ゆめろぐ

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【映画感想】『ウィキッド ふたりの魔女』最高のミュージカル映画体験!!




2025年3月7日に公開された映画『ウィキッド ふたりの魔女』の感想です。

本作を見るための予習して小説版を読んだり1939年の映画を見たりついでにディズニー版も見たり、色々してましたがようやく映画館で観てきました。とりあえずまずは字幕版で観ています。

まず一言で感想を言えばとにかく最高でした!!
楽曲も映像も物語も素晴らしかったと思います。とにかく最高のミュージカル映画体験ができたと思います。これは是非劇場でやっているうちに映画館で観て欲しい作品です。



以下、一部本作のネタバレを含んでいますので予めご了承ください。





目次

 


基本情報


画像出典:映画『ウィキッド ふたりの魔女』公式X(@wickedmovieJP)

  • 監督:ジョン・M・チュウ
  • 公開:2024年11月(アメリカ)、2025年3月(日本)
  • 評価:★4.5(最高★5)

 

児童文学小説「オズの魔法使い」を元にした舞台ミュージカル『ウィキッド』を原作とした作品。
本作は2部作構成のパート1で、ミュージカルにおける第一幕部分をベースに映像化したものになっている。上映時間は160分。

「オズの魔法使い」に登場した二人の魔女、南の良い魔女と西の悪い魔女の二人に焦点を当てたストーリー。グリンダ(後の良い魔女)とエルファバ(後の悪い魔女)の出会いと、エルファバがいかにして「悪い魔女」と呼ばれる存在になっていったのかを描いており、このパート1の部分は「オズの魔法使い」の前日譚とも言える位置づけの物語となっている。



「オズの魔法使い」のストーリーは知ってた方がいい?

本作の原作にあたる「オズの魔法使い」のストーリーを事前に知っておいたいいかというと、必ずしも必要ではないと思いますが、知っていた方がよりすんなりとストーリーを楽しむことができると思います。

最低でもWiki等で「オズの魔法使い」のあらすじぐらいを読んでおくか、個人的には時間があれば1939年の映画版『オズの魔法使』を先に観ておくのをお勧めします(1時間半ちょいぐらいでサッと見れるので)。

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「ウィキッド」の思い出

感想の前にちょっとだけ。
ミュージカルの方の『ウィキッド』については実は10年ぐらい前に一度観ています。観てはいるんですが内容については今回映画を見るまではちゃんと知りませんでした。

どういうことかと言うと、過去にミュージカルの『ウィキッド』を見たという場所が、ロンドンのアポロ・ヴィクトリア・シアター(多分イギリスで『ウィキッド』と言えばで一番有名な所のはず)だったんですが当然ながら全部英語なので全然内容理解できませんでした(笑)。サッカー目的の旅行に行った時に記念として観に行ったんですが、言葉は全然わからないもののその楽曲・歌声の迫力に圧倒されて内容は良くわからないなりにとても感動したのをよく覚えています。当時記念に買ったパンフレットは今でも大事に持っていますが、当然表記は英語なので内容はわかりません(笑)。ただ、今回映画を見てミュージカルのパンフにあったヤギのコスプレのおじさんが何だったのかようやくわかりました、というか思った以上に重要なキャラだった・・・。

それ以降日本での公演(劇団四季がやっている)のを観に行きたいとは思っていたんですが、気付いたら東京公演終わっていたりチケット取り逃したりでなんとなく見れてなかったので、今回映画化されたのは非常に嬉しかったですね。あとはミュージカルってやっぱり現地に行って見る物ということで中々映像化ってされないと思うんですが、今回の映画化でソフト化される(手元に置いたり配信でいつでも見れるようになる)というのも地味に嬉しい所ですね。

劇団四季の公演もどこかのタイミングで必ず行きたいと思います。


ちなみに「ウィキッド」という言葉は日本語字幕や吹き替えではイコール「悪い魔女」というような意味合いで使われていたように見えるので、「ウィキッド」という言葉自体に「魔女」という意味があると思ってました(ウィザードやウィッチと字面も似てるし)。ですが「ウィキッド」という単語自体は「邪悪な・意地悪な・危険な」といった意味のようで、本来は「Wicked Witch」で「悪い魔女」になるみたいですね(映画内でも良く聞いていると英語音声では結構「Wicked Witch」と言っていました)。これはずっと勘違いしていたので今回ちゃんと調べて勉強になりました。



感想など

とにかく最高だった!!

