2026年3月20日に公開された『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を観に行ったのでその感想です。
ちなみに原作の小説は未読で、完全に事前知識なしで観ています。
以下、本作のネタバレをがっつり含んでいますので予めご了承ください。
目次
基本情報

画像出典:映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』公式X(@ProjectHM_movie)
- 監督:フィル・ロード、クリス・ミラー
- 公開:2026年3月20日
- 評価:★3.5(最高★5)
同名のSF小説(作者:アンディ・ウィアー)を元にした作品。
人類の存亡をかけた無謀なプロジェクトに孤独に挑む科学者グレースと、未知の地球外生物とのファーストコンタクトを描いた作品。
主演はライアン・ゴズリング。
タイトルの「ヘイル・メアリー」は「神頼み」「一か八か」「やけくそ」といった意味があり、作中の人類の存亡をかけるにはあまりにも無謀な作戦のことを示している。
感想
ビジュアル面は素晴らしかった
本作の主な舞台となるのが宇宙船の中や宇宙空間、そして地球外生命体の船や地球から遠く離れた惑星。このあたりのビジュアルや宇宙船内外等の描写は文句なしといった感じでした。
「最新の技術と予算で宇宙SF作品をしっかり作ったらこうなります」というのをきちんと示したお手本のような出来だったんじゃないかと思います。
2人目の主人公と言ってもいいロッキーも、未知の生物感と可愛さのバランスがちょうどいいデザインやビジュアルになっていました。
本質的にはバディもので密室劇
本作の作品としてのジャンルは当然SFだと思いますが、もう一つ大きいのはやはり主人公グレースと異星人のロッキーのバディ作品という側面です。
予告の映像なんかでもこの二人の友情みたいな部分が前面に出されていたように見えました。この部分は観ていて純粋に面白かったですね。
二人が会話をできるようになっていく過程は映画の尺の問題もあってかややご都合に見えなくもなかったかな。あそこまでのコミュニケーションを取れるようになるには数か月とか必要になりそう(作中で二人が出会ってからどのくらいの日数がたったのかは明言されてなかった気がするけど)。その辺はどうやら原作小説ではもっとしっかり描写されているみたいですね。
あともう一つの特徴は基本的にグレースがロッキーと宇宙船ヘイルメアリー号のなかで過ごす時間が大半になる密室劇だったという所。広大な宇宙空間の中での密室劇というのも中々面白い対比だなと思いました。そのためどうしても映像は単調になってしまうので、カットバックで地球でのできごと(グレースが宇宙に来ることになった経緯)を頻繁に入れていたのは正解だったと思います。
多分原作を読んだ方が楽しめる
僕は原作未読で観に行きましたが内容自体はそれでも十分理解出来ました。なので原作未読だと楽しめない、ということはないと思います。
ただ、多分ですが原作を読んでいた方が楽しめる作品ではあると感じました。原作は結構長い小説だと思いますが、それを頑張って1本の作品にまとめています。そのため展開やテンポが速いのは良いんですが、原作未読だと作中で起きている出来事や科学的な背景を頑張って理解しているうちに次の展開に入ってしまうので、結構ついていくのがやっとな所がありました。
今回一緒に観に行ったのが原作既読勢だったんですが、やはり原作既読済の友人の方がより内容を正確に理解して楽しめていたように思います。
なので原作未読でも1本の作品として十分楽しめる出来ではあったと思いますが、読んでいた方がより楽しめるのは間違いないんじゃないかと思います。
あとはいつも洋画は基本字幕で観るので本作も字幕で観たんですが、吹き替え版の方が良かったような気もします。どうしても字幕を目で追うのにリソースが割かれる部分があるので、本作のように理解を追いかけながら見ることになる作品は情報が多く入ってきやすい吹き替えの方が良かったかなと思います。
ツッコミどころをいくつか
最後に気になった所やツッコミどころをいくつか。
1つ目はやはり1本の映画にストーリーをまとめるということでダイジェスト的な部分や説明不足で不親切な部分があったのは否めないです。一番感じたのはタウメーバの部分がかなりあっさりでしたね。ダイジェストみたいに「なんやかんやあってうまい感じに品種改良と繁殖ができました」という感じで提示されるので、「あ、そうなんだ・・・。やけにあっさりだね」という印象がありました。なのでこの後にロッキーが実は生きていた、の所でもあまり「感動!!」みたいな感じにまではなりませんでした。この辺も原作ではロッキーが死んでしまったと思ったグレースの孤独な戦いがもっとしっかりと描かれていたみたいですね。
もう一つ一番気になったのは一緒に船に乗っていた船長のヤオとエンジニアのイリュヒナが死んでいた理由。ここは間違いなく説明皆無でした。実はグレースが目覚める前に色々と問題が起きていてその結果この二人が死に至ってしまう、みたいなネタバラシがどこかで入るのかと思って見ていたらまったくなかったので、見終わって「あれ?」となりました。
原作によると「昏睡状態での宇宙空間の長期移動に耐えられなかったから」だそうです。え、じゃあ犬死に・・・?
結果論ではあるものの生き残ったグレースが一人で最後までやり遂げているので、物語的にこの2人がいた理由ってあったのだろうか。逆にグレースが死んでそれ以外の誰かが生きていたとしても操縦士やエンジニアの2人にはタウメーバの改良・培養は出来なかった気がするので、生き残ったのがグレースじゃなかったら人類は詰んでたということになるんじゃないかと。操縦士とエンジニアと科学者で役割を分けているのは理屈としてはわかるんですが、昏睡状態でそのまま死ぬ確率が結構あるとするならば話は大きく変わってきます。仮にこの昏睡状態に耐え抜ける確率が3分の1だったとするのであれば、最初から「必要最低限の操縦と保守の技術を叩き込んだ科学者」を3人用意する方向で動いた方が良かったのでは、と思いました。ここが本作で一番のツッコミポイントですね。
総評
改めて本作の評価。
評価:★3.5(最高★5)
1本の映画として十分に楽しめる内容にはなっていました。グレースとロッキーのバディ的な話も良かった。
ただ、原作を読んでいた方がより楽しめる内容なのは間違いないと思いました(それがダメだとかを言うつもりは無いけど)。
原作小説の方も名作らしいので、どこかで読んでみたいです。

