ゆめろぐ

ゆめろぐ

仕事・趣味・生活について書き連ねていく雑記ブログです。

【読書感想文】アイネクライネナハトムジーク




伊坂幸太郎作品4冊目。
急な仙台の出張が入ったので、「仙台だったらやっぱり伊坂でしょ」と思って新幹線とかで読む用に買って持っていった本。
仕事の後、現地で評判のお店に行って一人で牛タンと日本酒を頂きながら読みました。最高に至高な時間でした。


行ったお店。とても美味しくて大満足でした。また行きたいです。
tabelog.com





アイネクライネナハトムジーク

アイネクライネナハトムジーク (幻冬舎文庫)

  • 著者:伊坂幸太郎
  • 出版社:幻冬舎文庫
  • 発売日:2017/8/5(文庫版)
  • 頁数:341ページ(文庫版)
  • オススメ度:☆☆☆☆☆


単行本は2014年9月に幻冬舎より刊行されています。


この呪文のようなタイトルの元はモーツァルトの同名の曲名から。日本語訳すると「小さな夜の曲(小夜曲)」らしい。
ちゃんと聞いたことがなくても、小学校の時「ばっか、あーほ、どじまぬけ~」と歌ってたやつと言われればメロディが頭に浮かぶ人も多いはず。



全6編からなる連作短編。出会いの無い青年、妻子に逃げられた男、声しか知らない男と奇妙な関係を続ける美容師、等々それぞれ異なる人物異なる時間で描かれている話ですが、実は巧妙にリンクしていて人と人の繋がり・縁を感じさせるひとつの物語になっています。
一見離れたところに点在してる個々の物語を巧妙にリンクさせるのは伊坂作品ではお馴染みですが、本作は特にこれまでの作品以上に各キャラクターの関係が複雑に絡み合っており、ペンを片手に人物相関図を書きながら読み進めていきたくなってしまう小説。逆に関係の無いところまで「この人は前の章のあの人物の関係者かもしれない」と深読みをしながら読んでしまったぐらい(制作者にミスリードの意図があったかどうかはわからないけど)。
個人的には第三章の免許センターでの話が好き。


そういえば伊坂作品では珍しく恋愛小説要素の強い作品。特に序盤の方の話で。
また、後書きでも語られていた通り、同じく珍しく殺し屋も殺人犯も超能力者も突飛な設定も出てこない、ある意味平凡な群像劇。だからこそ読者の側としてはより共感がしやすく、平凡な人と人との繋がりの中で起きた"小さな奇跡"に力を貰えるのかもしれないけど。


2019年に映画化されています。
映画の方はまだ観れていなかったけど、原作ファンからの評価もそれなりに高かったようで、近いうちに観ておきたいです。