ゆめろぐ

ゆめろぐ

仕事・趣味・生活について書き連ねていく雑記ブログです。

【映画感想】『きさらぎ駅』




2022年6月3日に公開された『きさらぎ駅』の感想です。

2025年6月13日に続編の『きさらぎ駅 Re:』が公開予定となっており、その前に見ておこうということで今回配信で初めて視聴しました。


以下、本作のネタバレをがっつり含んでいる場合がありますので予めご了承ください。



目次

 


基本情報

きさらぎ駅 [DVD]

 

  • 監督:永江二朗
  • 公開:2022年6月3日
  • 評価:★3(最高★5)

 
 
「2ちゃんねる」への実際の投稿から広まった都市伝説「きさらぎ駅」を元にしたホラー作品。
都市伝説の「きさらぎ駅」をベースにしているものの、ストーリー自体は本作独自のものになっている。

キャッチコピーは「そこは、たどり着いてはいけない異世界」。


また、本作の3年後を舞台にした続編『きさらぎ駅 Re:』が2025年6月に公開予定。





 

都市伝説「きさらぎ駅」とは

感想の前に本作の元になった都市伝説「きさらぎ駅」についてざっくりと。
 
・ネット掲示板の2ちゃんねるに2004年1月8日に投稿された実況形式の書き込みが元になっている。
・投稿者の「はすみ」が「乗っている電車(新浜松駅発の遠州鉄道とされる)の様子がおかしい」という投稿をしたことが始まり。
・なかなか停車する様子が無く、乗っている乗客は全員眠っている。やがて到着したのは「きさらぎ駅」という見知らぬ駅だった。
・「きさらぎ駅」に到着する前には「伊佐貫(いさぬき)トンネル」というトンネルを通った。
・「きさらぎ駅」で降りるとそこは奇妙な世界だった。
・通りかかった車に乗せてもらったという報告を最後に「はすみ」は消息を絶つ(書き込みが途絶える)。
・「はすみ」が最後に書き残した地名は「比奈」(静岡に実在する地名)だった。
・2011年6月30日に「はすみ」を自称する人物から「7年ぶりに元の世界に戻ることができた」という書き込みがあった。


ここに登場する「きさらぎ駅」「伊佐貫トンネル」という地名は実在していません。現在では異世界に迷い込んでしまった人物の体験談、という形の都市伝説になっています。
本作はこれをベースにしているので、この辺をざっくりとでも知っておくとより楽しめると思います。



感想

トータルで見るとストーリーは良かった

まずトータルの印象を言うと、期待していた以上に楽しめました。
正直「まあB級ホラーだし」というぐらいの感じであまり期待をしておらず、さらに前半部分は正直結構酷かったということもあって、「これハズレだったかな~」という印象だったんですが、後半パートに入ってからだんだん盛り返してきてラストまで結構がっつり見入ってしまっていたと思います。

その辺の細かい話は次項以降にするとして、全体のシナリオ構成が結構良くて1本の映画として十分楽しめる出来に仕上がっていたと思いました。正直映像はかなりチープで、ホラーシーンもほとんど怖くないし逆に笑っちゃうぐらいだったんですが、その分シナリオや構成の工夫で楽しませるという「低予算B級ホラーはこうあるべき」というところはしっかりと守られていたように思います。



前半パートはFPS

前半では「はすみ」こと葉山純子が、「きさらぎ駅」に迷い込んで7年後に元の世界に戻って来るまでのことが描かれています。「神隠し」というテーマの卒業論文のために葉山にインタビューをしに来た本作の主人公である大学生・堤春奈に対して、当時のことを振り返って語るという回想パートのような形式で進んでいきます。

そしてこの葉山純子の「きさらぎ駅」の世界での体験はなんとFPS(葉山の一人称視点)での映像となっていました。これに関しては確かに物珍しさはありましたが、正直「なんか見辛いな」という印象の方が強かったです。前の方にも書いた通りホラー部分の表現は全部チープで笑っちゃうぐらいのものなので、この前半パートは「出来の悪いVRホラーゲームって感じの映像」という印象でした。それと申し訳ないんですが全員のセリフの下手さがきつくて中々会話が頭に入ってきませんでした(もしかしたら雰囲気のためのあえての棒読みとかもあるのかも?)。

ということで前半部分は映像のチープさとセリフの下手さで正直見ていてきつかったです。



後半パートはRTA

葉山純子から当時の話を聞いた堤春奈が自分も実際に「きさらぎ駅」に行って見るというのが後半パート。
ここはループもののような構成になっていて、前半パートで葉山純子の身に起きた出来事を今度は春奈が体験していくというか流れにな手います。視聴者からすると2周目の映像になるわけですが、主人公の春奈の動きや立ち回りが非常に良くて見ていて面白かったです。

具体的に言うとこの春奈が強い。葉山純子から当時の話を聞いていて流れを全て知っているので、襲い来る怪異に対してすべて先回りをするように対処していきます。いうなれば攻略方法を知った状態でゲームをクリアしていくように、もしくはクリアしたゲームの周回プレイのように、「きさらぎ駅」の奇妙な世界を攻略していきます。まさに後半パートは「きさらぎ駅攻略RTA」という感じでした。途中オリチャーに入りながらもしっかり対応していくことろは、中々に強い主人公という感じで見ていて気持ち良かったです。

ループものってうまくやらないと見ている側は飽きが来やすい(何回も同じ映像を見せられるので)んですが、本作の2周目パートはそこを「うまくやっていた」という感じだったと思います。


そして攻略情報の通りに「きさらぎ駅」を攻略していったと思いきやラストに待ち受けるどんでん返し。ここは素直に「やってくれたな~」という感じでした。しんどかった前半パートの中にちゃんとラストの伏線が配置されていたのも素直に天晴だと思います。



主人公がよかった

とにかく本作主人公の堤春奈が良かったです。
前述の通り、後半から盛り返していく作品をしっかりと引っ張る主人公という感じでした。

演じられている恒松 祐里さんは可愛かったし、本作の中で唯一といっていいくらい演技が普通に上手かったです。後半のRTAパートをサクサク進めていくキャラクターに雰囲気が合っていて、いいキャスティングだと思います。



続編は・・・

本作のラストやエンドロール後の映像で次に繋がりそうな要素は以下の通り。


<一応ラストのネタバレなので白文字にしています>
葉山の策略で「きさらぎ駅」の世界に取り残されてしまった春奈
春奈の代わりに現実世界に戻ってきた宮崎明日香(本田望結)。明日香は次作の主人公ポジションになりそう
最後の最後で配信をしながら「きさらぎ駅」の世界に入っていった葉山凛(葉山純子の姪)


次作『きさらぎ駅 Re:』はがっつり本作からの続きの内容になっているようなので、まずは本作を見てから順番に次作を観るのがよさそうです。



総評

改めて本作の評価。

評価:★3(最高★5)


ということで正直あまり期待してなかったし、前半パートは結構見ていてきつかったんですが、後半盛り返して全体としての構成はそれなりに面白かったという印象の作品でした。

とりあえず次作『きさらぎ駅 Re:』は劇場に観に行こうと思っているので、そっちも観てきたら感想を残しておこうと思います。