ファンタジスタ ステラ/草場道輝
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【あらすじ/概要】
前作『ファンタジスタ』から8年ぶりとなる続編として、『週刊少年サンデー』2012年45号(10月10日号)から2015年38号(8月19日号)まで連載[3]。ステラとはイタリア語で恒星を意味する。前作の世界観を共有し、主人公の坂本をはじめとした登場人物達が2014 FIFAワールドカップ出場を目指すストーリー[3]。
原案協力、および主人公の坂本轍平と並ぶ「もう一人の主人公」役として日本代表の本田圭佑が参画しているが[3][4]、これは作者の草場と草場のファンだった本田が2009年に『ビッグコミックスピリッツ』誌上で対談したことをきっかけに、交流をもっていた縁によるものである[3]。作品内には、本田の経験や哲学が反映される予定となっており[4]、本田は「作品に登場する自分から何かを感じとってほしい」とコメントしている[3][4]。
【こんな人におすすめ】
・サッカーを詳しくは知らなくても、日本代表の試合は見るよ!って人。
・W杯本戦での日本代表の戦いをリアルに楽しみたい人。
・前作「ファンタジスタ」のファンの人。
・日本代表、本田圭佑選手のファンの人。
・イタリア代表、イタリアサッカーが好きだった人。
【レビュー】
前作「ファンタジスタ」数年後を描いた正当な続編。
主人公てっぺいやライバル達は日本代表の中心選手へと成長している。
一番の特徴は日本代表の本田圭佑選手が原案協力していて、本人役で登場しています。
前作に比べてコミカルな表現が増え、戦術的な部分は少し薄くなったかな?という印象です。
前作の重厚で堅実な展開と比較すると少し薄い展開に感じてしまったのは、続編の難しさが出てしまったのかなと思いました。現実の選手を参入させてたこと、実際のW杯と並行した日程で進められていたことなど、色々と難しい点は多かったのかなと思います。
実在する選手のパロディが多く登場するようになった(ロナウド、メッシ、バロテッリ、ネイマール、エジル他)のも面白い反面、内容の薄さを感じさせられてしまう点かもしれません。
前作でもモデルとされる実在選手はいましたがエッセンス程度でした。今作は名前をもじっている程度で、ほぼ本人なイメージです。
それでも「あの時のあのキャラが!?」という所を楽しみに読み進められるのは続編ならではでないかと思います。「前作のライバル達は今どうしてるの!?」と思いながらページを進める手は止まりませんでした。
今回からの新キャラもいい味を出しており、前作の中心キャラと新キャラが、時にポジションをかけて争いながらも次第に融合して強敵と戦う所はシリーズものの醍醐味ですね。
また、前作で「世界」の象徴だったイタリアが史実の通り(?)時代に乗り遅れて苦悩する姿も描かれています。
前作当時からイタリア、ひいては欧州のサッカーのトレンドがどのように変遷していったかが描かれているのも興味深いポイントです。
本作だけでも十分に楽しめる作品ではありますが、まずは前作「ファンタジスタ」を読まれてから手に取られることをお勧めします。
※以降ネタバレも含まれるので注意。
【忘れられない名台詞】
日の丸を背負おうとするモンに、
諦める権利なんかねーんだよ。
日本代表候補 陸奥武彦 (単行本5巻)
次回のW杯に挑む日本代表の座をかけたゲームで。
陸奥は選手としては終盤を迎えたキャラクターですが、日本代表の魂を見事に示し、戦意を失いかけていた選手達の心に火をつけました。
読んでいる側も熱くなってしまうシーンです。
このあとのグロッソ監督の「これが、歴代最多キャップを背負ってきた男の存在感(プレゼンス)だ。」までの流れが非常にいいです。
なお、陸奥は実際の選手でいうと、ゴン中山と三浦カズを併せた(ゴンより)ような選手です。
お前は正真正銘のバカを知らない・・・
この世には、人知をはるかに超えたバカが存在するんだ。
イタリア代表 アンドレア・ファルコーニ (単行本5巻)
ギャグシーンです。
ここで言及されている「バカ」はイタリア代表のマリオ・パンテッラ。モデルはもろマリオ・バロテッリです。
ちなみにもう一人の「バカ」として前作に引き続き生粋のストライカー、トトも登場しています。
イタリア代表の攻撃陣は、マルコ、トト、パンテッラ。みんな守備しない・・・。
前作の「守備をしないファンタジスタは必要悪。許容できても1人まで。」というスタンスを考えると、時代は変わったものです。
やっぱりオレたちには・・・
あいつ(マルコ)が必要だ!!
イタリア代表メンバー (単行本6巻)
ファンタジスタが時代遅れのものとなり、スペインのパスサッカー・ドイツのシンプルで力強いサッカーを取り入れてきたイタリアが、それにも限界を感じて一人のファンタジスタの復活を望む。
やはり昔からのイタリア好きとしては、イタリアの背番号10は特別な選手が背負うものというイメージが強いです。
それでも頑なに自分を信じつづけ、
ひたすら磨きつづけてきた山波のクロスが、今・・・瀕死の日本代表を救った!!
ナイジェリア戦 ナレーション (単行本7巻)
前作から何かとかわいそうな立ち位置になりがちだった山波がW杯初戦で苦戦する日本を救ったシーン。
得点でもない、アシストでもない、しかし確実にチームを救う職人技、熱いです。
トトにしてもマルコにしても、自分の武器やスタイルを貫き通すキャラは大好きです。
ボール1個分の空間と・・・コンマ数秒の刹那。
時間と空間が交叉するその一点に集中し・・・勝つことを疑わない強靭な意志があれば・・・
日本代表 てっぺい(単行本11巻)
イタリア戦のラストシーン。
ここは実際の試合の後半アディショナルタイムを見ているような臨場感と緊迫感がありました。
とってもどうでもいい余談ですが、僕も過去に同じような終了間際のタイミングで同じ角度からの決勝点を決めたことがあります。
言葉にできないくらい気持ちいいです。
勝ったら結婚してあげる!!
坂本琴音(単行本14巻)
本作一番の名シーン、かな・・・。
ブラジル戦の終了間際、森川の気持ちを知った琴音姉さんがスタンドから放った言葉。
この一言で最後の力をふり絞った森川が同点弾を決めて、勝負は延長に進みます。
ステラは森川の長年の恋が報われるかどうかの話でもありました。
さいごに
前作と比べてしまえば物足りなさは否めないですが、今作も併せて1本の作品としてサッカー好きの方、代表戦は見る程度だけど少し勉強してみたい程度に興味がある人にはお勧めの作品です。
【前編です】
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