ガンダムと言えば書店でも専用の棚が用意されるレベルの一大ジャンルとなっています。
本記事では、無数にあるガンダムの漫画の中から僕が実際に読んだ作品を順番にご紹介していきます。「久々にガンダム読みたいけど最近はどんな作品があるかわからない」「ガンダムの漫画多すぎてどこから入っていいかわからない」といった方の参考になれば幸いです。
各コミックごとに作者や巻数といった情報の他に、いつ頃の作品かがわかるように発売日(複数巻ある場合は1巻の発売日)を記載しています。発売日はリバイバルや完全版等がある場合はそちらの日付にしている場合もありますが、その場合はなるべく一番最初のバージョンの発売日も本文中に記載するようにしています。
こちらの記事はすでに完結済みの作品を対象としています。
【連載中作品はこちら】
www.yumekichi-blog.com
<目次>
- 宇宙世紀(UC)系の作品
- 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』
- 『機動戦士ガンダム ギレン暗殺計画』
- 『機動戦士ガンダム 光芒のア・バオア・クー』
- 『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』
- 『機動戦士ガンダム戦記 REBELLION Lost War Chronicles』
- 『機動戦士ガンダム外伝 REBELLION 宇宙、閃光の果てに…』
- 『GUNDAM LEGACY(ガンダム レガシー)』
- 『機動戦士ガンダムU.C.HARD GRAPH 鉄の駻馬』
- 『機動戦士ガンダム戦記 U.C.0081 -水天の涙-』
- 『機動戦士ガンダム0083 REBELLION』
- 『機動戦士ガンダム外伝 ミッシングリンク』
- 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN MSD ククルス・ドアンの島』
- 『機動戦士ガンダム U.C.戦記 追憶のシャア・アズナブル』
- 『機動戦士ガンダム GROUND ZERO コロニーの落ちた地で』
- 『機動戦士ガンダム MSV-R 宇宙世紀英雄伝説 虹霓のシン・マツナガ』
- 『機動戦士ガンダム バトルオペレーション コード・フェアリー』
- 『機動戦士ガンダム MS戦記REBOOT』
- 『機動戦士ガンダム ANAHEIM RECORD』
- 『新装版 デベロッパーズ 機動戦士ガンダム Before One Year War』
- 『機動戦士Zガンダム デイアフタートゥモロー -カイ・シデンのレポートより-』
- 『機動戦士ガンダム デイアフタートゥモロー -カイ・シデンのメモリーより-』
- 『機動戦士ガンダム カタナ』
- 『機動戦士ガンダム ヴァルプルギス』
- 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』
- 『機動戦士ガンダムUC バンデシネ』
- 『機動戦士ガンダムUC バンデシネ Episode:0』
- 『機動戦士ガンダムUC episodeEX2 獅子の帰還』
- 『機動戦士ガンダムUC 虹にのれなかった男』
- 『機動戦士ガンダムUC 星月の欠片』
- 『機動戦士ガンダムUC 『袖付き』の機付長は詩詠う 』
- 『機動戦士ガンダムUC テスタメント』
- 『機動戦士ガンダム U.C.0094 アクロス・ザ・スカイ』
- 『機動戦士ガンダム U.C.0096 ラスト・サン』
- 『機動戦士ガンダム トワイライトアクシズ』
- 『機動戦士ガンダムF90』
- 『機動戦士ガンダムF90FF ファステストフォーミュラ』
- 『機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91』
- 『機動戦士クロスボーン・ガンダム』
- 『機動戦士クロスボーン・ガンダム -スカルハート-』
- 『機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人』
- 『機動戦士Vガンダム プロジェクト・エクソダス』
- アナザー世紀系の作品
- その他(日常系・SD系・ギャグ系等)の作品
- まとめ
宇宙世紀(UC)系の作品
まずは宇宙世紀を舞台とした作品から。
ざっくり年代順にしてはいますが、作品によって時系列の幅が広かったり、連作になっている作品を順番に紹介することを優先していたりするため多少の時系列のずれはご容赦を。
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』
- 作者: 安彦 良和
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2002年6月(1巻)
- 巻数: 全24巻
やっぱりまずはこれですね。ガンダムの漫画を語る上でオリジンは外せないでしょう。
初代ガンダムのストーリーをベースに、実際にアニメの作画も行っていた安彦良和氏によるコミカライズです。
話の本筋はファーストガンダムですが、シャア・セイラの過去や一年戦争開戦までの経緯といったいままで描かれることのなかった部分も加えられ、さらに一部設定の見直し等がされていて「一年戦争の決定版」とも言える内容となっています。
「これから初代のガンダムのストーリーを知りたい!でもアニメを全話見るのは大変!」という方には鉄板でオリジンを読むのがおすすめです。
また、前述の通りシャアとセイラの過去のような追加エピソードが加えられていたり、アニメ版の矛盾点や不自然な部分などの設定変更や追加設定がされていたりと、既にファーストを知っている人でも十二分に楽しめる内容となっています。
個人的にはニュータイプの描写がアニメからさらにより深堀りして描かれていたように感じたのが一番のポイントですね。物語終盤にどんどんアムロが"あっちの方"に行ってしまっているような感じとか、それにシャアがついていけなくなっている所なんかがしっかり描かれていたと思います。
また、本作はアニメ化もされていて、「シャア・セイラ編」「開戦編」「ルウム戦役編」が製作されました。2022年には「ククルス・ドアンの島」が単体で映画作品として公開されています。併せてプラモデルもどんどんラインナップが展開されており、これら今後の展開も引き続き楽しみな作品です。
『機動戦士ガンダム ギレン暗殺計画』
- 作者: Ark Performance
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2008年2月(1巻)
- 巻数: 全4巻
ドンパチしない異色のガンダム。一年戦争の末期、サイド3(ジオン本国)のズムシティ・でおきた総帥ギレン・ザビの暗殺計画と、それを追う一人の捜査官の物語。ガンダムの醍醐味であるはずのモビルスーツ戦闘はあまり描かれず、捜査官である主人公がギレン暗殺計画の真相と、それに関わるジオン公国の闇の部分を追っていくというサスペンス色の強い作品です。
誰がどっち派で、あいつも怪しくて…。正直頭を使って読んでいかないとよくわからなくなってしまうんですが、それだけに読み応えは抜群。
また、ストーリーのメインとなるのはオリジナルのキャラクターですが、「マ・クベ」「トワニング」「トト家の養子」「サイド6(リボー)に潜入した特殊舞台」などガンダム好きならニヤリとせずにはいられないキャラクターたちも随所に登場(人によっては名前のみや顔写真のみだったり)してきます。
あと、ヒロインのエリースがかわいい。
【関連作品】
・『機動戦士ガンダム 光芒のア・バオア・クー』
・『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』
Ark Performanceによる三作品は、一部登場キャラクターやエピソードがクロスオーバーしたり繋がっている部分があり、併せて読むとより楽しめると思います。ただ、明確な続編と言うほどではないため、それぞれ単体でも十分に楽しめます。
『機動戦士ガンダム 光芒のア・バオア・クー』
- 作者: Ark Performance
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2010年12月
- 巻数: 全1巻
サスペンス風だった『ギレン暗殺計画』に続いて本作はドキュメンタリー風のガンダムです。一年戦争の最終決戦であるア・バオア・クー戦の生存者へのインタビューという形式で、一年戦争末期の両軍の状況などが語られます。N○Kとかでやってそうな戦後ドキュメンタリーっぽい感じ。
初陣の学徒兵、衛生兵、ジオンからの亡命など、様々な人物の視点から、一年戦争当時の技術的・政治的・経済的な観点も踏まえて語られます。一冊ですが非常に読みごたえのある、ガンダムファンであれば一読の価値は大有りだと思います。おすすめの1冊です。
また、ジオン兵(特に一般兵)の視点から見た時の連邦の白い悪魔、ガンダムの恐ろしさが凄まじいです。
【関連作品】
・『機動戦士ガンダム ギレン暗殺計画』
・『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』
Ark Performanceによる三作品は、一部登場キャラクターやエピソードがクロスオーバーしたり繋がっている部分があり、併せて読むとより楽しめると思います。ただ、明確な続編と言うほどではないため、それぞれ単体でも十分に楽しめます。
『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』
- 作者: Ark Performance
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2010年12月(1巻)
- 巻数: 全26巻
個人的にイチオシの作品。舞台は宇宙世紀0090頃、逆襲のシャアの数年前。元々の設定にも謎の多いジオンのエースパイロット「ジョニー・ライデン」と、彼の所属していたとされるエース部隊「キマイラ」の謎とその行方を解明していくのが話の主軸となっています。
上記のようなミステリー要素に加え、MSVをベースにしているだけあって、様々なレア機体マイナー機体が綺麗なイラストで登場してくる非常に読みごたえのある作品になっています。数あるガンダムの漫画の中でも、MSの作画についてはこの作者さん(グループ?)が頭1つ2つ抜けている感じがしますね。
ネオジオン総帥として決起を控えるシャア、最近アニメ化されたTwilightAXIS のメインキャラなど、他作品のキャラクターが多数登場してくるのもシリーズファンには楽しいポイントの1つ。本作を読んだ人に「一番評価が変わった人物は?」と聞いたら恐らく多くの人がゴップと答えるのでしょうか。
あとジョニ子がかわいい。
【関連作品】
・『機動戦士ガンダム ギレン暗殺計画』
・『機動戦士ガンダム 光芒のア・バオア・クー』
Ark Performanceによる三作品は、一部登場キャラクターやエピソードがクロスオーバーしたり繋がっている部分があり、併せて読むとより楽しめると思います。ただ、明確な続編と言うほどではないため、それぞれ単体でも十分に楽しめます。
『機動戦士ガンダム戦記 REBELLION Lost War Chronicles』
- 作者: 夏元雅人
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2014年3月(1巻)
- 巻数: 全2巻
本作は何度かバージョンアップして再販されており、上記情報は短編や書き下ろし等が追加された最新のバージョン。
「REBELLION」の表記のない元のコミックの1巻は2002年10月発売。
本作は戦記系というガンダムゲームの1ジャンルを切り開いた同名のPS2用名作ゲームソフトのコミカライズです。一年戦争時の地球上を舞台に、連邦・ジオンの部隊両方の視点から物語が進行し、やがて両部隊は戦場で激突することになる・・・。
作者は夏元雅人さんで、ガンダムの外伝物のコミカライズと言えばこの人といった感じですね。この人の作品はメカ・キャラ共に非常に綺麗に描かれていて、作品に登場するモビルスーツだけでも見る価値ありです。陸ガンにゲルググにスナイパーⅡなど、アニメではあまり見ることの出来ないMSの活躍が見れるのが一番のポイント。
キャラクターも魅力的に描かれていて、ゲームをベースにした独自のストーリーも読んでいて面白い作品です、が…本作にはみんなの大きなトラウマが。ストーリー上必要だったのかもしれないけど、個人的にはあそこがなければ文句なしの名作だったなあ。
「撃つなラリー!!」
『機動戦士ガンダム外伝 REBELLION 宇宙、閃光の果てに…』
- 作者: 夏元雅人
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2015年1月(1巻)
- 巻数: 全3巻
こちらもタイトルに「REBELLION」をつけて再販したバージョンで、元の1巻は2004年2月発売。
ガンダム好きな方にはお馴染みですが、タイトルの「宇宙」は「そら」と読みます。
夏元雅人さんによる外伝漫画の第2弾。PS2用ソフト「機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙」に収録されていた外伝ストーリーである「宇宙、閃光の果てに…」のコミカライズ作品です。同じ作者ということで、前作であるLost War Chroniclesのキャラクターもちょいちょい出演しています。
舞台は主戦場を宇宙へと移した一年戦争終盤。隠密任務を受けた独立部隊「サラブレッド」に配備された2機のガンダム、「ガンダム4号機」「ガンダム5号機」を中心に物語が展開していきます。地上戦がメインだった前作に対し、本作は宇宙戦がメインとなります。そしてゲーム版と同じく、○○○が○○しないifストーリーも収録。そちらはソロモンの悪夢さんや3倍じゃない方の紅い人、不死身の第四小隊など一年戦争の両軍のエースがゲスト出演の豪華な大乱戦に。
なお、ヒロインであるオペレーターのミユ・タキザワのゲームでの声は釈由美子さんだったんですね。プレイ中は気づきませんでした。
リリアかわいいよリリア。
『GUNDAM LEGACY(ガンダム レガシー)』
- 作者: 夏元雅人
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2008年12月(1巻)
- 巻数: 全3巻
宇宙世紀を舞台に様々な時代・キャラクター・シチュエーションにスポットをあてて描かれるオムニバス形式の短編作品。作者はガンダムの外伝でお馴染みの夏元雅人さん。
- レビル将軍が黒い三連星に捕虜にされてから脱走して「ジオンに兵なし」の演説を行うまで
- 一年戦争でEXAMを巡る争いを戦い抜いたユウ・カジマがアクシズショックの光に見たものは…
- ジオン劣勢となった地上での「闇夜のフェンリル隊」の最後の戦い
- 戦闘機乗りだった「踊る黒い死神」リド・ウォルフがMSにおいてもエースパイロットとして恐れられるようになるまで
など、ガンダム好きの琴線に触れそうなエピソードが多数用意されています。ジオニックフロント(PS2用ソフト)のようにあまりメディア化がされていない作品が取り上げられているのも嬉しいところ。また、マドロック、ザクⅡC型、ジムクゥエルなど、普段あまり活躍する姿を見れない機体が描かれているのもポイントの1つ。
夏元作品ではお馴染みになりつつありますが、他の夏元作品に登場する外伝のキャラクターもクロスオーバーで多数出演します。ラストの3巻は外伝キャラオールスターのオリジナルストーリーとなっていて、作者のファンとしても見逃せない作品になっています。
『機動戦士ガンダムU.C.HARD GRAPH 鉄の駻馬』
- 作者: 夏元雅人
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2012年5月(1巻)
- 巻数: 全2巻
「クワラン曹長」と聞いてすぐにピンと来る人はどのくらいの割合でしょう?
