ゆめろぐ

ゆめろぐ

仕事・趣味・生活について書き連ねていく雑記ブログです。

【映画感想】『THE BATMAN-ザ・バットマン-』




2022年3月11日に公開された『THE BATMAN-ザ・バットマン-』の感想です。
公開されてから一週間ぐらいのタイミングで映画館で鑑賞してきました。


感想を述べるためどうしても多少のネタバレを含んでしまう場合がありますのでご容赦ください。ただし、物語の結末や重要なポイントに関わるような部分については「ネタバレ注意」の注意書きを入れております。



目次

 


基本情報

f:id:yumekichi730:20220319214309j:plain
画像出典:THE BATMAN公式Twitter(@TheBatman)
 
 

  • 監督:マット・リーヴス
  • 公開:2022年3月
  • 評価:★4(最高★5)

 
 
DCコミックスの「バットマン」を原作とした作品。

過去にバットマンに関わる作品は多数存在しますが、本作は完全に新規のリブート作品のため過去作を見ていなくとも問題なく楽しむことができます。
但し、バットマンの誕生エピソードや周囲の人物(各作品でのレギュラーキャラ)との人間関係の説明等は省かれているため、全く初めてバットマン作品に触れる方は以下のポイント辺りは軽くwiki等で押さえておいた方が置いてけぼりにならずに済むと思います。


・舞台となるのは犯罪都市ゴッサム
・バットマン=ブルース・ウェイン(表の顔は資産家)
・ブルースの両親
・アルフレッド(ウェイン家の執事)
・バットマンの協力者であるゴードン警部補(正体は知らない)


余裕があればクリストファー・ノーラン三部作の1作目『バットマン ビギンズ』あたりを見ておくとだいたいの人間関係や経緯などの背景がつかめるのではないかと思います。(全く別の話なので共通していない設定や描写などもありますが)
 

 

感想など


全体の感想

まずは全体の感想から。
評価は★4(最高★5)としましたが、作品としての完成度は非常に高かったと思います。IMAX劇場(通常の鑑賞料金に+500円)で観ましたが、お金に見合った映画体験ができたということで非常に満足しています。


ほぼ3時間(175分)というかなり長い部類に入る映画でしたが、特に長く感じたり退屈に思うこともありませんでした。比較的雰囲気が暗く淡々と進んでいくため気持ちがピークに達するような盛り上がり(『アベンジャーズ/エンドゲーム』の「アッセンブル!!」のシーンみたいな)は無かったですが、同時に中だるみも無く無駄のない(感じさせない)展開が続いたように思います。長い映画だったので普段より途中でトイレに立つ人は多かったように思いましたが(笑)。


また、本作はヒーローもののアクションと言うよりは、猟奇的な殺人犯を追うミステリー色の強い作品だったと思います。主人公がバットマンではなく刑事とかだったら普通のサイコ・サスペンスとしてありそうな感じ。リドラーの殺人の謎を解きつつ、要所要所でバトルやアクションを入れている形で、アクションシーンの派手さは控えめだったかなと思います(そもそもバットマン自体がスーパーパワーや超能力やらを使えるわけではない普通の人間なので)。




全体的に雰囲気は暗い

元々バットマンは他のヒーローものに比べて暗い雰囲気の印象がありますが、本作はそれに輪をかけて全体的に非常に暗い雰囲気で進んでいきます。そもそも画面自体も夜・雨のシーンが非常に多くて(というか昼のシーンが数えるほどしかない気がする)暗いです。逆に映像のなかで「闇」を見せる表現に非常に力を入れている印象があり、人が闇に抱く恐怖(作中だと悪人が「闇=バットマン」に抱く恐怖)がうまく描かれていたと思います。


この点はテレビで見た場合にどうなるかは気になるポイントです。今回は映画館かつIMAXという通常より質の高い劇場で観たためこの「暗さ」を演出として見せる手法とマッチしていたように感じましたが、その分明るい部屋でテレビでみるとどうなるのかは気になります。映画館(しかも映像の質が高ければ高いほどいい)と相性のいい作品のように思います。個人的には観るならば配信やレンタルよりも、上映しているうちに映画館で観ておくべき作品だと思います。




主人公ブルースのキャラクターについて

今回の主人公ブルースはロバート・パティンソンが演じていましたが、イケメンでありつつも過去作のブルースに比べるとより神経質そうで陰キャなキャラクターが良く表現されていて特徴的なキャラに仕上がっていたと思います。ブルースというと表の顔はプレイボーイな資産家のボンボンのイメージ(意図的に演じている部分も含め)がありましたが、今回のバットマンは表の顔も裏の顔も暗い(笑)。正直ゴッサムシティの住人から見ると「ずっと引きこもって何をしているかわからない陰キャの金持ち」という感じで、「こいつがリドラーなんじゃね?」とか思われててもおかしくなさそうな・・・。


