ゆめろぐ

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PS Vita『朧村正』感想。美麗な世界観でいつまでもプレイしていたくなる名作




PS Vita用ソフト『朧村正』をプレイした感想です。

  • 和のテイストが美しい世界観
  • 細部まで作り込まれた綺麗なグラフィック
  • サントラが欲しくなるBGM、
  • 軽快な2Dアクション


など、非常にクオリティが高く、長く遊んでいたくなる名作だったと思います。



目次


製品概要



定価:4,743円(通常版)、2,857円(DL版)、3,400円(BEST版)※すべて税別
機種:PS Vita
発売:2013年3月28日発売
ジャンル:絢爛絵巻和風アクションRPG
プレイ時間:34時間(本編)、32時間(DLC)
作品評価:95点
 
 
開発元は当たり作品が多いことで有名なバニラウェア。元々は2009年にWiiで発売されたものがPS Vitaに移植されたバージョン。細かい追加点があるが、一番の違いとしてはDLCで4つのシナリオが追加されている。


ゲームシステムは和風のテイストを全面に押し出した、今となっては珍しくなってきた横スクロールの2Dアクション。
鬼助と百姫の2人の主人公から選択してプレイでき、両者それぞれ異なるシナリオが進行する。途中での変更は出来ないが、各シナリオをクリアすることで主人公を選択し直すことが可能。



作品の感想・良かった所

ずっとプレイしていたくなる美しい世界観

和のテイストを全面に押し出した美しい世界観が一番の特徴。2Dの横スクロールアクションだが、背景の細部まで何層も書き込まれた美麗なグラフィックでいつまでもプレイしていたくなる。
田園風景、城下町、遊郭街、雪山、竹林、城内等々、エリアごとに様々な風景が上記の通り作り込まれたグラフィックで迎えてくれる。本作はファストトラベルのような機能がある程度進めないと使用できず移動が多いゲームになるが、移動が苦にならず隅々まで走り回りたくなる素晴らしい世界観である。


他にも雪女・鬼・鵺等の数々の日本の妖怪が登場したり、饅頭怖い・一休さん・附子等の昔話や落語等をオマージュしたキャラクター等が出てきたりと、和風テイストの雰囲気ゲームとして楽しめる要素がこれでもかと盛り込まれている。



初心者も上級者も楽しめる軽快な2Dバトルアクション。

ゲームシステムは今となっては珍しくなってきた横スクロールの2Dアクション。武蔵・伊賀・伊勢と言ったエリアを渡り歩き、エリア内の小マップを移動しつつ敵と戦いながら目的地を目指して進んでいく形式で、個人的なイメージとしてはSFC時代の『がんばれゴエモン』っぽいイメージがある。


操作キャラクターの機動力は高く、屋根の上に飛び乗って駆けまわったり山の木々の枝から枝へ飛び移ったりと軽快でスピード感のあるアクションを楽しめる。


難易度は初めの段階は「無双」「修羅」の2種類がありゲーム中にも変更可能。無双はアクションゲームとして比較的低めの難易度になっていて初心者でも楽しめる(攻撃ボタン連打でもボスもある程度押し切れたりする)。修羅は全体的に難易度が高くなった上級者向け。
また、条件を満たすと「死狂」という難易度が追加される。死狂では基本的には無双と同じ内容だがHPが1で固定になる。要は一発でも食らったら終了となるため、アクションやコンボなどを駆使して攻略していく必要がある。死狂では難易度変更できないため、これで魔窟(サブダンジョンのようなもの)も含めて全クリをするには名前の通り狂気的なやり込みが必要になるだろう。




音楽のクオリティも高くずっと聞いていられるBGM

音楽のBGMも非常にクオリティが高く、エリアごとに変化する道中のBGMやボス戦BGMなど、ずっと聞いていたくなるものが多い。
久しぶりにゲームのサントラを購入した。




やりこみも含めるとそれなりのボリューム

主人公一人のシナリオはだいたい10時間で終わる程度だが、マルチエンディングや刀の収集・複数の難易度等も含めるとそれなりのボリュームを楽しめる。

 
だいたいのプレイ時間はこんな感じ。

  • 百姫伝クリア: 9時間40分
  • 鬼助伝クリア: 10時間50分
  • 百姫エンド2: 6時間10分
  • 鬼助エンド2: 5時間10分
  • 百姫エンド3: 1時間
  • 鬼助エンド3: 1時間


合計約34時間。

 

※難易度はすべて無双でプレイ。
※1回目のクリア以降は最終章からスタートになるため、シナリオ自体には時間がかからず刀の収集や隠しボスの攻略などにかかった時間が大半。