色々な意味で意味伝説の回となったファーストガンダムの第14話「時間よ、とまれ」にてワッパというホバーバイクを駆り生身でガンダムの破壊に挑んだ男がクワランです。
そしてまさかのクワランを主人公としたのが本作。いってみればアニメのガンダム14話の前日譚といったところでしょうか。舞台は一年戦争の序盤、クワラン曹長と仲間達が地球におりて劣悪な環境に悪戦苦闘しながらも任務をこなしていき、やがては連邦軍がついに戦線に投入したモビルスーツと相見える…。作者は外伝コミカライズではお馴染みの夏元さんです。人物・メカニック共にクオリティの高い作画は鉄板です。
元々は「U.C.HARD GRAPH」という"リアルさ"に重点をおいたミリタリー色の強いプラモデルシリーズがあり、本作はその世界観をベースにして構築されています。併せてMSにのらない人物が主人公ということで、MS同士の戦闘がメインになりがちな他のガンダム作品とはまた違った趣のある作品です。
泥臭いのが好きな方におすすめしたい良作です。
『機動戦士ガンダム戦記 U.C.0081 -水天の涙-』
- 作者: 夏元雅人
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2009年12月(1巻)
- 巻数: 全4巻
PlayStation 3用ゲームソフト「機動戦士ガンダム戦記」のコミカライズです。上の方の「機動戦士ガンダム戦記 REBELLION Lost War Chronicles」(PS2版)とはハードもストーリーも新たにした別作品ですね。連邦・ジオン両軍のそれぞれの部隊の視点で交互にストーリーが進行するのは前作と同じ形式です。
舞台は一年戦争終結後の宇宙世紀81年、初代とスターダストメモリーの間の出来事ということで連邦側はジオン残党の討伐部隊、ジオン側は連邦に新たな戦いを仕掛けようとする残党部隊が主人公になっています。
本作の一番の特徴はやはり新たに追加・新規デザインされたモビルスーツでしょう。前作では陸戦型ガンダム・ジムスナイパーⅡ・陸戦型ゲルググといった既存の量産機が活躍したのに対し、本作ではガンダム7号機・重装フルアーマーガンダム・ジーライン・イフリートナハトなどの(設定自体は過去からあったものの)ストーリーのメインとしてスポットがあたるのは初めてな新機体が多く登場します。MSについては前作・本作どちらの形がいいかは個人の好みにもよりそうですね。
僕はどちらかと言えば陸ガンのような量産機の活躍の方が見たいタイプですが、本作の重装フルアーマーガンダムのようなゴテゴテした機体も大好きです。
『機動戦士ガンダム0083 REBELLION』
- 作者: 夏元雅人
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2014年2月(1巻)
- 巻数: 全18巻
OVA作品『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』をコミカライズ。作者は外伝コミカライズでお馴染みの夏元雅人さん。高クオリティな人物・メカニック作画は相変わらずです。
単純なコミカライズではなく、各主要キャラクターがそこに至るまでの経緯など、大幅なエピソードの追加や修正が加えられています。さらに、ガンダム試作1号機のチョバムアーマー・水中装備・重装バージョンなどのMSの追加バリエーションや、GファイターⅡ・アッザム改修型などのMSV機体なども数多く登場。さらにさらに、アリス・ミラー、サンダースなどの他作品からのゲストキャラクターや、本作のオリジナルキャラクターも追加されています。作者の別作品からのキャラやMSも多数登場していて、まさにやりたい放題な感じになっていますね。
このあたりのオリジナルの展開や新キャラ・ゲストキャラについては賛否あるかと思いますが、僕個人としては蛇足感もなく原作をどうアレンジしてくるのか読んでいて続きが純粋に楽しみでした。追加のMSやキャラクターについては「原作には出てないが確かにそこにいてもおかしくはなかった」というラインできちんと纏められている点が大きいかもしれません。
また、原作以上に登場人物の情念のようなものを強く感じさせるシーンも数多くあり、『0083』という作品の根幹はちゃんと表現されている作品であると感じました。後半に入るにつれてアニメとは異なるオリジナル展開が増えてカオスになっていく(パープルトンさんの暴走も含めて)ため、0083の忠実なコミカライズを期待すると「なんだこれ?」となりかねないですが、0083の世界を舞台とした「if」のストーリー(別世界線みたいな)と考えれば結構楽しめるのではないかと思います。個人的には原作の0083を未視聴の人はもちろん、「原作が好き」という人にも一見の価値ありとおすすめできる作品だと思います。個人的にはシーマ様の背景や過去が綺麗に掘り下げられているのが大きなポイントでした。
『機動戦士ガンダム外伝 ミッシングリンク』
- 作者: おおのじゅんじ
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2014年8月(1巻)
- 巻数: 全4巻
PS3用ソフト「機動戦士ガンダム サイドストーリーズ」に収録されたオリジナルシナリオのコミカライズ。
ストーリーの流れとしてはガンダム戦記等に近く、一年戦争の時代を舞台に原作ゲームのシナリオに沿って連邦とジオン両部隊の視点から物語が進行し、やがて交わっていくというもの。
原作であるゲーム版の方は各所で酷評される残念な出来となってしまいましたが、僕はゲームオリジナルストーリーであるミッシングリンク(特にジオン側)は好きだったのでコミカライズも純粋に楽しんで読めました。
ペイルライダー、イフリート・シュナイドなどプラモデル化や他のゲームへの登場を果たした本作オリジナルの機体の活躍も見所の1つ。
他に個人的になポイントとして、作者のおおのじゅんじさんの作画が非常にオリジン風(安彦タッチ)というところですね。それもあってか最近では「ククルスドアンの島」のコミカライズをされています。アンネローゼのその後は描いて欲しかったなぁ。
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN MSD ククルス・ドアンの島』
- 作者: おおのじゅんじ
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2017年2月(1巻)
- 巻数: 全5巻
ガンダムファンであればククルス・ドアンという名前を聞いたことのある方も多いと思います。ファーストガンダムのテレビ放送で色々な意味で伝説の回となった第15話「ククルス・ドアンの島」に登場したジオン軍の脱走兵です。登場回のストーリーに対しての評価や特徴的すぎる作画等から、1話のみの登場ながら中々の知名度を誇る人物です。
本作のタイトルから「アニメのドアン回に深堀りを加えたのコミカライズかな?」と思いがちですが、ストーリーの中でメインとなるのはドアンがかつてジオン軍にいた頃率いていた小隊のメンバーです。隊長の逃亡により散り散りとなった部下たちが、各々現在の戦場に立ちながらドアンのことを回想する形式で進んでいきます。なので「ドアンの活躍が見たい!」「あの伝説の回のコミカライズを待ってた!」という方は肩透かしを喰らってしまうかもしれません(その辺は2022年にククルス・ドアンの島のエピソードのみで映画化されたのでそっちを見てということかな)。
ちなみにタイトルの通り本作はジ・オリジンの外伝的な位置づけのようですが、オリジンを読まれた方はご存じの通りそもそも本家オリジンの本編では「ククルスドアンの島」のエピソードは出てきません。本作の作者はミッシングリンクを担当していたおおのじゅんじさん。オリジン画風に似た安彦タッチが特徴で、本作もオリジンの外伝として違和感なく読むことができます。
『機動戦士ガンダム U.C.戦記 追憶のシャア・アズナブル』
- 作者: 大森 倖三
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2009年2月
- 巻数: 全1巻
赤い彗星を愛するすべての人に。
タイトルの通り、シャアを題材とした1~3話完結のオムニバス短編集です。とは言いつつもシャアが主人公の話よりも、彼に関連する周囲の人物のエピソードが多くなっています。恐らく公式設定ではないと思いますが、ニューヤークやジャブローの戦いの裏側でシャアに翻弄された人々のエピソードが深堀りされていてガンダムファンであれば宇宙世紀の読み物として十分に楽しめる個人的にも非常におすすめの1冊です。
個人的に一番よかったのは「多分世界で一番有名なジムのパイロット、ウィラー中尉」の話ですね。これ以上は内容のネタバレになってしまうので控えますが、名前を聞いてピンとこない方も作品を読めば「なるほどね!!」となると思いますので、是非本作を手に取ってみていただきたいですね。
作者の大森さんは00やユニコーンのコミカライズも担当しており、ガンダム漫画ではお馴染みです。
ちなみに本作のタイトルにある『UC』は『ユニバーサルセンチュリー(宇宙世紀)』の意味で、ユニコーンとは無関係です。
『機動戦士ガンダム GROUND ZERO コロニーの落ちた地で』
- 作者: 才谷 ウメタロウ
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2018年3月(1巻)
- 巻数: 全4巻
待ちに待ったコロ落ちのコミカライズ!!