一応補足するとここは悪い点としての感想ではなく、これまでとはうまく差別化してキャラクターの立っているブルースになっていると思ったポイントです。変装時に目の周りの肌色が出ないように黒く塗っている部分も、マスクを脱いだ時にひどいクマのようである意味似合っていたと思います。


また、今回はキャットウーマン・リドラー・ペンギン等は比較的普通の恰好(変装と言っても我々もハンズあたりで材料揃えればできそうなレベル)をしており、バットマン一人だけ全体から浮いていたのがいい意味での異物感を出していたと思います。作中でも「コスプレ野郎」みたいにいじられていました。



メインヴィランのリドラーについて

今回のメインヴィランのリドラー。
個人的にはちょっと違ったベクトルでジョーカーを意識したキャラとして上手く出来上がっていたように感じました。やっぱりバットマンの映画と言うと絶対に『ダークナイト』と比較はされると思いますので、製作側もジョーカーの存在を意識しないで作ることは出来なかったんじゃないかと思います。リドラーをただのイカれたサイコ野郎部分を前面に押し出してバットマンと正面から戦わせるだけの敵にしていたら、多分本作は凡作として終わってたんじゃないかと思います。


本作って物語のメインには「リドラーを追う」という所が据えられてはいるものの、正直リドラー自体がそんなに目立っていたかと言うとそうでもなかったかと思います(影が薄いという意味ではない)。むしろペンギンやファルコーネのような敵の方が出番もインパクトも多かったように思います。リドラーは文字通り裏で「暗躍」しつつ要所要所のみで狂気的な敵役の面を見せる(地方検事殺しのとことか)だけにとどまり、物語のそれ以外の多くの部分ではバットマンがペンギン等の(目立つ)悪党と戦いながらゴッサムに隠れて蔓延する悪をあぶりだしていくという展開だったように見えました。リドラーに導かれてバットマンが街に潜む悪を倒していくという構図に見えないことも無く、極論やり方が極端に違いすぎるだけでバットマンとリドラーのやっている方向性は同じと考えられなくもないかもしれません(よく考えたらリドラーは終盤に入るまでは「善人と思われているけど実は悪人」しか標的にしていない)。


終盤のSNSを上手く使った展開も含めて、「ジョーカーと比較されるのは承知の上で、ジョーカーに正面から挑むのは避けつつも別のやり方で上手くキャラクターとしての味を出すことに成功したヴィラン」という印象が強かったです。犯行の配信動画に視聴者のコメントが流れてくるというのも世相を反映しつつ上手くキャラとフィットした演出だったと思います。


あと、リドラーの正体がブルースを超えるレベルの陰キャ感マシマシキャラだったのも中々印象的でした。演じていたポール・ダノは『ルビー・スパークス』や『リトル・ミス・サンシャイン』等でも結構印象的だった好きな俳優さんです。






ラストの展開について(ネタバレ注意)

 
終盤の展開のネタバレ注意です。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ラストの展開で印象に残っているのは2点。
一つ目はバットマンの最後の行動(洪水になった街の中で人々を助けていた)の意味。このシーンはかなり印象的な演出がされていたように感じました。人助けはだいたいのアメコミヒーローが普通にやってるので最初はあまりなにも感じずに見ていたのですが、今回の作中のバットマンの行動原理は「悪への復讐」であり、「誰かのため」「弱い人々を守るため」というヒーロー的な意図は薄かったように思います。しかし物語の中で自身が考えていたよりもさらにゴッサムシティが悪に染まり切っていたことに直面し、善人と信じていた父親も悪の側に片足を入れてしまっていたという事実、さらにその両親の仇も劇中で死亡するなど、様々なことを経て復讐の矛先を見失ってしまいました。しかし、その上で取った行動が前述の「弱い人々を助ける」だとするならば、本作を経てバットマン自身が「ゴッサムの闇(≠ヒーロー)」から「ゴッサムの光(=ヒーロー)」の側に立ち位置を変えた(進めた・成長したとも言える?)とも考えられると思います。その上で、次作があるならばバットマンがどのようなキャラになっているのかは楽しみなポイントです。


二つ目は獄中のリドラーと会話していた人物。確実に次作以降の伏線だと思いますが、それが誰だったのかという所。笑い方とかからジョーカーかなとも思いましたが、単純にジョーカーを出してバットマンと対決をさせるだけであれば『ダークナイト』と比較されることは避けられないので、その点も次作以降楽しみなポイントです。
⇒ここは後に公開された未公開カットを見る限りジョーカーで間違いなさそう。







www.yumekichi-blog.com
www.yumekichi-blog.com
www.yumekichi-blog.com
www.yumekichi-blog.com



www.yumekichi-blog.com