2023年3月17日に公開された『シン・仮面ライダー』の感想です。
僕自身は仮面ライダーのシリーズは全くの未視聴で、『シン・ウルトラマン』の時以上に事前知識のない状態での鑑賞となりました。本感想もそれを前提としてのものとなりますのであらかじめご了承ください。まずストレートな感想としては事前知識が無いにしても単体の作品として十分に楽しめたと思います。
以下、本作のネタバレを含んでいる箇所がありますので予めご了承ください。
目次
基本情報
画像出典:映画『シン・仮面ライダー』公式Twitter(@Shin_KR)
- 監督・脚本:庵野秀明
- 公開:2023年3月
- 評価:★3.5(最高★5)
日本の特撮テレビシリーズ『仮面ライダー』をベースにした作品。『シン・ゴジラ』や『シン・エヴァンゲリオン』『シン・ウルトラマン』の庵野秀明が監督・脚本(その他諸々)を務めている。テレビシリーズとの直接的なつながりはなく、現代の日本を舞台としたオリジナルのストーリー。
感想など
全体の感想
まずは全体の感想から。
評価は★3.5(最高★5)としました。
にわかレベルの知識ながら、単体の作品としては十分に楽しめました。良作の範疇に収まる作品だとは思いますが、近年庵野監督が携わった『シン・ゴジラ』や『シン・ウルトラマン』にくらべるとやや劣るかな、という感じだったと思います。ちなみに『シン・ウルトラマン』の時に比べて劇場に子連れがほとんどおらず(というか確認したらR12だった)、他の普通の映画に比べても客層の年齢は高かったと思います。
全体的に展開が早く基本的なテンポは良かったです。敵の怪人が6体+αということでドラマであれば3~4話ぐらいはかけそうなところですが、よく一本の映画に入れこんだなという感じでした。前の『シン・ウルトラマン』でも同じ印象を受けましたが、小刻みなテンポで次々と展開を進めていくのは庵野チームの得意な所なのかもしれません。このテンポの部分については好みによって賛否あるところなのかもしれませんが、個人的にはこのくらいの方がダレなくていいんじゃないかと思います。
仮面ライダー好きが作っているのが伝わってくる
『シン・ウルトラマン』の時もそうでしたが、全体から製作者の愛を感じる作品だったと思います。僕は原作シリーズや特撮については全く詳しくない素人ですが、「ここは原作か特撮作品のオマージュ・リスペクトだろうな」と感じるシーンが多々ありました。わかりやすいところで言えば本郷が最初に仮面ライダーに変身して登場したシーンとかかな。
雰囲気は『シン・ウルトラマン』等に比べると暗くてよりシリアスな展開が続きますが、「悪の組織に身体を改造され多くのものを失った男」という仮面ライダーのテーマの一つ(?)とも言えそうな悲哀がしっかりと描かれていてよかったと思います。常に陰鬱な雰囲気というわけではなく、部分部分で盛り上がるべきポイントは用意されていて、2号となる一文字隼人が登場してからの終盤の展開は非常に良かったと思っています。正直、ストーリー的な面ではほとんど不満のない内容でした。
仮面ライダー2号が一番好き
今回一番印象に残ったキャラクターは柄本佑さんの演じる仮面ライダー2号こと一文字隼人。前半はテンポよく進んではいたものの後半はそれにも慣れて物語がややダレてきたあたりで彼が登場し、そこから一気に面白くなったと思いました。口数が多く本郷とは真逆の性格であり、ビジュアル面でも長身細身といい感じで差別化がされていました。捉えどころが無いようで一本筋の通った人物で、シリーズ化やドラマ化がされたりしたら普段はムードメーカーながら時々美味しい所を持っていくようないいキャラになるだろうなと思いました。役者の柄本さんの独特な雰囲気もうまくマッチした非常に良キャラクターだったと思います。彼が正気を取り戻してルリ子からマフラーを巻かれるシーンが(そのあとの流れも含めて)本作一番の盛り上がりポイントだったと思います。とりあえず今回観終わってから2号のフィギュアだけ予約しました(笑)。
ラストでは本郷やルリ子の思いも継承し装いも新たに(新1号のデザインらしい)仮面ライダーとして戦うことを決意した彼ですが、彼を主役にした続編も見てみたいところです(続編あまり無さそうだけど・・・)。
めちゃくちゃ豪華なキャスト
次はキャストについて。キャストはめちゃくちゃ豪華でした。
主人公である本郷猛役の池松壮亮さん。イメージ的にはデスノートの続編映画で新しいLをやっていた印象が強いです。本郷はちょっと棒読みかな?と感じたんですが、キャラ設定が元々コミュ障で様々な過去の出来事から影を背負っている人物ということで途中からは演出じゃないかと思うようになりました。
やはり異次元の美しさの浜辺美波さん演じるルリ子。まず彼女が写っていると画面が2ランクぐらい映えている感じがします。ある意味ライダー二人よりも重要なポジションのキャラクター。こちらも少し棒読みな感じもしたんですが、彼女の生い立ち・キャラクターを考えると、ちょっと人間味のないというか手段として言葉を発している感じとかはこれも演出なのかもと思いました。
他、豪華メンバーが脇を固めてましたが、劇中一番笑いそうになったのはやはり長澤まさみさんのサソリ女。まさかの即堕ちで使い捨て見たいな扱いに見えなくもないかもですが、個人的にはすげー楽しそうにやってたように思いました。セクシー女幹部みたいな役がめちゃくちゃ合っていると思います。
残念な点
逆に残念に感じた点は戦闘シーン。
特撮詳しくないのであえてなのか分かりませんが、戦闘シーンは特殊な視点やカットの切り替えが非常に多く普通に「見辛い」と感じました。演出でやっているにしても正直見ていて疲れるレベルのところが多々あったと思います。後は黒い量産型(?)との戦闘シーンでは画面が暗すぎて(IMAXで見たのに)ほとんどなにやってるのかわかりませんでした。
特撮・ヒーローものといえば戦闘シーンは花形だと思いますので、ここが素直に楽しめなかったのは残念ポイントだったと思います。
総評
改めて本作の評価。
評価:★3.5(最高★5)
やや詰め込みすぎの感はあれど全体のテンポは良く2時間越えの長さを感じることはなかったです。やや陰鬱な雰囲気も、悲哀を背負ったヒーローというテーマには合っていてよかったです。ただ、キモである戦闘シーンが見辛く疲れるのが残念な所。中盤までは「凡作と良作の間ぐらい」という感じで見ていましたが、仮面ライダー2号がでてからの後半でテンションがアップし、トータルで見ても「良作」と言っていい作品だったんじゃないかと思います。
あまり無さそうな感じですが、本作から直接繋がる続編も見てみたいです。