ドリームキャストで発売された知る人ぞ知る名作ソフト『機勅戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で』の待望のコミカライズです。ゲームの方はもう20年近く前になるんですね。クリア後に応募すると貰える特典ディスクで戦えるアムロのガンダム(こっちはジムなのに笑)が滅茶苦茶強くて全然勝てなかったのはいい思い出(先日10数年越しにやっと勝ちました)。
ゲームのストーリーをベースにしつつも、小説版や本作オリジナルのキャラクターや新規設定のバリエーション機等が新たに参戦して、本作オリジナルの要素も含めつつストーリーの再構築がされています。新キャラや新機体をバンバン出してくるところは最近のガンダム漫画での馴染みのパターンなんですが、やりすぎて元のストーリーの良さを消してしまっている作品もチラホラ・・・。しかし、本作は原作ゲームのミリタリー色強めのハードで泥臭い世界観を活かしつつ、小説版のシナリオに沿って淡々とまとめられているといった感じで悪い印象はありませんでした。巻数も全4冊とお手頃なので、コロ落ちのストーリーをおさらいしたい方にお勧めできるちょうどいい作品に仕上がっていると思います。
『機動戦士ガンダム MSV-R 宇宙世紀英雄伝説 虹霓のシン・マツナガ』
- 作者: 虎哉孝征
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2013年3月(1巻)
- 巻数: 全9巻
タイトルは「こうげいのシン・マツナガ」と読みます。虹霓というのは虹の漢語表現なんだとか。
"白狼"シン・マツナガといえばMSVでジョニー・ライデンに続く知名度と人気を誇るジオンのエースパイロットですね。僕の記憶の限りではゲーム「ギレンの野望」「Gジェネレーション」シリーズへの登場とガンプラMG(マスターグレード)での専用機の発売で一気に有名になったと思います。(僕もジョニーと併せてそれで知りました。)
名前は知っていても「結局何をしたのか、どこで活躍したのか」が実はよくわからなかったという人も多いシン・マツナガ。彼を主人公に、一年戦争における彼の軌跡を描いたのが本作です。MSVということで、ジョニー・ライデンや黒い三連星のメジャー所のほかにも、ロバート・ギリアム、トーマス・クルツなどの「名前は聞いたことあるんだけど…」なMSVパイロット達が多数登場するのも特徴。MSVファンにはうれしい所かもしれません。
ただ、それらのMSVキャラに加えて多数のオリジナルキャラクターも登場し話がややとっちらかってしまっているのが残念なポイント。また、宇宙世紀の史実(?)としてシン・マツナガ自体が目立った活躍をしていないためストーリーの盛り上がりがイマイチなのと、それを払拭するためか終盤がやや無理な展開になってしまった感も…。総じて惜しい作品というのが全体の印象です。コアなガンダムファンであれば外伝系の読み物としていいかもしれませんが、ガンダムに詳しくない人は「?」が並んでしまうかなというのが正直な感想です。でも僕はこれを読んでマツナガの白ザクのガンプラ買いました(笑)。
余談ですが三巻あたりで気づきましたが本作の作者さんは過去に『終戦のローレライ』のコミカライズをされていた方だったんですね。終戦のローレライはガンダムUCの原作者の福井晴敏さんの小説で、個人的に大好きな作品だったので小説も漫画版も読んでました映画版についてはノーコメント。この人の人物作画(特に女性キャラ)は全体的に丸みがあるというか、言ってしまえばやや芋っぽいところがあるんですが、そこも個人的には味があって好きです。パウラかわいいよパウラ。
『機動戦士ガンダム バトルオペレーション コード・フェアリー』
- 作者: 高木 秀栄
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2022年7月(1巻)
- 巻数: 全4巻
オンラインゲーム『機動戦士ガンダム バトルオペレーション』の1人用オフラインモードとして配信された『機動戦士ガンダム バトルオペレーション Code Fairy』のコミカライズ作品。
一年戦争末期、敗色濃厚となった地上を舞台に、女性隊員だけのキシリア直属秘匿部隊「ノイジー・フェアリー隊」の戦いが描かれている。比較的新しい作品(原作ゲームの配信が2021年)だけあって、美少女だけで編成された部隊というのもかなり今風の作品だなといった感じ。ストーリーはほぼほぼゲームの通りで、一部ゲームでは深堀りされなかったエピソードが語られています。特にラストの部分、キャラクターのその後が描かれていたのが良かったです。
作画のクオリティは非常に高く、キャラクターもMSも魅力的に描かれているのが特徴で、(前述の通り登場人物美少女だらけという)原作ゲームの売りであるキャラクターの魅力を活かせたコミカライズになっていると思います。お話の面でも、元からのストーリーが結構良かったこともあって、ガンダムの漫画作品として全体的に良作に仕上がっていると思います。
原作のゲーム自体結構やりこんでいて思い入れのある作品で、本作を読むとまたゲームの方がやりたくなります。
『機動戦士ガンダム MS戦記REBOOT』
- 作者: 近藤 和久
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2018年6月(1巻)
- 巻数: 全3巻
ガンダム漫画の大御所、近藤和久によるMS戦記の再始動。
一年戦争開戦からジオンの地球侵攻作戦、そして地上での攻めぎあいと、一年戦争初期の戦いが近藤氏得意のミリタリー色の強いタッチで描かれます。地球侵攻直後は制空権を連邦に握られていたジオン軍が、対抗措置として空中航空母艦ガウの開発を進めることで徐々に優勢に回っていくあたりのエピソードなんかは、あまりアニメ作品等では細かく語られることもないところですね。
ちなみに過去作品のMS戦記とは直接的な関係はなさそうです。
『機動戦士ガンダム ANAHEIM RECORD』
- 作者: 近藤 和久
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2015年7月(1巻)
- 巻数: 全4巻
宇宙世紀を駆け抜けた名モビルスーツはいかにして誕生したのか。ガンダムの歴史と共にあり続けたアナハイムによるモビルスーツ開発秘話。
モビルスーツ開発のエンジニア達にスポットがあてられ、技術的な問題や社内外での政治的なかけひきがメインに描かれるガンダムシリーズの中では異色の作品。性能を突き詰めたいエンジニアとビジネスの視点で量産機に力を入れたい経営層など、中々にリアルな企業ドラマが展開されます。1巻~3巻の途中ぐらいまでは各モビルスーツ開発の現場に焦点が当てられたオムニバス形式のドキュメンタリー色が強く、4巻からはUC計画に繋がるビスト財団の暗躍も描かれてサスペンス要素が深まりつつ『ガンダムUC』にも繋がっていく内容になっています。
モビルスーツ同士のカッコイイ戦闘シーンが見たいという人には合わないかもしれませんが、「こんな題材もアリなのか!!」といった感じでガンダムというコンテンツの奥深さを感じさせてくれる作品ですね。
『新装版 デベロッパーズ 機動戦士ガンダム Before One Year War』
- 作者: 山崎 峰水
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2023年9月
- 巻数: 全1巻
こちらは読み切り等を追加した新装版。元は2003年11月に発売されたものです。
ガンダム版「下町ロケット」!?MS開発に情熱を注いだ名も無き人々の物語。
デベロッパーズ(開発事業者)のタイトルの通り、ジオニック社の下請け零細企業であるホシオカがMS-05“ザク”を生み出すまでの物語。本当に最初期のMS開発秘話ということでバトル・戦闘は一切ないですが、中々に読み応えのある作品。同じMS開発物語でも、企業での政治的な部分にスポットを当てた『ANAHEIM RECORD』とは異なり、本作の舞台となるホシオカは下町零細企業感のある「クセは強いけど技術と情熱のあるヤツら」といった感じ。最近ではMS開発秘話的な部分を描く作品も増えており、本作が正史として認められうる内容なのかは微妙な所ではありますが、「こーゆう解釈もあるよね」といった感じで楽しめる作品になっていると思います。
『機動戦士Zガンダム デイアフタートゥモロー -カイ・シデンのレポートより-』
- 作者: ことぶき つかさ
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2026年4月(1巻)
- 巻数: 全2巻
戦わないガンダム。ほぼ戦闘描写はなく、なによりその文字数の多さに驚きます。
舞台背景は劇場版Zガンダムの時代。本筋のストーリーを補完するような形で、カイ・シデンの視点から描かれるオムニバス形式のサイドストーリー。基本的にはファーストとZガンダム(特に劇場版)をよく知っている人向けに、裏話を描いた作品です。
「Zにおけるアムロ専用機であるディジェはどうしてジオン系の見た目をしているのか?」「アムロらホワイトベースのメンバーが振り返る一年戦争」など、ファンとしては刮目せざるを得ない非常に濃い"読み物"となっています。
定期的に時間のある休日にのんびりと読み返したくなる良作です。
【関連作品】
・『機動戦士ガンダム デイアフタートゥモロー -カイ・シデンのメモリーより-』
『機動戦士ガンダム デイアフタートゥモロー -カイ・シデンのメモリーより-』
- 作者: ことぶき つかさ
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2010年10月(1巻)
- 巻数: 全2巻
カイ・シデンのレポートの続編。続編とはいいつつも本作は初代ガンダムが中心となったストーリーです。作中の"現在"は宇宙世紀105年で逆襲のシャアやUCのさらに後、主人公カイの回想という形で一年戦争時のエピソードが語られていきます。
相変わらず文字量がかなり多く、モビルスーツが動くシーンは殆どないですが、その分読み応えは十分。じっくり中身を咀嚼しながら読んでいくと、一般的なコミックスの2~3倍の時間がかかります。
前作もそうですが、要は既存の作品を深堀りする系の作品のためガンダムをあまりよく知らない人には「?」かもしれませんが、ガンダムに詳しい人・特にファーストのファンの方にはおすすめできる濃密な作品で、前作のカイレポも含めて個人的にイチオシのシリーズです。
【関連作品】
・『機動戦士Zガンダム デイアフタートゥモロー -カイ・シデンのレポートより-』
『機動戦士ガンダム カタナ』
- 作者: 曽野 由大
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2010年3月(1巻)
- 巻数: 全7巻
任侠ガンダム。(オルフェンズとは別)
舞台は一年戦争終結後の宇宙世紀0084年。地球連邦軍は内部の腐敗化と、ティターンズの台頭による規模縮小が進んでおり、かつては「連邦の懐刀」と恐れられた対テロ任侠部隊「BGST(バーゲスト)」も例外ではなかった。主人公はバーゲストに新たにやってきた隊長の少年。専用機である「ストライカー・カスタム」を駆りバーゲストと連邦の建て直しを宣言する。
基本的にMS同士の格闘戦が主体だったり、「仁義」なんて言葉が沢山登場するのが本作の大きな特徴です。作画については好みの別れるところだと思いますが、MSの格闘時の躍動感はなかなかのものだと思います。また、ジムジャグラー・量産型ビグザム・オッゴなどのマイナー機体や、ブルーデスティニー・アレックス・サイサリスなどの意外な機体の活躍が見れるのも外伝漫画ならではですね。
アーケードゲーム「戦場の絆」とのコラボレーション要素が強く、本作の主人公機である「ストライカーカスタム」をはじめ多数の機体が「戦場の絆」に登場したり、当時「戦場の絆」をあつかったテレビ番組に出演していたインパルスの板倉俊之さんをモデルにしたと思しきキャラも登場しています。
正直設定的にはあり得なく感じる部分もありますし、作画も含めて好き嫌いは別れる作品だと思います。あくまで正史とは別の、外伝と割り切って楽しむのがいいかもしれません。
『機動戦士ガンダム ヴァルプルギス』
- 作者: 葛木 ヒヨン
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2018年3月(1巻)
- 巻数: 全10巻
ここ近年で一番"謎"だったガンダム作品。
舞台は第一次ネオジオン戦争終結後の宇宙世紀0089年。時系列としては『ガンダムZZ』と『逆襲のシャア』の間の話。なぜか父親から「本気を出すな。平凡に生きろ」言われ続けてきた少年マシロ。コロニー内で突如始まった戦闘の中で、彼の前に現れたのは真っ白いジ・O。導かれるように操縦桿を握ると、ジ・Oの装甲はパージされガンダムが姿を現す・・・。何故か"パプテマス・シロッコ"の記憶を持ち周囲からもその名で呼ばれる主人公の少年マシロ、その彼を追う第一次ネオジオン戦争で死んだはずの"ハマーン・カーン"、そして白いジ・Oの中から姿を現したガンダム。かなり多くの謎や難解なワードをばらまきながら進んでいくストーリーでした。個人的には前半は「うーん、大丈夫かな」といった感じでしたが、終盤に向かうにつれて結構引き込まれていったと思います。
シロッコを主軸に据えたストーリーというのはかなり新鮮だったと思います。アニメ本編では割と「謎の強敵」感の強かったシロッコの内面なんかが描かれていたのは面白かったです。最低でも『Zガンダム』のストーリーは知っていないと「???」になる部分が多く、できれば『ガンダムZZ』のストーリーも抑えておいた方がより内容を理解できると思います。続く作品として本作の前日譚である『機動戦士ガンダム ヴァルプルギスEVE』も発売されており、本作で語り切れなかった設定や物語が描かれています。
個人的に本作に一番期待したいのはプラモ化等の商品展開!!
