映画『ウィキッド ふたりの魔女』を観に行こうと思いますが、その前に余裕があったら古い映画の『オズの魔法使い(1939年)』も見ておきたいなぁ。