ラーメンズというコンビをご存知でしょうか。
今から20年近く前から舞台を中心に活躍し、コンビとしての公演はすでに8年前から行われていないにも関わらず、いまだに根強い人気を誇っているコンビです。そして、10年以上前から僕が最も好きなお笑いコンビでもあります。
2017年1月より、彼らのコント100本がYouTubeで視聴できるようになっています(公式です)。そこで、今回は現在視聴可能なものの中から、僕が独断と偏見により「これだ!」と自信をもっておすすめできる傑作コント16本をご紹介します。
知る人ぞ知る稀代のコンビのその独特の世界を是非ご堪能ください。
<目次>
基本情報:ラーメンズってどんなコンビ?
ラーメンズは小林賢太郎と片桐仁の二人からなるお笑いコンビです。
シュールなどとも評される独自の世界観に、巧妙に張り巡らされた複線、計算し尽くされたストーリー、しばしば「お笑いと演劇の中間」ともいわれる独特なコントをメインとしています。
小林は脚本・演出を担当、声帯模写・形態模写(パントマイムも含む)・手品を得意とする。片桐は天然のセンスで面白い動きを担当。
小林はラーメンズの脚本家・演出家・俳優。片桐はラーメンズの御神体・俳優 (超ワタクシ日記より小林談)。また、片桐は彫刻・陶芸を、小林は漫画・エッセイなどを副業にもつ。
主に舞台で活動。テレビ番組は過去に『爆笑オンエアバトル』(NHK)・『完売劇場』(テレビ朝日)などに出演していたが、近年は舞台公演を中心としている。小林は「自分がやりたいことだけやりたい。そのためには舞台が1番。評価もすぐわかる。そこがいい」「自分の目の届く範囲でやりたいんです」としている。
引用:ラーメンズ - Wikipediaより抜粋
ラーメンズの魅力
独特の世界感
彼らが行うのはコントでありながら演劇のようでもある。一つ一つのコントの中に計算されつくしたストーリーがあって、小林さん曰くラーメンズの世界は「日常の中の非日常ではなく、非日常の中の日常」。見ている側からすると不思議な世界観だけど、そこにいる人物たちには当然のように過ごしている。そんな不思議な空気感にいつもの間にか引き込まれます。
また、言葉遊びネタやセンスのある言葉選びも特徴的で、コントを見た後はなんとなく賢くなったような気がすることも。
共感を促すことによる笑い
言葉での説明を最小限にとし、共感を促す"空気"によって観客を笑わせる、所謂「意味が分かると面白い」ポイントが随所に含まれています。意図的に観客全員に共感させるものもあれば、時にはある程度の予備知識が必要なものまで。
シンプルな舞台からの無限の表現力
ラーメンズのコントは基本的に道具や舞台背景はほとんど使用せず、たいていの場合舞台に置かれているのは2つの箱(椅子として使うことが多い)。必要なことは、パントマイムや口から発する音で状況を説明しており、彼らのパントマイムのうまさと前述の共感を促す空気とが相まって、目に見えていないだけで本当にそこにコントの小道具があるかのように感じます。
コンビ以外の活動も注目!
彼らはコンビ以外にも多くの方面で活動をしていて、特に小林賢太郎プロデュース公演(他の役者さんも交えた舞台公演)や小林さんのソロコント公演「Potsunen」など、映像化されている作品も多々あります。
【プロデュース公演のご紹介はこちら】
笑える演劇、小林賢太郎プロデュース公演の魅力とおすすめの公演4選 - ゆめろぐ
YouTubeでのコントの公開について
ラーメンズ公式 - YouTube
2017年1月1日、小林賢太郎氏のHPにてラーメンズとしての過去のコント100本をYouTubeにて公開することが発表されました。現在、YouTubeのラーメンズ公式チャンネル(上記リンクをクリック!)から無料で視聴することができます。動画再生による広告収入は各地での災害の復興に役立てられるために、日本赤十字社に寄付されます。
ちなみに映像化のない第1~第4公演の総集編的な公演「零(ゼロ)の箱式」の作品はアップロードされていませんので、今回の紹介からも省いています。片桐概論とか文庫本とか日本語学校とか大好きなんだけど…。「零の箱式」自体はDVD化されているので、気になった方はこちらもおすすめです。
おすすめの傑作コント16選
「読書対決」
第5回公演「home」より。
実にラーメンズらしいコント。それぞれ別々の本を持ち寄った二人が、本に書かれた内容を交互に読み上げながら内容を争わせていく。当然ながら読み上げる内容はだんだんとおかしな展開に…。
扱われる本も、「ロミオとジュリエット」「レ・ミゼラブル」など実在の名作が多く、見る方にもある程度の知識があった方がより楽しめる所もラーメンズらしい。(もちろん原作を知らなくても十分楽しめます。)
本の内容はおかしな展開になっていくにも関わらず、それらの本を読みたくなってくるのも彼らの不思議な空間に引き込まれているからなのか。読書をしようというきっかけにもなる、かも…。
続編の「読書対決 news編」もあわせておすすめ。
「英語で話そう」
第7回公演「news」より。
英語が話せるようになるために日常会話を英語で話そうとする男(片桐)と、それに付き合う友人(小林)の話。
ラーメンズ日常編。怪しげな英語も交えた彼ら二人の掛け合いが面白くて目が離せない。英語が苦手な僕としては、片桐さんのいい加減な英語は笑えながらもどこか共感を覚えてしまう。
アイアム、トイレット、レボリューショーン!!