ジ・Oの装甲の中から出てくるガンダム、ギャプランの中から出てくる〇〇、MS形態への変形機能を搭載した〇〇〇〇〇〇〇など、立体化やゲームなど別媒体への登場を期待したいMSが多数登場しています。
【関連作品】
・『機動戦士ガンダム ヴァルプルギスEVE』 ⇒連載中のため別記事
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』
- 作者: さびし うろあき
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2014年11月(1巻)
- 巻数: 全7巻
逆襲のシャアの小説版の一つ、通称べルチルのコミカライズ作品。
べルチルはタイトルの通りヒロインがベルトーチカ(映画版でのチェーンのポジション)になっており、映画版とは細部が異なる内容になっています。今では人気期待であるHi-νガンダムやナイチンゲールは本作で登場した機体(作中ではあくまでνガンダムと呼ばれており、Hi-νは後に区別するために付けられた名称)。小説版を読んだのはかなり前なので細かい部分は忘れてしまったのですが、本作はかなり忠実にコミカライズした作品になっていると思います。
映画版では省略されていたような部分の細かい心理描写があったり、巻末などで各戦闘の解説があったりと、映画『逆襲のシャア』をより理解することもできました。単体の作品としても十分楽しめますし、映画版を見た後に違いを楽しむのも良しといった感じの良作コミカライズです。
ちなみに3巻ぐらいで気づきましたが作者は『ガンオタの女』と同じ作者さんです。ギャグ時の表情の書き方がどっかで見たことあると思って読んでたんですが、『ガンオタの女』の時は「左菱虚秋」名義だったのでなかなか気づけませんでした・・・。また、べルチルの続編ともいえる作品『閃光のハサウェイ』のコミカライズも同じく担当されています。
【関連作品】
・『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』 ⇒連載中のため別記事
『機動戦士ガンダムUC バンデシネ』
- 作者: 大森 倖三
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2010年7月(1巻)
- 巻数: 全17巻
機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)の公式コミカライズ。
内容は小説版(原作)ともアニメ版とも微妙に違っていて、両方の中間のようなイメージ。前半と終盤がアニメ寄り、中盤が原作寄りな感じです。アニメ版をベースにアニメには入れられなかった原作の重い話も(一部)盛り込まれています。「アニメ見て原作にも興味持ったけど活字は苦手だな」って方にはちょうどいいかもしれません。アニメ版にはない要素としてはダカールでのカイ・シデンの活躍が見れたのがカイ好きとしては良かったです(話は超重いけど)。
作画は00のコミカライズなども担当した大森 倖三さん。人物・MSともに丁寧に描かれています。後半どきどきめっちゃ顔が濃くなってる人もいますが(笑)
やっぱりマリーダさんかわいいよね。
【関連作品】
・『機動戦士ガンダムUC バンデシネ Episode:0』
・『機動戦士ガンダムNT』 ⇒連載中のため別記事
『機動戦士ガンダムUC バンデシネ Episode:0』
- 作者: 大森 倖三
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2018年5月(1巻)
- 巻数: 全3巻
アニメでは語られなかったガンダムUC本編の前日譚。ネオジオン残党”袖付き”による「シナンジュ強奪事件」の裏側を描く。作者はバンデシネ本編から引き続き大森さん。
バンデシネもそうでしたが小説版ベースのためか話はまあまあ重いです・・。その分濃密ですが。作中である人物によって語られた「薄汚れた秩序か正義の戦火か」という言葉は、本編でミネバとリディの間でも語られたUCのテーマの一つだと思います。
個人的にはまだ「大佐LOVE」じゃなかったころのアンジェロ君が描かれていたのが中々新鮮でした。
【関連作品】
・『機動戦士ガンダムUC バンデシネ』
・『機動戦士ガンダムNT』 ⇒連載中のため別記事
『機動戦士ガンダムUC episodeEX2 獅子の帰還』
- 作者: 玉越 博幸
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2020年7月
- 巻数: 全1巻
ガンダムUCの外伝作品の一つ。
時系列はアニメ版『UC』本編の後。技術的特異点「シンギュラリティ・ワン」となったユニコーンガンダムを巡る連邦の思惑の中で翻弄されるリディ・マーセナスを主役として、『UC』と『NT』の間を補完する物語として描かれています。作画は『BOYS BE…』などの玉越 博幸さん。「バンデシネ」の表記は無いので、大森 倖三さんによる『UC』コミカライズ作品群の一つという感じではなく、あくまでアニメ版の外伝のコミカライズといった立ち位置っぽいです(と言っても『バンデシネ』と続けて読んでも別に違和感や矛盾は感じませんでした)。
そして今回も登場のカイ・シデン。最近では結構色々な作品で見かける気がしますが、ポジション的にも一年戦争からUCぐらいまでを俯瞰で語らせるキャラクターとしてもってこいなんでしょうね。リディに対して「神様に片足つっこんだバカを友人にしたのは君だけじゃない」みたいなことを言っていたセリフが良かったです。
『UC』本編を知らないと何のことやらわからない内容ですが、『NT』のキャラクターなども登場するので、『UC』『NT』などの福井シリーズが好きな方は読んでおいていい内容だと思います。
『機動戦士ガンダムUC 虹にのれなかった男』
- 作者: 葛木 ヒヨン
- 原作: 福井 晴敏
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2013年9月
- 巻数: 全1巻
歴代ガンダム戦艦の艦長、かく語りき。
個人的にかなりおすすめの1冊。舞台は宇宙世紀0093年、逆襲のシャアの第二次ネオジオン紛争の直後。
ファーストから逆襲のシャアまで、ブライト・ノアの視点でアムロ・レイやカミーユ・ビダンら歴代ニュータイプとの関わりを振り返る。歴代主人公たちとは違う、大人の立場から観た宇宙世紀というアプローチが新鮮です。タイトルの通り最後にはユニコーンに繋がるようになっていて(本作のシナリオ担当はユニコーンの原作者の福井晴敏さん)、ユニコーンで「カッコいい大人の背中」をバナージに見せたブライト艦長の覚悟の裏側が垣間見えるのがいいですね。
1冊完結と読みやすく、ガンダムユニコーンや宇宙正規のガンダムシリーズが好きな人ならば読んでおいて損はなし。ガンダムを愛するすべての"大人"に。
『機動戦士ガンダムUC 星月の欠片』
- 作者: 森田 崇
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2012年5月(1巻)
- 巻数: 全2巻
ガンダムUCの外伝作品。
「名もなき歴戦のパイロット達にスポットを当てたドキュメンタリー」という連邦のプロパガンダ番組の形で描かれており、1話完結オムニバス形式。
ユニコーンの外伝ということで、そこに登場するMSや人物に繋がるエピソードが中心となっています。スタークジェガンやバイアランカスタムなど、ユニコーンで登場したMSの活躍や裏話などが描かれています。また、本作で登場する人物はユニコーンのストーリー上で名前のあるメインキャラクターではなく、量産機のパイロットや整備兵などのいわゆる"モブキャラ"であり、各エピソードの終盤で「あの時のコイツの話だったのか!!」となってくるところが外伝作品として上手く作られているなぁと感心しました。個人的には2巻収録のMSパイロットと整備兵の文通の話が大好きです。
次で紹介する『機動戦士ガンダムUC 『袖付き』の機付長は詩詠う 』は本作と対になる形でネオジオン目線からの外伝作品。読むときはセットで一気読みがおすすめです。
『機動戦士ガンダムUC 『袖付き』の機付長は詩詠う 』
- 作者: 白石 琴似
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2012年5月(1巻)
- 巻数: 全2巻
ガンダムUCの外伝作品。
上でご紹介した『機動戦士ガンダムUC 星月の欠片』と対となる、ネオジオン視点からのガンダムUC外伝作品。『星月の欠片』と一部キャラクター等がクロスオーバーすることもあり、ガンダムUCファンならば2作品セットで読むことをおすすめしたいと思います。
セルジ少尉(序盤でユニコーンのビームマグナムにカスって落とされた人)、パラオ攻略戦時のドライセンのパイロット、トリントン基地襲撃の際のゼーズールのパイロット等々、UC本編に登場したモブキャラ・モブMSにスポットがあてられ「あの時あの機体に乗っていた人の話だったのか!」となる構成となっています。本編では台詞も無くどんな顔かすら描かれていない"名も無き一般兵たち"にも、それぞれバックグラウンドとなる物語があるということを感じられるのは外伝ならではの楽しみと言えますね。
本作はタイトルにもある袖付きの"機付長"がストーリーのメインに据えられています。機付長とはそれぞれのMSの整備責任者といったところでしょうか。戦場で戦うパイロットではなく、それを送り出し無事に帰ることを祈る整備士たち。一般のガンダム作品とはまた違った趣がある作品です。
ちなみに作者の白石 琴似さんは昔(もう10年以上前)Gジェネの4コマとか書かれていました。ギャグパート等の作画なんかは当時の面影があって懐かしいですね。
『機動戦士ガンダムUC テスタメント』
- 作者: 虎哉 孝征
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2012年3月(1巻)
- 巻数: 全2巻
ガンダムUCの外伝作品。
モビルスーツが意思をもっているかのように物語の語り部となるかなり異色な作品。タイトルはユニコーンになっていますが、一年戦争からユニコーンまでの宇宙世紀を網羅した内容になっています。
意思を持ったかのようなモビルスーツの視点から、争うことをやめられない人間の行いを俯瞰的に語るというかなり斬新な試みに挑んだ作品となっており、内容はポエミーでもあり哲学的でもあり後半の雰囲気は神話的でもあったり…。この辺りは絵柄のクセも含めて、好き嫌いはかなり別れるというか読む人を選ぶ作品だとは思います。例えば1巻収録の「デルタの鼓動」では、翼を得ることができなかった"わたし"(開発段階で可変機構をオミットされたデルタガンダム→百式)が、"デルタプラス"という新しい名前と"翼"を得て再び目覚めるまでのエピソードを、デルタガンダム自身の回想録のような形で百式系モビルスーツの系譜と共に描かれています。
他にも「シャアが登場したMS」「ジム系の系譜」「ドム系の系譜」「フルアーマーを冠した機体の系譜」など、各話のテーマにそってMSVを含めてかなりの数のモビルスーツが登場します。登場モビルスーツ種類数では他作品の追随を許すことはなさそう。
ちなみに作者は上の方で紹介した『虹霓のシン・マツナガ』の虎哉 孝征さん。ユニコーンの原作(小説)の挿絵もやっていたんですね。それは本作を読んで始めて知りました。
『機動戦士ガンダム U.C.0094 アクロス・ザ・スカイ』
- 作者: 葛木ヒヨン
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2013年8月(1巻)
- 巻数: 全4巻
『ガンダムUC』の外伝作品で、時系列的には『ガンダムUC』の二年前。
普通のパイロットでもニュータイプと同等の能力を得ることができるどこかで聞いたような特殊なシステムである「ナイトロシステム」を巡る戦い。