冒頭にも書きましたがとにかく楽曲も映像も物語もすべて素晴らしかったです。
とにかく最高のミュージカル映画体験ができました。映画館でやっているうちに少なくとももう一回(次は吹き替えかな)は行っておきたいと思います。

2時間40分(予告編等も含めた実質の拘束時間は3時間)という長い映画ですが、ほとんど長さを感じることもなくずっと楽しめました。正確に言うとエメラルドシティに入ってオズに謁見するあたりで多少の中だるみを感じはしたんですが、見終わった上で考えて見るとその後の「Defying Gravity」での本作一番の盛り上がり・大詰めに向けての助走の部分だったように思うのでトータルとしてマイナスには感じませんでした。

映像も全体的に素晴らしかったです。「オズの魔法使い」というと過去の映像作品でも「綺麗でカラフルな世界観」というのは特徴の一つだったと思いますが、本作でもちゃんとそれが映画館の大スクリーンに映えていました。作中の広大なお花畑とか凄かったんですが、どうもそういったロケーションの部分はほとんどCGを使わずにセットとして用意したんだとか。作り手側のとてつもない情熱を感じます。



冒頭が良かった

まず冒頭の「西の魔女が〇んだ」と言うことを民が喜ぶシーン(本作の本編からすると未来にあたる部分)で、一瞬ですが黄色いレンガの道をエメラルドシティに向かって歩くドロシーの一行の後ろ姿が映りました。「オズの魔法使い」の物語を知っている人であれば、あのシーンで一気にグッと作品の中に引っ張りこまれたんじゃないでしょうか。本当に一瞬チラっと映ったぐらいでしたが、これから物語を観る側のテンションを1段階上げてくれる良い演出だったと思います。

こういった部分なんかもあるので、上の方でも書いたんですが「オズの魔法使い」の話をよく知らないという人はできればやっぱり過去の映画作品を見てから本作に臨むことをお勧めしたいです。

あとちょっと話は逸れるんですが、「西の魔女が〇んだ」ことを祝う歌というのに少しだけ違和感を感じたのは僕が日本人だからでしょうか。1939年の映画『オズの魔法使』を見た時も冒頭で東の悪い魔女が〇んだことをマンチキン達が祝って歌うシーンがあってそこでも同じように感じたんですが、日本の作品ってあまり「悪者の〇を祝う」という表現をしない印象があります。死体蹴りをしない文化?と言うのかな。その辺は、欧米では悪い領主や占領者を打ち倒して自由を勝ち取ってきたみたいな歴史があることによる文化の違いなのかな~なんて思いながら見ていました。特に作品として変だとかそういったことではなく、純粋に感覚の違いとして少し面白いなと思いました。



楽曲が良かった

本作はミュージカル作品なので当然ながら楽曲や歌唱の良し悪しが作品のクオリティに非常に大きく影響すると思いますが、本作はどの曲も凄く良かったと思います。
まずとにかく主演の二人の歌が非常に上手くて圧倒されます。グリンダ役のアリアナ・グランデはシンガーであるということは勿論知っていたんですが、歌唱も勿論ですがダンスもキレキレでしたね。

印象的だった楽曲はグリンダメインだったら「Popular」、エルファバだったら「The Wizard and I 」とラストの「Defying Gravity」ですかね。あとはやっぱり二人で歌う「What is this Feeling?」(嫌いって言いあう歌)が映像の見せ方も含めて凄く良かったです(歌の終わりのエルファバの笑い方が魔女感出てるのもいい)。

とりあえず映画見終わった後すぐにパンフと一緒にサントラも買いました(サントラも映画館の物販に置いてあるの凄くありがたいです)。


エルファバの悲劇

本作の主人公のエルファバは「オズの魔法使い」における西の悪い魔女のイメージだと「純度100%の悪者」という感じでしたが、本作では全く違う視点からキャラクターが描かれています(勿論『ウィキッド』独自の解釈として)。

生まれつき肌の色が緑だったことで世の中や自分の親からすらも酷い扱いを受けてきたエルファバ(父親については血がつながっていないので父親がそれを知っていたかどうかという所も気になる部分だけど)。少なくとも本作におけるエルファバの周囲からの扱いって、彼女の非と言っていい部分は全然ないんですよね。あくまでエルファバは善良で正義感も強い(反面どこか自分の理解者は現れないという諦めも常に持っているような雰囲気もある)人物として描かれています。本作はそんなエルファバの悲劇とそれに一人だけで立ち向かっていた強さ、そしてその強さの裏にあった弱さに気づいてくれた親友を得ることでエルファバ自身も新しい自分に向き合うことができた、というお話だと思っています。この辺は非常に現代的というか、エルファバの肌は現代の様々な問題のメタファーとされているように受け取れます。元々『ウィキッド』のミュージカルの初演は2003年、さらにその原作となる小説版は1995年の作品ということで、物語としては結構古いものでありますが非常に現在の世相にもマッチしたテーマが盛り込まれていると感じました。