マルチエンディング

前述の通り本作はマルチエンディングとなっていて、各主人公毎に3つ、合計6つのエンディングがある。各エンディングの条件と内容は以下の通り。
個人的には両方のエンド2の続きが見てみたい。


※内容についてはネタバレのため白文字です。読まれる際は反転して下さい。



【百姫エンド1】
<条件>
百姫で普通にクリア。
<内容>
正体を現した不動明王に敗北し、陣九郎は地獄に落ち、百姫は身体を取り戻す。百姫は雪之丞との婚姻を断り出家する。



【鬼助エンド1】
<条件>
鬼助で普通にクリア。
<内容>
狗頭龍村正に取りつかれた将軍綱吉を倒すも、虎姫は蘇らず、鬼助は阿弥陀如来の前で腹を切る。阿弥陀如来の慈悲により二人は転生し十数年後めぐり合うが、お互い前世の記憶はない。鬼助との縁結びの約束を果たすべく弓弦葉は二人の夢枕に立つ。



【百姫エンド2】
<条件>
百姫エンド1クリアで入手できる「憑き落とし」と鬼助エンド1クリアで入手できる「無銘玉ノ緒」を装備してラスボスに挑む。
<内容>
明王の図りにより鬼助と戦うことになる。戦いには勝利するも鬼助の相打ちを狙った最後の一撃により致命傷を負う。陣九郎の合魂の術により百姫は生存するが記憶を失い、茶屋の老夫婦に拾われて「おぼろ」として過ごす。ある日、村を襲撃した人食い鬼をおぼろは尋常ならざる剣技で一蹴。お爺さんからは家伝の刀、お婆さんからはキビダンゴを受け取り、おぼろは自分が何者かを知るための旅に出る。そこには一匹の白狐がそっと付き添っていた。



【鬼助エンド2】
<条件>
百姫エンド1クリアで入手できる「憑き落とし」と鬼助エンド1クリアで入手できる「無銘玉ノ緒」を装備してラスボスに挑む。
<内容>
百姫陣九郎により既に将軍綱吉は討たれており、そのまま戦闘になる。戦いに勝利し陣九郎の魂のみを切ることに成功する。虎姫は阿弥陀如来との約束の通り天に召されるが、虎姫の最後の頼みによって鬼助は百姫に使えることになる。そして百姫の願いはこの世からすべての妖刀を狩りつくすこと。二人の妖刀狩りの旅が始まった。



【百姫エンド3】
<条件>
全ての剣を集めることで入手ができる「朧村正」を装備してラスボスに挑む。
<内容>
ラスボスの撃破まではエンド1と同じ。朧村正の力によって陣九郎は雪之丞に切りかかり百姫に乗り移ってしまう直前までに時間を戻される。そして陣九郎は雪之丞に切りかかることなくその場を去る。その後雪之丞と結婚した百姫。ある日、女中から城の前に一人の浪人が行き倒れていたと聞かされる。時を同じくして雪之丞はやや性格が荒々しくなったと百姫に指摘される。そして"雪之丞"は柳生新陰流をも越える新たな流派「飯綱流」を起こすことを百姫に告げる。百姫は"雪之丞"との間に3人の子をもうけ、名前の通り100歳まで幸せに暮らした。



【鬼助エンド3】
<条件>
全ての剣を集めることで入手ができる「朧村正」を装備してラスボスに挑む。
<内容>
ラスボスの撃破まではエンド1と同じ。朧村正の力によって鬼助は記憶をなくす前まで時間が戻る。これまでの戦いで得ていた知識と経験を元に、鳴神藩の滅亡を阻止し虎姫も生存する。鬼助は戻った際には攫いに来ると虎姫に告げ、外国に怨霊・悪霊退治をして狗頭龍村正を鎮める旅に出る。



DLCも充実の内容

DLC「元禄怪奇譚」


Vita版は有料DLCの追加シナリオとして「化猫」「一揆」「白蛇」「鬼娘」の4話が実装されている。各話463円+税。4話分の全部のプロダクトコード付きのお得なパッケージ版も販売されているので、購入検討させる際は詳しく確認されることを推奨。


それぞれのシナリオの長さ自体は本編の半分もないぐらいだが、すべてに二種類のマルチエンディングが用意されており通常エンドをクリアすると祠や本編のボスの攻略も可能になる。DLC四本すべて両方のエンドを見るくらいやりこむと本編に劣らないぐらいのプレイ時間になるほどのボリュームになっている。また、短いもののそれぞれのシナリオの完成度も高い。