量産型ΖΖや量産型百式改など通好みの機体が見れるのが良かったポイントです。キャラクターもMSも絵は非常に綺麗ですが、キャラクター一人一人の特徴は薄く、戦闘描写も他のガンダム作品に比べると薄味な印象があるため、時々誰がどのMSに乗っていて誰と誰が戦っているのわからなくなることがありました。あと時々ネタなのかマジなのかわからない所があるのも特徴で、「メガ粒子のカタマリ」⇒「ビクン///」は正直笑いました(笑)。
ただ、物語が進んで続編の『機動戦士ガンダム U.C.0096 ラスト・サン』に入っていくにつれてどんどん面白くなっていって上記の不満点も解消されていった印象なので、「尻上がり」といったイメージの作品です。前述の続編とは話が繋がっていて本作だけではやや中途半端な終わり方になるので、読む場合は2作続けて読むのがおすすめです。
【関連作品】
・『機動戦士ガンダム U.C.0096 ラスト・サン』(続編)
『機動戦士ガンダム U.C.0096 ラスト・サン』
- 作者: 葛木ヒヨン
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2015年6月(1巻)
- 巻数: 全6巻
『機動戦士ガンダム U.C.0094 アクロス・ザ・スカイ』の続編で、同じく『ガンダムUC』の外伝作品。前作の2年後、『ガンダムUC』本編の直前の話。
前作から引き続いて「ナイトロシステム」を巡る戦いに、本作ではユニコーンガンダム3号機"フェネクス"も登場し『ガンダムNT(不死鳥狩り)』の伏線にも繋がる展開に。前作からの主要メンバーにアニメ作品の懐かしいキャラクターまで加わって、中盤からはだんだんと面白い展開になってきて夢中で読んでいたんですが、ラストが駆け足で無理矢理話を畳んだような感じになってしまった(打ち切りという説もあり)のが非常に残念です。
前作の『機動戦士ガンダム U.C.0094 アクロス・ザ・スカイ』から主要な登場人物や設定が登場しているのですが、その辺の説明が本作から入る人には分かりにくくて不親切。そのため、前作未読の場合はまず先に前作を読まれるといいと思います。
前作本作共通の特徴として他の『ガンダムUC』外伝漫画作品からの登場キャラクターがチラホラ。他の作品を読んだことある人はニヤリとくる所があるかも。
【関連作品】
・『機動戦士ガンダム U.C.0094 アクロス・ザ・スカイ』(前作)
『機動戦士ガンダム トワイライトアクシズ』
- 作者: 蒔島梓
- 出版: ヤンマガKC
- 発売: 2018年3月(1巻)
- 巻数: 全3巻
もとは小説で、アニメ化もされている作品です。
時系列は『ガンダムUC』の数か月後。物語の内容としては『逆襲のシャア』に関連する後日談・外伝的な立ち位置の作品。
シャアの反乱後の小惑星アクシズを舞台に、サイコフレームの調査に訪れた連邦の舞台とそれに帯同するジオン出身の主人公アルレットと、突如現れたブッホ・ジャンク社の私兵武装集団バーナムとの戦いを描くショートストーリーです。敵となる組織のブッホの名の通り、『F91』のクロスボーンバンガードに微妙につながる要素もあったり。
ちなみに本作のメインキャラクター2名は『動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』にもそれなりの重要キャラとして登場しており(時系列はあちらはシャアの反乱の前なので過去の話)、ネオジオン総帥であるシャアとの関係性も描かれています。
『機動戦士ガンダムF90』
- 原作: 山口 宏
- 作画: 中原 れい
- 出版: 電撃コミックス
- 発売: 1997年6月(1巻)
- 巻数: 全1巻
『ガンダムF90』のコミカライズ作品。
元々のコミックスは1997年の発売なので現在では紙の本を入手するのは中々難しくなっていますが、2016年2月に電子書籍として発売されたのでKindleで読みました(いい時代になったものですね)。F90は元々は劇場版の『機動戦士ガンダムF91』の前日譚・外伝・スピンオフのような位置づけで、当時コミックやプラモデルの展開がされていました。
部隊は『F91』の3年前にあたる宇宙世紀0120年。ストーリーは連邦の次期主力に採用されたガンダムF90(開発は『F91』から登場したサナリィ)のテストパイロットチームのデフ・シド・ナヴィと、ジオン軍残党である火星独立ジオン軍(オールズ・モビル)との戦いを描いています。年を取ったジョブ・ジョンが出てきたり、ラストバトルの決着が完全に"アレ"だったり、敵組織のMSがすべて一年戦争時代のジオンMSを元にしたデザインだったり(RF系機体カッコいいから好き)、2機のF90の疑似人格コンピュータの名称が「Type-A.R」「Type-C.A」だったり(作中で明言はされていないけどアムロとシャアのイニシャルなのは明白)と、随所に初代ガンダムへのリスぺクトが読み取れるのも面白い所です。この辺は巻末の原作者コメント(電子書籍で追加されたもの)でも、『F91』はこれまでにない革新的なガンダム作品を目指したものであるのに対し、そのひとつ前の『F90』はこれまでのガンダムの総決算として書こうと思ったと書かれていました。このあとがきも当時の状況なんかが読み取れて面白いので併せて読むことをおすすめします。
『F90』というとプレバンでMGのシリーズ展開があったり、ガンダムエースで少し前まで漫画が連載されていたり(『ガンダムF90FF』)、「これがガンダム!悪魔の力よ!!」でお馴染みの本作の敵役ボッシュが最近他作品に登場してカラバ時代からずっとアムロについて行っていた人ということが明かされてたりと、結構最近ではホットなシリーズだと思います。本作は前述の通り電子で簡単に手に入りますし、ストーリーも1冊にまとまっているので、とりあえず「『F90』当たりの作品ってどんな話だっけ?」という時に最適な作品だと思います。
一年戦争まわりはもう擦り過ぎてるぐらい擦られていますが、近年は『閃ハサ』の映画化や『ガンダムUC』の続編、そしてこの『F90』まわりの展開等、宇宙世紀の後の方(逆シャア以降)にも光が当たってきていて、これからもどんどんガンダム世界が広がっていくのが楽しみですね。
『機動戦士ガンダムF90FF ファステストフォーミュラ』
- 漫画: 今ノ夜きよし
- シナリオ: イノノブヨシ
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2019年11月(1巻)
- 巻数: 全11巻
『機動戦士ガンダムF90』のスピンオフ作品。『F90』自体が『F91』のスピンオフなので、スピンオフのスピンオフになるのかな。「F90 A to Z PROJECT」としてガンダムF90の26種類あるパックのすべてが設定され、ガンプラでの商品展開をスタートしたのに合わせて始まったコミカライズ作品です。
ストーリーはUC0122年とUC0112~0116年の2つの時系列を行き来する形で進行していきます。
まずは各巻の冒頭部分(無い巻もあり)でプロローグとして、UC0122年のベルフ・スクレットを主人公とする『フォーミュラー戦記0122』の物語(第二次オールズモビル戦役)が描かれています。ここについては現在『フォーミュラー戦記0122』のストーリーをコミックで読む手段が本作までなかったので純粋に嬉しいですね。
そしてそこから回想する形で描かれるのが本作のメインであるUC0112~0116年の物語。元になった『F90』のストーリー(第一次オールズモビル戦役)より数年前の時系列で、F90-2号機のテストパイロットのパッツィ・アンゲリカと息子リヴ・アンゲリカを中心にしたオリジナルストーリーになっています。結構時系列が複雑なんですが、9巻の巻末に近年の他作品も含めた年表が乗っていてこれが結構わかりやすかったと思います。読むにあたってわかっておいた方がいい時系列をざっとまとめるといかのような感じ。
・0112年:本作メインストーリー
・0121年:『ガンダムF90』本編(第一次OM戦役)
・0122年:本作プロローグ&『フォーミュラー戦記0122』(第二次OM戦役)
・0123年:『シルエットフォーミュラF91』(ゼブラゾーン事件)
・0123年:映画『ガンダムF91』本編
MSの作画も良く、なによりF90の各ミッションパックの活躍が見れるというのが楽しいです。また、ストーリーが進むにつれて、ボッシュ、ガレムソン、ハウゼリー・ロナ、カロッゾ・ロナといったこの時代周辺の重要人物がこれでもかとでてきます。特に結構重要な人物ながらアニメ等には一切登場しないハウゼリーが人物像含め結構しっかり描かれていたのが個人的には面白かったです。2024年8月よりガンダムエースで続編となる『機動戦士ガンダムF90 クラスター』の連載が開始しており、そちらにどうつながっていくのか非常に楽しみです。
【本作ラストで残った伏線等(ネタバレのため白文字)】
・ラストで地球に落ちたF90-3号機から消えていたディル(リヴ)の行方
・大気圏に落ちるディルをMSA-0120で救いに来たヴェロニカ
・ヴェロニカのバックにいる実は生存していたパッツィ
・F90-2号機から消えていたカナタ
・巨大MAから回収されたマトリカ
『機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91』
- 作者: やすだ ひろし
- 出版: 電撃コミックス
- 発売: 1996年6月
- 巻数: 全1巻
『ガンダムF90』と『F91』の間をつなぐ外伝作品。
こちらも上の『F90』と同様に元々コミックス発売が1996年とかなり古い作品ですが、現在は2014年5月に発売された電子版で気軽に読むことができます。
時系列的には『F91』本編の直前(1か月ほど前)である宇宙世紀0123年2月が舞台。
MS開発におけるサナリィへの遅れを取り戻すべく、アナハイムによる極秘の新型MS開発計画「シルエットフォーミュラプロジェクト」を巡る戦い(ゼブラゾーン事件)を描く。主人公は連邦軍からアナハイム・エレクトロニクスに出向中のテストパイロットのトキオ・ランドール。
『F91』の本編直前ということで、遂に本格的に動き始めたクロスボーン・バンガードも登場。サナリィ製のF90やF91に対して、アナハイム製のRXF91やネオガンダムはどう見てもまるパクリなわけですがその辺の事情なんかも物語で語られていて興味深いです。『F91』本編に直接的に関わる内容ではないですが、その前日譚として本編のスキマを埋めるストーリーになっていると思います。
『機動戦士クロスボーン・ガンダム』
- 作者: 長谷川 裕一
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2011年1月(1巻)
- 巻数: 全6巻
上記は2011年に発売された新装版の情報です。元のコミックの1巻は1995年3月発売。
『F91』の続編的な位置づけとなる漫画オリジナル作品。時系列的には『F91』の数年後となり、同作品のキャラクターも多数登場。
クロスボーンといえば、まず絵柄の好き嫌いが別れるところかと思います。ガンダムぽくないという意見もわかるけれど、個人的に本作のガンダムのデザインは全シリーズ通してもトップを争うぐらい好き。ゲデモノデザインと言われがちな敵側(木星帝国)のメカについても、劇中で「地球とはまったく環境の異なる木星で100年以上生活していた人々は、もはや地球人とは別の生き物と言えるのかもしれない」といった事が語られていることを踏まえてみると、むしろこの"ガンダム世界のモビルスーツぽくなさ"こそ正解なんじゃないかと感じます。
ストーリーについては富野監督が原作と言うことできちんと"ガンダムの物語"をした上で、作者の長谷川さんの作風なのか「胸が熱くなる少年漫画のノリ」が用意されているのが特徴です。心に残る熱い名ゼリフ、名言が多いのも本作の大きなポイント。
- 「おれは人間だ!人間でたくさんだっ!」
- 「ならば海賊らしく・・・。いただいてゆくっ!」
- 「神よ、もし本当におられるのでしたら・・・。決着は"人間"の手でつけます。どうか手を、お貸しにならないで」
- 「安心したよっ!ドゥカチっ!あんた・・・まだ人間だっ。(略)心のゆがんだだけのただの人間だっ!」