ただ、この辺も問題提起は感じるものの必要以上に説教臭くなく、きちんとエンターテインメント作品として非常に高いクオリティだったのは良かったと思います。この辺の部分からもやっぱり作品としての質は非常に高いです。



アリアナ・グランデが良かった

グリンダ役のアリアナ・グランデは勿論名前は存じていたんですが、映像の中で動く姿は初めて見たと思います。初見では元のグリンダの印象よりはギャルっぽいというか港区感(?)があるというかって感じだったんですが、グリンダの役にめちゃくちゃ合っていましたし可愛かったです。上でも出した「Popular」の曲が彼女のキャラクター・ビジュアル・歌声に非常に合っていて印象的でした。端的に言えば本作でかなり好きになりました。

本作におけるグリンダは間違いなく善人で行動一つ一つは善意に基づくものだったと思います。ただ、少し配慮が足りないというかオツムが足りない(+承認欲求強め)というか劇中のエルファバの言葉を使えば「おバカ」という感じで、エルファバ視点で物語は見た時に序盤のグリンダは「嫌な女」になっていきそう(なっていた?)なキャラクターと思います。ただ、後述のパーティで二人で踊るシーンを契機に、グリンダはエルファバを理解しエルファバもまたグリンダを理解し、仲を深めあっていくことでグリンダとしても良き人物として成長していくというような流れになっていて、最終的には観ている側にちゃんと好感を持たせるいいキャラクターになっていたと思います。エルファバと対立していたあたりではもう一歩意地悪な方向に踏み出してしまうと視聴者に嫌われる「嫌な女」になってしまうギリギリのラインだったんじゃないかと思いますが、そこをうまいバランスでちゃんと超えないようにして常に好感を持たせて終わる着地になるように演出されていたのは凄いと感じました。その辺はグリンダが物語におけるコミカルなパートを担っていたというのも大きかったと思います。



二人のダンスシーンが良かった

中盤の山場となっていたダンスホールみたいなところでのパーティのシーンは非常に良かったです。ネットの感想を見ていても「ここで泣いた」というのをよく見かけましたし、実際の映画館でもそんな感じの雰囲気だったと思います。

グリンダがボックをネッサローズにけしかけたことやエルファバに帽子をプレゼントしたことの本来の意図についてはエルファバとグリンダの間での認識は決して同じではなかったと思いますが、勘違いがありながらもそれらがうまく嚙み合っていって二人で踊るシーンに繋がっていっていました。エルファバはグリンダがネッサローズにしたことも(作中訝しむ様子はあったものの)プレゼントされた帽子も"善意"として受け取り(特に帽子については魔女になった後も彼女を象徴するものとしてずっと愛用している)、そしてそれらへのお返しとして"善意"でグリンダもモリブル先生の指導を受けられるように進言しました。ここでもエルファバの善性が描かれていたように思います。

また、もう一方のグリンダにしても、このシーンではかなり複雑な感情があったはず。自分が渡した帽子でエルファバが笑いものにされてしまったという罪悪感、そのエルファバからのお返しに対しての感謝の気持ち、孤独でおかしな人物だと思っていたエルファバの心情を察したこと(お気楽王子に「周りを気にしてないのは表面上だけだ」みたいなことを言っている)、等々色々な感情がごちゃごちゃになって結果としてあの行動にでたという感じかなと思います。エルファバにとっては自分を理解してくれる友人ができたシーンでもあったし、悪意は無いけど人を傷つけることもあったグリンダが人として成長をするシーンでもあったしで、ここでの二人の表情は非常にグッとくるものがありました。


ラストのスピード感

あとはやっぱりラストシーンでのスピード感は良かったですね。
前の方にも書いたんですが、二人がエメラルドシティに来てオズに会うまでの部分では少し160分というこの映画の長さを感じはじめていたんですが、エルファバが魔法の本を読んだあたりから一気に物語が加速して展開が進んでいったと思います。あの辺のスピード感はクライマックスとして非常に良かったですね。

楽曲「Defying Gravity」の歌の良さと演出(ホウキやマントでエルファバが"魔女"になっていく)の良さで非常に盛り上がったラストでした。非常に高まった観客のテンション、それと裏腹に「この後二人はどうなっちゃうの?」という心配、それら諸々が最高潮に来たところで画面に表示される「to be continued」。非常に素晴らしいラストでした。

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバーズ』でも感じましたが、観客側がやけにテンションの上がる「to be continued」ってあるよなって思っています。本作もまさにそうでした。



吹き替えも良かった!!