そして、最後のオチの一言も中々に秀逸。
「時間電話」
第8回公演「椿」より。
非日常の中の日常編。どこに繋がっているのかわからない不思議な糸電話を見つけた二人の男の話。
ちょっと不思議なSFっぽいお話。見ている側からするとおかしな世界だけど、そこにいる人物たちは当たり前のように順応している。そして自分もそこに一緒に立っているかのように先の展開を考えずにはいられなくなるんですよね。
あと、小林さんの白スーツの立ち姿がカッコいいです。
「高橋」
第8回公演「椿」より。
高橋と高橋の話。
高橋が名字の9割を占めている世界の話。よくもまぁそんな設定を考えたものだと。
「高橋いるじゃん?」
「高橋ってどっちの高橋?」
「高橋の方」
「ああ、高橋じゃない方な」
この会話が秀逸すぎる。見てない人は何を言ってるかわからないかもしれませんが、見てもらえればクスッとくる理由がわかると思います。ああ、そんな会話あるよね~、って感じな。
「器用で不器用な男と不器用で器用な男の話」
第9回公演「鯨」より。
ファンの中でも恐らく一二を争う人気作なのではないでしょうか。
画家を目指してバイトをしながら自由に生きる(でも成功はしていない)男(片桐)と、彼に憧れる真面目で面白味のない(でも人生は成功しているように見える)男(小林)の会話の掛け合い。
クスッと笑えて、かつ泣ける名作です。途中ウルッとさせながらも要所で笑わせることも忘れない。こんなコントをする人を僕は他に知りません。泣ける部分の演技については、小林さんは実際にそうなった所を想像してホントにちょっと泣きながらやったこともあるんだとか。
「男女の気持ち」
第10回公演「雀」より。
小林さんの様子がなにかおかしかった第10回公演から。フラれた女を見返すためにアイドルになろうとする男(小林)と、それを止めようとする男(片桐)の話。
男女の気持ちを理解するために、途中でちょいちょい挟まれるミニコント(劇中劇?)も見所の1つ。というかメイン?
ハインリッヒーズってホントにいるグループかと思ってたよ。
「本人不在」
第11回公演「CHERRY BLOSSOM FRONT345」より。
名作揃いの第11回公演「CHERRY BLOSSOM FRONT345」より。
某N○Kの受信料取り立ての男と、あの手この手を使って払わないで済まそうとする男の話。
僕の中ではトータルでも一二を争う傑作だと思っています。早口での畳みかけなど、小林さんのトーク全開の作品。
とにかく二人の掛け合いを楽しんでください。
「エアメールの嘘」
第11回公演「CHERRY BLOSSOM FRONT345」より。
アラスカで恐竜の化石を発掘しているという友人からの手紙を読む二人。手紙に書かれている内容の不自然な点が次第に明らかになっていき・・・。
日常的な会話の流れの中から、よくここまで面白い方向に持っていけるものと感動すら覚えます。11回講演は良作の日常ネタが多いです。
途中の小林さんのティラノサウルスの物まねが地味にうまい。ジュラシックパークを見たことがある人ならわかる!