主人公トビアの台詞から(CV:山口勝平で脳内再生)。他にも他のキャラのも含めると色々思い付きますが、名言が多い作品はゲーム等で声がついたときが楽しいですね。Gジェネにクロボン勢が参戦したときはずっと使ってました。ファンからはずーっと期待されてたことですが、いつかアニメ化もしてほしいです。
もうひとつこの作品で印象的なのはここまでのガンダム世界の時系列で散々やってきた、「ニュータイプはヒトの進化系なのか」「人々がニュータイプになれば争いはなくなるのか」という命題に1つの答えを提示したこと(繰り返しになりますが原作は富野監督)。ストーリー的にはいい流れだったと想いますが、個人的にはちょっと悲しい結論かなと思いました。
【関連作品】
・『機動戦士クロスボーン・ガンダム -スカルハート-』
・『機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人』
『機動戦士クロスボーン・ガンダム -スカルハート-』
- 作者: 長谷川 裕一
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2021年3月
- 巻数: 全1巻
上記は2021年に発売された新装版の情報です。元のコミックは2005年1月発売。
クロスボーンガンダムの本編の前・中・後の6エピソードが描かれた外伝短編集。
- ウモンじいさんのボールでドム6機撃墜のエピソード。
- ガンダム界随一の名前の長さを誇るヒロイン”トゥインク・ステラ・ラベラドゥ”。
- アニメシリーズでは有名なある人と同一人物であることが示唆されている"木星じいさん"グレイ・ストーク。
等々。
お猿の話でさらつとNTが人の進化形であることを否定してるのがクロスボーンぽいです。
ちなみにタイトルのスカルハートは木星戦役後に改修された「クロスボーン・ガンダムX1改・改」(このネーミングも最高)の通称から。
【関連作品】
・『機動戦士クロスボーン・ガンダム』
・『機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人』
『機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人』
- 作者: 長谷川 裕一
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2021年2月(1巻)
- 巻数: 全3巻
上記は2021年に発売された新装版の情報です。元のコミックの1巻は2006年12月発売。
クロスボーンガンダムのその後を描く続編。宇宙海賊に残ったトビアと、新総統率いる木星帝国の新たな戦い。
タイトル(なんか荒野の七人とか七人の侍っぽい)の通り、7人の精鋭部隊"鋼鉄の7人"を揃えて戦いに望み、傷つきまた一人と倒れていく展開はベタではあるもののやはりアツくなりますね。終盤の展開の盛り上がりはガンダム漫画屈指かと思います。後のVガンダムに続くキーワードも多々登場し、きちんとF91とVの繋ぎを果たしているところも面白いです。
個人的には当初モブかと思っていたミノル・スズキがとってもよかったです。ガンダムお馴染みのイケてるおっさん。「諸君の命などいらぬっ!生き残れ!以上だ!」ってセリフが最高にかっこいいです(CCAのブライトさん意識してる?)。
【関連作品】
・『機動戦士クロスボーン・ガンダム』
・『機動戦士クロスボーン・ガンダム -スカルハート-』
『機動戦士Vガンダム プロジェクト・エクソダス』
- 作者: 長谷川 裕一
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 212年7月
- 巻数: 全1巻
「機動戦士Vガンダム プロジェクト・エクソダス」と「機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンテス」の2本の短編を収録。作者は『クロスボーン・ガンダム』シリーズでお馴染みの長谷川さん。
「機動戦士Vガンダム プロジェクト・エクソダス」は『Ⅴガンダム』の本編中、ザンスカール戦争のさなかのウッソの知られざる戦い、というストーリーになっています。内容的には「あったかもしれないしなかったかもしれないⅤガンダム外伝」といった感じのものですが、過去作品の某主人公と同一人物なのではないかということで有名な"木星じいさん"ことグレイ・ストークも登場し、作者の長谷川さんらしい視点でのニュータイプや人類の行く末を語るストーリーになっているのが面白いです。正史として扱われる内容なのかどうかはさておいて、一読の価値アリの作品だと思います。
「機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンテス」はアムロとジュドーとシャアが共闘して人類を滅亡させてしまいかねない赤い巨人・イデオンに立ち向かうというぶっ飛んだストーリー。これはもう完全に「そんな世界線もあるかもね」ぐらいの感じで読むのが良いと思います。設定的にはあり得ない部分が多いとはいえ、やはりアムロとジュドーの共闘はファンとして見たかった絵の一つではあるので十分に楽しめました(カミーユもいたらよかった)。
アナザー世紀系の作品
『超級!機動武闘伝Gガンダム』
- 脚本: 今川泰宏
- 漫画: 島本和彦、宮北和明とビッグバンプロジェクト
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2010年12月(1巻)
- 巻数: 全26巻
アニメ機動武闘伝Gガンダムのキャラデザを勤めた島本和彦により、独自の解釈や設定が付け加えられたコミカライズ。Gガンダムをご存じない方は、とりあえずガンダム版のドラゴンボールのようなものと思っておいて頂ければ(雑)。
本作を一言で言えば、
「機動武闘伝Gガンダム THE ORIGIN」
といった感じでしょうか。
特徴としては全編、劇画調。元々ガンダムの中では異色の熱血ものであったGガンダムですが、より熱く、そしてより暑苦しくなっています(褒めています)。全体的なコミカルさも増していて、ドモンのキャラも違っています。コミカルさやツンデレっぷりが増しており、アニメ版のぼくとつな雰囲気よりはある意味年相応な感じに。また、師匠やシュバルツが言うところの「未熟者」感も強くなっていて、「ライバル達と切磋琢磨し周囲の大人の助けも借りながら壁を乗り越えて一人前の男に成長していく」というドモンの成長物語色がより増しているように感じます。
とにかくGガンが好きな人であれば間違いなく楽しめると思いますので、突っ込んだり叫んだり(?)しながら肩の力を抜いて楽しむのがぴったりな作品です。
本作は「〇〇編」のようなサブタイトルが付いているものもありますが、コミックスで読むなら以下の順番になります。
・無印(ドモン放浪編) 1~7巻
・新宿・東方不敗! 1~8巻
・爆熱・ネオホンコン! 1~7巻
・最終決戦編 1~4巻
『機動武闘伝Gガンダム Re:Master Edition』
- 作者: ときた洸一
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2024年7月(1巻)
- 巻数: 全3巻
コミックボンボンで連載されていたコミカライズ作品。20年以上の時を経て、新規読み切りを追加してリニューアル発売されました。元のコミックの1巻は1994年10月発売。
作者はもちろんアナザー世紀のガンダム漫画の第一人者ともいえるときた洸一さん。平成ガンダムのコミックと言えばまずこの人を置いては語ることはできないでしょう。僕の世代はときた漫画とともに平成ガンダムを知ってきたと言っても過言ではないです。
本作はアニメの放送当時に並行で連載していたもので、アレンジの強い上の『超級!機動武闘伝Gガンダム』に比べるとストーリーはほぼほぼアニメ準拠と言っていい内容。雑誌の発行ペースの都合上一部の話がカットされたりアレンジされてはいますが、基本はGガンダムのストーリーに忠実にかつコンパクトに3巻にまとめられています。Gガンダムの入門やおさらいにまずはサクッと読むのに非常に適した良作コミカライズです。
Re:Master Editionでは読み切りの新規エピソードが追加されており、1巻目と2巻目の巻末にそれぞれ前編・後編が収録されています。これはGガンダムファンは必見の内容。登場してくるキャラクターを見るたびに「おおー!!」と声が出てしまいました。この読み切りだけでも購入の価値ありです。
『機動新世紀ガンダムX Re:Master Edition』
- 作者: ときた洸一
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2022年1月(1巻)
- 巻数: 全3巻
コミックボンボンで連載されていた『機動新世紀ガンダムX』のコミカライズ作品のリニューアル版。元のコミックの1巻は1996年10月発売。もちろん作者はときた洸一さん。
本作も他のときた作品と同様に、アニメの放送当時に並行で連載していたもので、尺の問題である程度のアレンジが入っていたりサブストーリー的な部分はカットされていますが、基本的にほぼアニメ準拠のストーリーになっています。気軽に『ガンダムX』のストーリーを再確認したい時などに非常に適した良作コミカライズです。僕も本作が発売した際に購入して久々に『ガンダムX』のストーリーを読み直しましたが、ガンダム世界の根幹をなす要素の一つである「ニュータイプ」に対して本作独自のアンサーを出しているのが非常に面白い作品ですね(そこも本作コミックでもしっかりと描かれています)。
Re:Master Editionでは1巻と2巻巻末にジャミルの過去編の読み切りが、そして3巻にはアニメの続編となる「NEXT PROLOGUE 『あなたと、一緒なら』」が収録されています。特に後者は本編最終回後の世界を舞台に、少し成長したガロードとティファが描かれていて、本編は過去のコミックスを読んだことがある人も、この読み切りだけでも買って読む価値は非常に高いと思います。
『機動戦士ガンダム00F』
- 作者: ときた洸一
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2008年3月(1巻)
- 巻数: 全4巻
機動戦士ガンダム00の外伝作品。ソレスタルビーイングの武力介入の裏で暗躍した、サポート組織"フェレシュテ"のマイスターやメンバーの戦いを描く。
時系列としては前半部分がテレビ版1stシーズン、後半がテレビ版1stと2ndの間の物語となっていて、本編とのリンクも多く「テレビ版のストーリーの裏でこんなことが起こっていたのか!」と思わせる内容となっています。そのためガンダム00本編を知っている人であれば外伝として楽しむことができますが、逆に本編を見ていないと「???」が続く形になりそう。テレビ版の1st及び2ndシーズンを視聴してから読むことをおすすめします。
主人公フォン・スパークがかなりエレキセントリックな性格をしており、行動が読めない(=先の展開が読めない)のは読んでいて楽しい所です。ただ、前述の通りかなりブッ飛んだ性格をしていて中々に感情移入はしにくいため、彼のキャラをどうとらえるかで本作への評価も別れそうです。ガンダム00が好きであるという大前提をつけた上で、なお好き嫌いが別れそうな作品ですね。
作者はもはやアナザー世紀のガンダム漫画の第一人者ともいえるときた洸一さん。2017年10月から2018年1月にかけて『機動戦士ガンダム00F Re:Master Edition』として書き下ろし漫画などが追加された新装版が発売されていますが、そっちの方は書籍の在庫も電子版も見当たらなかったので元の2008年版の情報を記載しています。
『機動戦士ガンダム外伝 Gの影忍』
- 作者: こやま 基夫
- 出版: 復刊ドットコム
- 発売: 2017年7月
- 巻数: 全1巻
上記は2017年に復刊されたもので、元のコミックは1990年1月発売。
(冒頭文)「宇宙世紀0079年。時は戦国 嵐の時代!ジオン公国は地球連邦に対し戦線を布告」
SD戦国伝かな??
