ゆめろぐ

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【映画感想】『きさらぎ駅 Re:』




2025年6月13日に公開されたばかりの『きさらぎ駅 Re:』の感想です。

本作は2022年6月公開された『きさらぎ駅』の続編です。個人的には非常に楽しめた良作続編だったと思います。

【前作の感想】
www.yumekichi-blog.com



以下、本作のネタバレをがっつり含んでいる場合がありますので予めご了承ください。




目次

 


基本情報


画像出典:公式Twitter(@kisaragi_movie)

 

  • 監督:永江二朗
  • 公開:2025年6月13日
  • 評価:★3.5(最高★5)

 
 
「2ちゃんねる」への実際の投稿から広まった都市伝説「きさらぎ駅」を元にしたホラー映画の続編。
都市伝説の「きさらぎ駅」をベースにしているものの、前作に引き続きストーリー自体は本作独自のものになっている。前作のラストで現実世界に帰還することができた女子高生の宮崎明日香が本作の主人公。

キャッチコピーは「異世界へ――再び―」。


また、2022年6月3日に公開された前作『きさらぎ駅』の3年後の世界を舞台にしている。



前作を見ておいた方がいいか

結論から言うと、絶対に前作を見てからの方がいいです。

完全に「前作からの続きです」という内容の作品になっているので、前作をすっ飛ばして本作から観る意味はあまりないと思います。前作も80分程度でサクッと見れる作品なので、本作を劇場に観に行くのであれば絶対に前作を見てからにするのをお勧めします。



感想

今回もストーリーは良かった

前作も見る前はあまり期待してなかったんですが、実際の所はストーリーがかなり良くて期待以上に楽しめたという感想でした。
本作もそこは同じで、ストーリーや構成がかなり工夫されていて82分の上映時間を十分に楽しめたと思います。元ネタは短い都市伝説なので、1作目の時点で「良く1本の映画として飽きさせない造りにしたよ」と感心したものですが、本作でも前作からの流れを壊すことなくちゃんと続編ならではの工夫があって「2作トータルで飽きさせない作品」に仕上がっていたと思います。

低予算B級ホラーの腕の見せ所はやっぱり「ストーリーやシナリオ構成の見せ方をいかに工夫して面白い作品にするか」だと思いますが、その観点で見れば本作は2作連作として天晴な完成度になっていたんじゃないかと思います。



前半パートはザ・ノンフィクション

前作の感想では「前半はFPS、後半はRTA」と書きましたが、本作の前半パートは「ザ・ノンフィクション」。

前作のラストで現実世界に帰ってきた宮崎明日香(本田望結)が「アンチフィクション」という番組名のノンフィクション番組に密着を受けて、前作の後の生活や世間からの反応、前作キャラクターの一部のその後等が語られています。

一言で言えば「きさらぎ駅」の存在を誰にも信じてもらえず、頭のおかしい人物としてネット上でバッシングをうける明日香が再び「きさらぎ駅」を訪れるまでの話が前半パート。「きさらぎ駅」の異世界の話は前作でもすでに2周やっているので、本作冒頭では現実世界の描写を一旦挟んだのは良かったと思います。前作ラストで「きさらぎ駅」を訪れてしまった葉山純子の姪の凛の話も回収されていました。

後半に向けて準備パート化と思いながら見ていた前半ですが、ここでの明日香の発言がちゃんとラストの展開のフリになっていたのは良かったですね。




後半パートは死にゲー

ついに2回目の「きさらぎ駅」に訪れた明日香。
一部メンバーは変わっているものの、前作主人公である堤春奈(恒松祐里)とも再会を果たしました。やっぱり春奈役の恒松祐里さんの演技は前作から良かったですが本作でもかなり抜けていた印象ですね。

そして始まる前作視聴者からすると3周目になる異世界攻略。すでに攻略情報を持っているキャラクターが二人もいるので、かなりサクサク進んでいきます。この手の作品はどうしても同じことの繰り返しになってしまうので、この辺のテンポが良くて見ていて「ああ、またか・・・」と思う暇が無かったのは良かったですね。

順調に攻略を進めていたわけですが、本作では前作になかったイベントが発生。それは「全滅」。誰一人光の扉をくぐることなく全滅すると全員の記憶を引き継いで最初からやり直しになることがわかりました。ここから始まるのはゴールにたどり着くまで何度も死んでやり直す「死にゲー」パート。前作でも「FPS」パートや「RTA」パートがあってまさにゲームみたいでしたが、本作でもそれを踏襲しつつ新展開に持って行っていたのが良かったです。


死んで戻ってを繰り返していくうちにメインの2人以外のメンバーとも絆が芽生えて行って「次こそクリアしよう!!」みたいなスポ根感が出て来ているのが面白いです(車の運転が上手くなる明日香をみんなが褒めたりするとことかもね)。というかもう本作は「ホラー」というジャンルの内容ではなかったと思います。




ダブル主人公がよかった

前半パートで「春奈が100%善意によって自分を助けたわけじゃない」ということがわかってしまう明日香ですが、後半の死に戻りゲーを繰り返すうちにこの二人の関係が深まっていくのは見どころの一つだったと思います。

前作の感想で「春奈は強い主人公」みたいなことを書きましたが、本作では明日香も「きさらぎ駅」の情報を持ってのスタートなので、新旧主人公の連係プレイでサクサク攻略を進めていくところは見応えがありました。最初はすれ違いがありながらも次第に絆が芽生え、大きな目的に向かって協力して、最後には自分を犠牲にしてでも相手を助けようとする。「僕たちが『ガンダムSEED DESTINY』のラストで見たかった新旧主人公の姿はこれだったんだ!!」といいたくなる二人でした(笑)。




ラストシーン

明日香の目論見通り全世界に「きさらぎ駅」への生き方が拡散され、「きさらぎ駅」が多くの人間で溢れかえることになったラストシーン。前半パートでの明日香のセリフがここでちゃんと回収されるのは良かったです。これだけの人数になるとどんなルールになるのかは気になる所ですが、これまで通りゲームに例えると大人数の中から優勝者(=現実に戻れる人)を決めるという『Fall Guys(フォールガイズ)』的な感じになっていくのかな、と思います。次作があるかはわかりませんが、またこれまでと違った展開で作れそうな期待感はありますね。


もうちょっと真剣に考えて見ると、前作ラスト(明日香が帰った時点)で異世界に残っていたのは春奈・若者3人・サラリーマンの5人。本作で明日香が来た段階で明日香を除くといたのは春奈・ホスト・だいすけ・夫婦の5人なので人数は変わってません。なのでここまではずっと「異世界に取り残されていた5人+新たにきた1人」の形で話が進んでいたと思います。ただ、本作から登場した夫婦が別々に来たとは思えないので、合計人数が変わっていないことを踏まえるともしかしたら「入ってきた人数と同じ人数帰れる」というルールなのかも(夫婦の時は二人来て二人帰ったから人数変わっていない)。そのルールだとすると本作ラストみたいに人が来れば来るほど帰れる確率は高まるわけですが、もし続編を見るなら上の方のフォールガイズルール(大人数の中から一人の優勝者を決める)の方が面白そうです。



総評

改めて本作の評価。

評価:★3.5(最高★5)


ということで前作に引き続き正直あまり期待してなかったんですが、それをい意味で裏切られてそれなりに楽しめた良作といった感じの作品だったと思います。
この作品の永栄監督は同じような2ちゃんねるの都市伝説をもとにしたホラー作品『真・鮫島事件』『リゾートバイト』等も撮っているようなので、そっちも見てみたいと思います。



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