「小説家らしき存在」
第11回公演「CHERRY BLOSSOM FRONT345」より。
謎の天才小説化と、彼を訪れた出版社の男の話。
サスペンス・ミステリー要素の強いネタ。ラーメンズのコントには時々こういうのが入ります。その先の展開にハラハラさせられながらも、要所で笑わせるのは忘れません。
「このネタ気に入ったかも!」という方には『採集』や『後藤を待ちながら』などもおススメです。
「マーチンとプーチン2」
第11回公演「CHERRY BLOSSOM FRONT345」より。
ラーメンズと言えば歌ネタが多いのも特徴。一度聴いたら頭から離れなくなるんですよね。
ちなみにこのネタの歌の原曲はロシア民謡のカチューシャなんですが、たまに街でこれを聞くとこのネタの歌詞を口ずさんでしまいます。
特に小林さんの歌がうまく、彼の美声(?)も見どころの一つです。他にラーメンズの歌ネタといえば『怪傑ギリジン』シリーズ、『帝王閣ホテル応援歌』、『採集』、『条例』などもおすすめです。
「蒲田の行進曲」
第11回公演「CHERRY BLOSSOM FRONT345」より。
会社の花見の場所取りをする二人の男の話。
破天荒で横暴で俺様な「近藤さん」(片桐)と、幼いころから彼にあこがれる「大島」(小林)の話。小林さんが片桐さんに憧れる役柄のコントは胸に来るものが多いです。シナリオ書いた人(小林さん)の本音が出ているのかな?
おそらくこちらもファンの中では一二を争う人気作だと思う。話のモチーフはタイトルからお察しの通り蒲田行進曲。動画を見た後にでも、wikiかなんかで蒲田行進曲の大まかなシナリオを見てみるとニヤリとできるところがたくさんありますよ。
ちなみにこれを見られる場合は、上でご紹介した『エアメールの嘘』を先に見ておくことを強くお勧めします。
「受験」
第13回公演「CLASSIC」より。
大学受験を前日に控えた七浪の男と、家庭教師の話。
片桐さんの演じる英語のできない浪人生の珍回答と小林さんの鋭いツッコミに笑いながらも、「ザ・勉強が下手な奴」仲間である僕としては共感を覚えてしまう所も・・・。
Yes, I do The!!
「金部」
第14回公演「STUDY」より。
交通量調査のバイトをしている「金部」の二人の会話。
どこかで聞いた気がする歌と、日常で使いたくなる(使えるとは言ってない)算数クイズが見どころ。算数ネタは紙とペンを用意して色々と考えてみたくなる、かも。
「風と桶に関する幾つかの考察」
第15回公演「ALICE」より。
「風が吹いたら桶屋が儲かる」ということわざを元にした言葉遊びネタ。ラーメンズはこんな風な言葉遊びネタが多いのも特徴です。
ちなみにこのことわざは、
- 風が吹いて土埃が舞う
- 目に入って、盲目になる人が増える
- 目が見えない人は三味線を習う(そんな風習があった)
- 三味線につかう猫皮の需要が増えて猫が減る。
- 猫が減れば天敵がいなくなってネズミが増える
- ネズミは桶をかじる
- 桶屋が儲かる
という全く関係がないと思われる物事に因果関係がある時の例えです。他の言い方をすればバタフライエフェクトとか?
「同音異義の交錯」
第16回公演「TEXT」より。
同じく言葉遊びのネタ。こちらは同音異義語を用いています。本当によくこんなものが思いつくものだと。
言葉遊びネタが気に入られた方には、『ドラマチックカウント』などもおすすめ。
「不透明な会話」
第16回公演「TEXT」より。
透明人間の存在について語り合う二人の話。
こちらも日常的な会話だったはずが、段々とおかしな方向に・・・。ラーメンズは二人が並んで座ってただ会話をするという形式のネタが鉄板で面白いですね。
こんな軽快で可笑しな会話ができるようになりたいものです。(相方も必要ですけど。)
ちなみにこの話は次の『条例』にも繋がっています。
さいごに
僕はこれで作業用BGM動画には困らなくなりました(笑)
ラーメンズは人を選ぶというか好みがわかれるネタも多くありますが、極力初めての人でも楽しめるネタをチョイスしてみたつもりです。まだまだ面白いコントはたくさんあるので、この記事も少しずつ増やしていこうと思っています。
おしまい。
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