プレイ時間はだいたい以下の通り。

  • 化猫エンド1  3時間30分
  • 化猫エンド2  8時間
  • 一揆エンド1  3時間
  • 一揆エンド2  5時間20分
  • 白蛇エンド1  2時間50分
  • 白蛇エンド2  3時間40分
  • 鬼娘エンド1  2時間30分
  • 鬼娘エンド2  3時間30分


合計約32時間。


1本約500円程度だが、内容を考えるとコストパフォーマンスは非常に高い。本編をクリアした人は続けてプレイされることを強く推奨。



DLCもマルチエンディング


以下、各エンドのメモ。(本編同様に内容は白文字)
それぞれのエンド2を見るためにはある程度やりこみもが必要なためか、エンド1の方がハッピーエンドに近いイメージがある。


【化猫エンド1】
本懐を果たすが化け物退治に雇われた飯綱陣九郎に尻尾を切られる。化けの力をなくしたお恋だが、和尚に拾われ村の猫たちとともに猫踊りをして穏やかに暮らす。陣九郎はお恋に最後に掛けられた呪いにより病に侵される。本編百姫編の前日譚となっている。
【化猫エンド2】
本懐を果たし、峠に住み着く化物となって人を喰らっていた。山の夜道に迷った小僧を喰おうとするが、三枚のお札の終盤のような展開になって餅にくるまれて和尚に食われてしまう。後には穏やかに眠る猫が残った。
【一揆エンド1】
悪徳家老を打ち倒すものの、その後あっさりと捕まって地獄に落ちる。地獄では鬼の人員削減によって鬼たちは苦しんでおり、鬼たちの窮状を閻魔大王に直訴する権兵衛たち。直訴を聞き届けるかわりに閻魔大王に地獄を追放され権兵衛、お妙、田吾作、茂平次の4人は現世に蘇る。新たな領主は善政をしき、豊作にも恵まれる。権兵衛とお妙は子供も産まれて幸せに暮らした。
【一揆エンド2】
ラスボスを倒すまでは同じだが夢オチのような展開に。実際は一揆は失敗し三人とも死亡しており、権兵衛は悪霊となってその地に取り付いて19年の月日が経過していた。旅の女行者(大人になった小夜)に救われ、お妙とともに成仏する。
【白蛇エンド1】
無明道人を打ち倒し、七日目を迎える。命を取らないという白蛇の提案を断り、弟伝五郎のことを託し息絶える。白蛇により伝五郎に嵐丸の首級と宝物の矛が渡され、伝五郎は白蛇の言いつけ通り嵐丸の塚を立てる。嵐丸は白蛇とともにその土地の神となる。
【白蛇エンド2】
無明道人を打ち倒すも嵐丸は身体を乗っ取られる。無明道人は白蛇の力も我が物とし、大蛇丸と名前を変え殺戮の限りを行う。大蛇丸に滅ぼされた尾形家の嫡子尾形周馬は、不知火に育てられ自来也と名乗り綱手姫とともに鳴神藩に身を寄せる剣士(帰国した鬼助)に師事する。二人は「憑き落とし」と「無銘玉ノ緒」を手に蝦蟇と蛞蝓の術による三すくみを用いて大蛇丸を討つ。
【鬼娘エンド1】
七福神の迎えにより羅邪は地獄に戻る。清吉は福禄寿からの助言の通りコツコツと働き良い縁談の話を受けていた。式の当日に逃げ出そうとする清吉だったが、花嫁の正体は閻魔大王の許しで人間界に来ていた羅邪だった。そして夫婦となった二人は末永く幸せに暮らした。
【鬼娘エンド2】
武士となった清吉は清兵衛と名前を変え、鬼退治の話を聞きに来た伝五郎に昔語りをする。絡新婦を倒した後、福禄寿の桃を食べてしまった羅邪はどこかに走り去ってしまった。その後、武士の家に使えるようになった清吉は鬼退治に駆り出され、羅邪と再会する。地獄にも戻れず、人間界でも悪い鬼とされた羅邪は自分を討ち取るように清吉に懇願する。かくして清吉は鬼退治の功績で出世を果たしたのだった。しかし、実際は清吉の起点で羅邪は生きており清吉の妻となって子供を授かり幸せに暮らした。



個人的には一揆エンド1と鬼娘エンド1が好き。



総評

改めて評価をもう一度。

作品評価:95点


非常に美しいグラフィックと作り込まれた世界観でいつまでもプレイしたくなる名作でした。また、DLCも一つ一つの完成度が高く仕上がっています。昔どこかで聞いたことがあるような昔話や怪談話などの要素が所々に練り込まれていて、和風なテイストのゲームや世界観が好きな人であれば絶対に楽しめるのではないでしょうか。間違いなくお勧めの名作だと思います。