最初は字幕版で見たのですが、2回目は吹き替え版を見に行きました。
こっちもかなり良かったです。特にメインキャストの二人は声に違和感もなく、歌唱も非常に上手でした。ミュージカル映画の吹き替えってどこまで日本語にするか難しい(吹き替えでも歌部分だけは元の音声のままという方がメジャーな気がする)と思うんですが、本作の吹き替え版は元のバージョンに全然負けないぐらいの素晴らしい出来になっていたと思います。この映画のサントラ買ったんですが、日本語版も欲しいぐらいですね。最初に見た元の音声の方の歌も非常に素晴らしかったので、だんだん英語版の歌の方も欲しくなってきちゃう感じはありました。字幕版で3回目行こうかな・・・。

1点吹き替えで気になったのは、吹き替え版の方は歌のシーンでも当然画面に字幕は出ないので、複数の人物が同時に歌う場面では誰が何言っているかわからなくなってしまう場面がちょいちょいありました(ラストのエルファバ・衛兵・グリンダが同時に歌っているとことか)。でも気になったのはこのくらいで、吹き替え版も非常に良かったと思います。


なので、「字幕と吹き替えどっちがいいか」という部分に関しては「本当にお好みで」という感じだと思います。公式で字幕・吹き替え両方の歌部分の動画が出ていると思うので、どっちにするか悩んでいる方はとりあえず両バージョンの動画を見てみてピンと来た方に行くのでいいんじゃないかと思います。



スター・ウォーズっぽい??

1回目を観た時に微妙に既視感というか親近感みたいなものを感じました。うまく言葉にはできないけど「あ、なんかこの話好きだな」って感じ。
2回目を観た時にこれの正体に気づきました。それは「これスター・ウォーズEp3っぽいんだ」ということでした。要は本作はエルファバ(アナキン)がダース・ヴェイダーになるまでの物語で、主役のエルファバとグリンダはアナキンとオビ=ワン(それかアナキンとアソーカ)にかぶって見えるからより感情移入できた、といった感じだったと思います。

元々はお互いを信頼をしていた二人が敵対してしまう悲しさ、この後のストーリーへの楽しみもありつつ悲劇に向かうことへの不安、といった部分を全て盛り込んで最高潮に盛り上がった所での「to be continued」。この2作に限らず他にも色々な作品で使われているとは思いますが、否応にも見る側のテンションを上げる素晴らしい構成だと思います。

オマージュだとかパクリだとかって話ではないのでどっちが先かといった順番は置いておいて、「なるほどそりゃ『ウィキッド』のストーリーは好きだと感じるよな」って納得できた発見でした。


見覚えのない回想シーン

字幕で3回目も観てきました。3回目はストーリーも完全にわかっているので色々細かい部分を確認しながら観れたと思います。
ちなみに公開開始して1ヵ月半たっている平日のレイトショーなのに劇場結構埋まってました。凄いなウィキッド。

気になったのは最初の「グッド・ニュース」の歌のシーンで、グリンダがエルファバとの過去を回想する所。回想で流れた映像の1つ目はダンスホールでお互いの手の甲を合わせるシーンで、ここは後々流れた映像です。気になったのは2つ目の方で、草原らしき場所と夕日をバックに二人が並んでいるシーンで帽子を目深にかぶったエルファバの顔は見えていません。2回目の鑑賞の時も気になったんですが、ここは本編映像では流れていなかったと思います。1つ目の回想が二人が初めて心を通わせた重要な場面であることを考えると、2つ目も少なくともグリンダにとっては大事な場面だったはず。となるとパート2で流れるシーンかもしれません。ここはパート2を観るときもしっかり覚えておこうと思います。


パート2が本当に楽しみだ

本作は前後編の2部作ということでパート2が非常に楽しみです。
ちなみに現時点の情報では原題は『Wicked: For Good(ウィキッド:フォー・グッド)』で、アメリカでは2025年11月21日に公開されるようです。今回のパート1からあまり間をおかずでの公開だったのは嬉しい驚きでした(数年レベルで待つことを覚悟していたので)。

ただ、そもそもパート1の本作自体がアメリカでの公開は昨年の11月だったのに日本では今年の3月公開とかなり間が空いていました。なので日本での公開時期が決定するまではまだ何とも言えないんですが、なるべく早く公開してくれることを期待したいです。パート1の印象が鮮明なうちに今年中に続きが観れたら嬉しいなと思います。



まとめ

ということで非常に良かったです。最高のミュージカル映画体験でした。
観に行こうか迷っているという方は是非映画館で観れるうちに観に行って欲しいと思います。

あとはとにかくパート2が楽しみです。日本でもアメリカ同様に年内の公開をしてほしいですね。



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