PS3用ソフト『機動戦士ガンダム サイドストーリーズ』をいまさらプレイしました。
正直、各所でボロクソに言われている作品でもあり、見えてる地雷感満々だったわけですが。
PS3レベルのグラフィックで過去の外伝作品のストーリーが遊べるのはそれなりに大きいポイントですが、やはりマイナス要素の方が目立ってしまっています。その点も含め、個人的には伝説の名作になれたかもしれなかった残念な作品だと思います。
目次
製品概要
定価:7,600円(税別)
機種:PS3
発売:2014年5月29日発売
ジャンル:アクション
作品評価:65点
ゲームシステムはガンダムゲーにありがちな比較的わかりやすいTPS系(自機を後ろから観ている視点)のアクション。過去作品だと『戦記』に近いイメージ。
モビルスーツのグラフィックは綺麗だが、公式で「ドラマチック&ハイスピードアクション」と謳われているほどのスピード感は無い。(むしろMSの挙動はややもっさり)
本作オリジナルのストーリーの他に、以下の過去外伝作品のストーリーが収録されている。
が、公式の「歴代「ガンダム外伝」を完全リメイクして収録!」という煽り文句が非常に問題だった。シナリオは総集編的な内容で、ゲームシステムも全シナリオTPS形式のアクションで統一。そのため『コロ落ち』などのコックピット視点アクションや、『ジオニックフロント』のシミュレーション要素も含む特殊なゲームシステムは無い。「過去の名作がPS3グラフィックでリメイクされた!!」と期待していると、騙されたように感じるのは間違いない。
<収録作品>
- 機動戦士ガンダム外伝 ミッシングリンク(本作オリジナル)
- 機動戦士ガンダム CROSS DIMENSION 0079
- 機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY
- 機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…
- 機動戦士ガンダム外伝 宇宙、閃光の果てに…
- 機動戦士ガンダム戦記 Lost war Chronicles
- ジオニックフロント 機動戦士ガンダム0079
良かった点
- MSのグラフィックやステージや背景の映像は悪くない。ピクシーとかめっちゃカッコイイ。
- 総集編的な内容とはいえ、過去の外伝作品のストーリーが追えるのは嬉しい
- ブーストが長く、移動のストレスは少ない
- 各外伝作品のBGMやセリフは懐かしくてやっぱりテンションが上がる
- PS2版戦記のシナリオは漫画版を採用しなかった
PS3は伊達ではなく、MSのグラフィックは非常にカッコいい(ディティールも細かい)。
また、総集編的な内容かつゲームシステムは統一されているものの、その点はGジェネをはじめとした過去作品が登場するゲームはみんなそう。「完全リメイクではない」という認識さえ持っていれば、戦記やコロ落ちなどのシナリオが遊べるのは単純に嬉しい。
残念な点
- ロックオン性能がひどすぎる。本作1番のストレス要素。
- 「外伝作品のリメイク」のようなうたい文句だったが内容は総集編
- ゲームシステムもすべて統一で、原作同様のシステムで遊べるわけではない(コックピット視点だった『ブルー』や『コロ落ち』、シミュレーション要素のあった『ジオニックフロント』などはほぼ別ゲーム)
- この手のゲームにありがちなコックピット視点がない
- ロード時間がやけに長い
- AIがしょぼすぎる
- 武装変更等の機体のセッティングができない
- ステージ中の演出が安っぽい
- VRミッションがステージは多いが単調
- 新規ストーリーの軸になっているはずのペイルライダーの影が薄い
特にロックオン性能がクソすぎた。なぜロック送りボタンを付けなかったのか・・・。これだけでマイナス10~20点ぐらい。
また、MSのグラフィックはカッコイイが、ステージ中のイベントの演出が非常に安っぽい。増援として駆けつけたはずの敵MSがのんびり歩いてくる、爆発などのエフェクトがしょぼい、ビルや拠点を爆破するイベントシーンが多々あるが建物は壊れない(戦闘中も攻撃をあてても壊れない)など。
また、PS3時代のゲームにしてはAIがバカすぎる。敵味方そろって壁に向かって延々歩いていることも・・・。
各ストーリーの感想とか
<MISSING LINK連邦編(スレイヴ・レイス編)>
全18話。
本作オリジナルストーリーの連邦編。ややEXAMの二番煎じ感は否めないが(そもそも劇中の設定がそうだが)、やっぱりペイルライダーはカッコいい。
微妙にブルーのシナリオ等とリンクしている。
<MISSING LINKジオン編(マルコシアス隊編)>
全18話。
オリジナルストーリーのジオン編。地球・宇宙と転戦するマルコシアス隊。
ガトーやジョニー・ライデンといったエースたちがでてくるのは嬉しい。
<THE BLUE DESTINY編>
全10話。
連邦側、主人公ユウ・カジマからの視点。
ミッシングリンク編のペイルライダーの元ともなったブルー・ディスティニーを巡るストーリーで、そのあたりの関わりも少し触れられている。
<THE BLUE DESTINY ニムバス編>
全5話。
ジオン側、ニムバス・シュターゼンからの視点。
<コロニーの落ちた地で…>
全6話。
ドリームキャストの名作から。当然、連邦視点。小説版のストーリーが入っている。
やっぱりこの辺りのストーリーはコックピット視点が欲しかった・・・。
<ジオニックフロント編>
全8話。
勿論ジオン視点。
PS2ではシミュレーション要素があり独特なゲームだったが、本作ではもちろん他のストーリー同様の一般的なゲームシステムになっている。
途中に異常に難易度の高いステージがある。
<Lost War Chronicles連邦編>
全5話。
PS2版のガンダム戦記から。
漫画版ではなく小説版のストーリーがベースになっている模様。そのため「撃つなラリー!!」がないのは非常に大きい。
<Lost War Chroniclesジオン編>
全5話。
PS2ガンダム戦記のジオン編。
こちらも小説版がベース。そういえばこのゲームあたりから連邦・ジオンの両視点のゲームが増えてきた気がする。
<宇宙、閃光の果てに…>
全4話。
珍しくすべて宇宙ステージ。
<CROSS DIMENSION 0079編>
全3話。
元は1995年に発売されたスーパーファミコン用のゲーム。
ジオンのウルフ・ガー隊視点。
<MISSING LINK終章 ペイルライダー編>
全3話。
名前の通りMISSING LINK編のメインストーリーの最終章。
このストーリーだけ時間が飛んで一年戦争終結から10年ほど経過した宇宙世紀0090年。
<MISSING LINK終章 リッパー編>
全2話。
MISSING LINK編のもう一つの最終章。
連邦編・ジオン編の終盤で地球に残ったリッパーのその後の物語。
ガンダムUCに繋がるストーリーになっている(UCの第4話にイフリート・シュナイドが出てくる)。
<VRミッション>
全100ステージ(+DLC8ステージ)
所謂ミッションモード。イベントやキャラの会話などもなく淡々とステージごとの勝利条件を達成していく。もちろんヘッドセットを付けてどうこうする方のVRじゃない。
登場する機体やステージは多いが内容は単調。特にイベントなども発生しないので作業感が強い。せめて機体だけでなくパイロットを選択できれば・・・。
総評
作品評価:65点
コロ落ちや戦記のストーリーのなつかしさ補正で少し甘めの点数かもしれない。
もう少しシステムを作り込んで宣伝の仕方を間違えなければ伝説の名作になれたかもしれない。
惜しい作品ではあった。
ただ、ペイルライダーやピクシーなど登場するモビルスーツは非常にカッコいい。
ガンプラを作りたくなるゲームである。