といった感じで始まる、一部で伝説になっているガンダム忍法帖的な作品。忍法を操るMSの戦いという異色の作品ですが、一応舞台は宇宙世紀であり「一年戦争の裏側で・・・」といったテイで書かれています。ただ、あまりにも機動戦士ガンダム本編と世界観が異なりすぎているためここでは一応「アナザー」という扱いでご紹介させていただきました。
序盤は結構本編シリーズとの違いをメタ的にいじるギャグ部分も多少ありますが、ストーリーの展開は基本的には結構シリアスでした。かなりぶっ飛んだ設定になっているので合わない人は合わないと思いますが、個人的にはこれはこれでありという感じで楽しめました。
結構イロモノ扱いの空気がムンムンな感じではありますが、『機動武闘伝Gガンダム』の今川監督が本作の影響を受けていたり(確かにGガンダムの世界観とすごい合ってる感じがする)、ラストバトルの展開は20年以上後の作品である『機動戦士ガンダム00』の劇場版の設定に通づるものを感じたりと、かなり「知る人ぞ知る伝説の作品」という感じになっているようです。
『機動戦士ガンダムAGE 追憶のシド』
- 作者: 中西 寛
- 出版: 少年サンデーコミックス
- 発売: 2012年5月(1巻)
- 巻数: 全3巻
キャプテン・アッシュ誕生の物語。
ガンダムAGEの外伝作品。時系列的にはアセム編とキオ編の間。アニメ本編では語られていなかった、アセムが任務中に行方不明となって宇宙海賊ビシディアンのキャプテン・アッシュとなるまでの経緯、ダークハウンドの誕生、EXA-DBやシドの秘密等の重要なエピソードが描かれています。
このアセムがアッシュになるまでの経緯なんですが、とある登場人物のセリフに「人は戦いと共存しなければならないんだ…」とあるようにアセム編で登場した際にヴェイガンと連邦軍の戦力を拮抗させるという考えに至るまでの心の変化などが描かれているのが本作の結構重要なポイントで、アニメでは描写不足から「嫁と子供ほっぽりだして何言ってんだコイツ」となってしまいがちだったのをしっかりと補完しています。正直イワークとかジラード・スプリガンのくだりとかいらないから本作の話をアニメで3~4話入れてくれただけでもだいぶ違ったんじゃないかと思います。
ガンダムAGEのアニメを観るのであれば2期(アセム編)と3期(キオ編)の間にマストで読んでおくべきレベルの作品だと思いました。それだけに現状書店での入手は困難な上に電子での配信もない(見つけられなかっただけであったらゴメン)のが非常に残念です。
ちなみに「なっ!?待ちぶ・・・」⇒「ラーガーン!!」でお馴染みのアニメ冒頭部分を描いた読み切り作品『始まりの物語』も同じ作者さんだったらしく、1巻と2巻にそれぞれ前編・後編が収録されています。
その他(日常系・SD系・ギャグ系等)の作品
『トニーたけざきのガンダム漫画』
- 作者: トニー たけざき
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2004年3月(1巻)
- 巻数: 全3巻
ファーストガンダムを題材にオリジン風(安彦風)の画風で描かれたギャグ漫画作品。
個人的には本作と、連載中の『機動戦士ガンダムさん』と、『ハイブリッド4コマ大戦線』がガンダムエースのギャグ漫画三大巨頭だと思っています。
本作の特徴は作者独特の世界観。初代の様々なシーンを題材に、各話数ページごとの短編集的な構成になっています。単純に原作の名シーンをパロディしたギャグだけではなく、突然カラーページになったと思ったらMS(時にはキャラも)がガンプラやフィギュアの実写になったり(要は各コマがジオラマになってる)、ランバ・ラル隊の突入シーンを検証(ほとんどギャグ無し)し始めたりと、作者独自の世界観でつくられている作品という印象です。
読んでいて初代ガンダムへの深い愛が伝わってくる作品でもあり、ガンダムを観たことがある・良く知っているという人ほど笑えるところの多い名作ギャグ(というくくりだけで括っていいのかもわからないけど)作品になっています。
ちなみに個人的に上で上げた三大巨頭の印象は以下の通り。どれもそれぞれの特色があって大好きです。
・『機動戦士ガンダムさん』
⇒ライトからマニアまで間口の広い王道ギャグ&読み応えのある中・長編エピソード。
・『トニーたけざきのガンダム漫画』
⇒ファースト愛と独自の世界観でコアなファンにほどささる。
・『ハイブリッド4コマ大戦線』
⇒王道な本編パロディ4コマギャグ作品。ファースト以外の宇宙世紀作品も網羅。
また、単行本全3冊の他にも、本作の派生4コマ作品『トニーたけざきのサクサク大作戦』(2014年3月発売・全1巻)も発売されています。こちらは本作に出てきた簡単に描ける量産できる簡易MS"サク"や同じように簡略化されたMSを中心とした4コマ作品になっています。
『機動戦士ガンダム ハイブリッド4コマ大戦線』
- 作者: 谷 和也
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2010年1月(1巻)
- 巻数: 全5巻
宇宙世紀の各作品を題材にした4コマギャグ漫画。TVアニメ作品の他にも、劇場版やOVAとかなり幅広く宇宙世紀作品を扱っています。
他にガンダムのギャグ漫画の代表的な作品である『ガンダムさん』や『トニーたけざきのガンダム漫画』等に比べると、かなり王道なパロディギャグ作品といった感じです。昔よく見かけたGジェネとかスパロボなんかのアンソロジー4コマを思い出します。原作をパロディするギャグがメインなので、ガンダム作品を知っていれば知っているほど、ガンダム好きであればあるほど、楽しめる内容になっていると思います。今は電子でも読めるので、個人的にはゴロゴロしながらスマホで読んでクスっと笑うといった感じの楽しみ方が気に入っている作品です。
作者の谷 和也さんの画力が非常に高く、どの作品のキャラクターも原作からほとんど違和感なくかつ今風の綺麗なデザインで再現されているのも凄いと思います。安心して人にもお勧めできる良ギャグマンガです。
アイナ・サハリン(自称17歳)やシーマ様が作者のお気に入り(?)で、本作の中でも結構オリジナル要素強くいいキャラしていて、「アイナ様編」と「シーマ様編」は各巻読むのが楽しみでした。あと、個人的に一番好きだったのは「ポケットの中の戦争編」のアルのスケッチブックのシリーズですね。毎回声出して笑ってました。かつてここまでガルシアを掘り下げた漫画があったのだろうか(笑)。
『機動戦士ガンダム シャアとキャスバル(11才) 』
- 作者: 谷 和也
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2015年10月
- 巻数: 全1巻
キャスバル坊や(11歳)を救うため、シャア(10年後のキャスバル)が未来の世界からやってくるという少しぶっとんだ内容の4コマギャグ漫画。時代はアニメ版ジ・オリジンの第一部「青い瞳のキャスバル」の世界。冷静で聡明なキャスバル坊やに対して、ドジでしょーもない性格のシャア。同一人物のはずが性格は正反対の二人(?)によって繰り広げられるギャグ漫画です。シャアはパロディ漫画だとだいたい毎回こんなキャラになってしまっているのはもはや宿命か。
作者はハイブリット4コマでお馴染みの谷和也さん。時折挟まれるオリジン本編のパロディ漫画が面白くて、そこはちゃんと安彦タッチのオリジン作画になっていて本編の絵をそのまま使ってるのかと思うほどでした。個人的にはそっちの本編パロディの方が面白くて好きかな。
続き(オリジン第二部「悲しみのアルテイシア」編)もやりそうな雰囲気でしたが、2015年の本作発売以降続編が来そうな空気が無かったのは残念。
『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN 笑劇のまるごとシャア・セイラ編/ルウム会戦編』
- 作者: 谷 和也
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2016年11月/2018年4月
- 巻数: 全2巻
ハイブリット4コマでお馴染みの谷和也によるアニメ版『THE ORIGIN』の各作品を題材にしたギャグ作品。
ベースはアニメ版の『THE ORIGIN』となっており、「シャア・セイラ編」ではアニメ作品の前半部分(シャア・セイラ幼少期から士官学校まで)を題材に、「ルウム会戦編」ではアニメの後半部分(士官学校から1年戦争突入まで)を題材にして、作中のさまざまなシーンをパロディしたギャグマンガになっています。作画はかなり安彦タッチのオリジン作画になっていて、ハイブリット4コマの時ともまた違った味を出しているのは流石だと思いました。
前述の通りアニメ版の『THE ORIGIN』を題材としたギャグになっているので、『THE ORIGIN』のアニメを観てから読むことをお勧めします。
『ことぶきつかさ短編集 いけ! いけ! ぼくらのVガンダム! !』
(※写真は新装版がAmazonリンク無かったため1994年版)
- 作者: ことぶきつかさ
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2012年11月
- 発行: 全1巻(完結済)
元は1994年に『いけ! いけ! ぼくらのVガンダム! !』として発売されたもの。今回読んだのはそれにさらに短編を加えて改題した2012年版の物です。
基本的にギャグテイスト中心でセクシー要素多めの短編集。
前半はVガンダムが中心で、マーベットやシャクティのキャラ崩壊っぷりは見物。Vガンダムを未視聴だとちょっとつらいかも。"カテ公"の愛称(?)は多分この作品から。
2012年の新装版の方では、終止シリアスな展開の"ソロモンの悪夢"誕生秘話や『カイ・シデンのレポート』シリーズの特別予告編は必見。
『ガンプラ戦記 ジャブローズ・スカイ』
- 原作: ゆきもり
- 作画: ロドリゲス 井之介
- 出版: ゲッサン少年サンデーコミックス
- 発売: 2015年11月(1巻)
- 巻数: 全5巻
個人的超おすすめ作品。とにかく読むと絶対に作りたくなる漫画!!
中々珍しいガンプラを主軸に置いた漫画。表の顔は超スーパースターの人気俳優だが、誰にも言えない秘密の趣味としてとにかくガンプラが好きな主人公。コンテストに出品するために自分だけのオレ設定機体を作っていく・・・。という話。
正直作画については好き嫌いあるかもしれません。しかし、「製作中にパーツどこかに消えてしまって急いで複製する」「製作の工程の大半を占めているのはやすり掛け」「塗装の最中にホコリが付いてしまってやすり掛けからやり直す」等々、製作の悩みやあるある等ガンプラ好きには刺さる要素が強いおススメの漫画です。僕が製作のモチベが落ちた時なんかはこれを読んでます。また、ヤスリがけ、パテでの加工(パテの種類による使用シーンの違い)など、初心者には勉強になる知識やちょっとしたテクニックなども。
また、定期的に主人公の脳内設定による妄想パート(一年戦争後半の地上戦でオレ設定のMSが・・・と言う感じの話)が出てきてそこがMSが戦闘・活躍するパートになるわけですが、本来ガンダム漫画の花形ポイントであるはずのMS戦闘シーンを読み飛ばしてでもガンプラ製作の続きが読みたくなるという不思議な作品でもあります。
『プラモ男子とプリチー女子-ミズオとイエナの一年戦争-』
- 原作: ゆきもり
- 作画: ソラキスズ
- 出版: ビッグコミックス
- 発売: 2013年5月(1巻)
- 巻数: 全4巻
一つ上の『ガンプラ戦記 ジャブローズ・スカイ』と同じくガンプラを主題とした漫画。原作は『ジャブスカ』とおなじゆきもり氏で作画は別の人となっています。発売順で言えばこちらの方が先。
女性に縁のない人生を送ってきた40歳の独身プラモ好き男子・ミズオの家に突然転がり込んできた20歳の天然美女イエナ。趣味中心の独身生活を謳歌していたミズオの暮らしはどうなってしまうのか?イエナとの関係は?オフ会に向けて製作中のオレ設定機体を完成させることはできるのか?という感じのお話。
個人的にはガンプラ漫画という意味では一つ上の『ジャブスカ』の方が数段上かなといった感じの印象。全体的に「ガンプラ成分が足りない!!」というのが読んでみての感想です。ミズオとイエナのラブコメ要素に尺を食われすぎていて、そのラブコメ部分も正直内容は薄々なので、もう少しガンプラ製作パートを多くしてほしかったという感じでした。
また、ヒロインのイエナを許容できるかという所が大きなポイントになるかも。ミズオのことが好きとはいいつつもガンプラには一切興味がないため、悪質なセールスと勘違いした相手を撃退するために完成したガンプラを投げつけて壊したり、その壊れたガンプラを無断で捨ててしまったりと、ガンプラ好きとしてはそのパートを読んだ瞬間に読むのを投げ出しちゃうかも(どちらのシーンも1巻なのでそこを越えられるかどうかで分かれるかな・・・)。一応ストーリーが進んでいけばミズオのガンプラ好きに理解を示していく部分もあり、キャラとしても愛着が出ては来るのですが・・・。ぶっちゃけイエナは出さないか、1冊に1~2回ある程度のラブコメ要員のサブキャラにしてしまって、その分の尺をガンプラ製作パートにあてて「趣味を満喫する独身男のガンプラ物語」にしてしまった方が面白かったんじゃないかとは思います。
「がっつりガンプラに焦点を当てた漫画が読みたいんだ!!」「さえないおじさんと若くてかわいい女の子のラブコメ要素も欲しい!!」等、人それぞれ求めるものによって評価の分かれる作品だと思います。
『ダブルゼータくんここにあり』
- 作者: こいでたく
- 出版: 復刊ドットコム
- 発売: 2016年7月(1巻)
- 巻数: 全2巻
上記は2016年に復刊されたもので、元のコミックは1991年2月発売(多分)。
コメントでご紹介頂いた作品です!
2~3頭身にデフォルメされ自らの意思をもったモビルスーツたちの暮らす村「SD村」の住人たちの生活がほんわかと描かれています。真面目だけどのんびり屋で心優しいダブルゼータ君が主人公。基本的には表紙の雰囲気の通りゆるい日常系作品で、愛らしいキャラクター達も見ていて非常に癒されます。いまはなきコミックボンボンなどに載っていそうな感じの漫画ですね。しかし、「子供向けかな?」と侮るなかれ。
強いとはどういうことか?勇敢さとはなにか?自分はどうしてここにいるのか?
生き方や在り方などについて哲学的とも言える問いかけが随所にあり、非常に深い内容になっていました。後半の展開からの胸にジンとくるラストは忘れられなくなります。大人になってから読んで良かったような、子供の時にも一度読んでおきたかったような、そんな不思議な作品です。
Zちゃん・ケンプファーちゃんなど一部(なぜか)擬人化されている女の子キャラクターが可愛らしいですね。ちなみに僕が一番好きなキャラクターはアッシマー君です。
『ガンオタの女』
- 作者: 左菱虚秋
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2007年11月(1巻)
- 巻数: 全3巻
ガンオタ(特にシャアが大好き)であるが職場ではそれをひた隠しにしているバリバリ優秀なキャリアウーマンの主人公・賀ノ多うつきの奮闘と周囲の個性的な人物達の日常を描く、ゆる系+ビジネス系日常漫画。
主人公・賀ノ多(言葉の通りガンオタ)、後輩の真壁(マクベ)、勤め先のズーム物産(ズム・シティから)、賀ノ多惚れている男・岸利旭(キシリアザビ)、賀ノ多の家に居候する麻生ララ(ララァスン)など登場人物や設定にガンダムからのパロディが多く散りばめられています。登場人物の細かいセリフや地名・物の名前等にもパロディが組み込まれているので、「ここもか!」「このキャラはあれか!」など見つけながら読んでいくのも楽しみ方の1つですね。
全体的な印象としては"なにかがちょっと惜しい"というのが正直なところ。前述の通りパロディネタを探して読むのは楽しいですし、終盤は少しホロリとさせられる所もあるのですが…。全編爆笑というほどギャグに寄ってもいないですが、かといってがっつり読み込めるほどストーリーが練り込まれているわけでもない。中途半端な感じになってしまっているのが題材は面白いだけに非常に惜しい感じです。もしかしたら4コマぐらいのほうがちょうど良かったのかも。実際に4コマだった読み切り(コミックス未収録)の方は高評価のようですね。それでもなんだかんだ楽しめたのでちょいちょい読み返している作品です。
賀ノ多さんとは普通に付き合いたいと思った。僕は連邦MS派なのでダメそうですが(笑)
『HGに恋するふたり』
- 作者: 工藤 マコト
- 出版: 角川コミックス
- 発売: 2020年3月(1巻)
- 巻数: 全8巻
ガンダムを愛する二人が出会った時、何かが始まる――。
『好き』で気持ちを通わせるアラサーOLとJKが贈る『ガンプラ』日常コメディ!!
(Amazon商品説明欄より抜粋)
ガンダムが好きだけれど周囲の目などを気にしてその気持ちを抑え込んでいた30過ぎのOL・神崎と、模型店の娘でガンプラ大好きなJK・宇宙(そら)が出会ったことで始まる物語。ストーリーが進むごとに年齢もプラモデル歴も異なる仲間達が増えていき・・・、といった感じの日常系作品。ガンプラを題材にしていて当然製作シーンなどはあるものの、『ジャブローズ・スカイ』ほどのがっつりとしたガンプラ漫画というよりかは、かわいい女の子達の日常コメディの中にガンプラが出てくるといった感じでドラマパートがメインな印象の作品です。イメージ的には『けいおん!』とか、同じプラモデルで言えばドラマの『量産型リコ』とかそういった作品に近いって感じですかね。ガンプラの話をがっつり見たいという人にはやや物足りないかもですが、個人的にはキャラも可愛らしくドラマパートもほどよい起伏といった感じでゆるーく楽しめました。ガンプラ作っててやすり掛けに疲れた時とか、塗装の乾燥待ち時間とか、そんなときにのんびりごろごろしながら読むのがピッタリって感じの作品だと思います。
主人公の神崎は(他のキャラよりも歳が上ということもあって)ずっと「女の子なのにガンダムが好きなんて」という気持ちをもって周囲にはその気持ちを隠してきたキャラクター。今でこそガンプラを作る女の子なんて珍しくも無く、SNSやYouTubeなどで有名な配信者も沢山いますが、本作連載開始当時はまだそこまでといった感じだったと記憶しています。また、主人公の一番好きな作品が『ガンダムSEED』シリーズというのも年代的な部分を抜きにしてもちょうどよいチョイスだったと思います。色々意見はあると思いますが、どちらかというとSEED系は「ニワカファン」と言われてしまいがちな傾向のある作品(あくまでそういうことを言う人もいるという意味ね)という点で、物語冒頭のテーマとマッチしていたんじゃないかと。そしてそこから同じ「好き」を持った仲間と出会って、その好きな気持ちを大切に大きくしていく、というストーリーはとても良かったと思います。いちガンダムファンとして大切なものを改めて感じさせられた作品でした。特に今はネット等でどこの誰かもわからないような奴から好き勝手余計なことを物申されかねない時代、3巻でももちゃんの言っていた「人の批判しかできないヒマ人共の相手するぐらいなら、自分の好きなことに時間を使うわ」というのがまさしくその通りといった感じだったと思います。
まとめ
ここに記載した以外にも読んだ作品は沢山あったように思えるんですが、直近読んだものを中心に書いてみました。
今後発売される作品や、改めて読み直したものも順次追記していきたいと思います。
オススメの作品などもありましたらコメント等頂けると嬉しいです。
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【お台場にできたガンダムベースに行ってきました】
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