『邪馬台国はどこですか?』『新・世界の七不思議』に続くシリーズ3作目。
新・日本の七不思議
- 著者:鯨統一郎
- 出版社:東京創元社(創元推理文庫)
- 発売日:2011/4/28
- 頁数:285ページ
- オススメ度:☆☆
タイトルの通り今回は題材を日本に限定した七つのエピソードが収録。
日本人のルーツはどこから来たのかという話に始まり、第一作『邪馬台国はどこですか?』の邪馬台国=東北説の続きとなるエピソード、同じく本能寺の変の続きとなるエピソード、空海・柿本人麻呂・東洲斎写楽の正体、そして最後は太平洋戦争について語られている。
ただ、さすがに3作目ともなると1作目のように「これはとんでもない新説だ!」と思わされるような切れ味は薄れてきてしまっており、やや尻切れトンボのような印象をうけてしまったエピソードもちらほら。個人的には空海と人麻呂の話あたりは本シリーズぽさを感じながら楽しめたが、その他は…といった感じ。
また、本作では前作までのようにバーの中だけに限られた会話劇ではなく、宮田と静香が各話の題材となる場所をフィールドワークする形がとられている。そのためこれまでバーテンダーの松永やハートマン教授が担っていた第三者視点を担う立場の人物が各話ゲストで登場している。
本題とは逸れてしまうが、いつの間にか宮田と静香の二人の仲が進展していたのは良かった。次作があったらそこに至ったエピソードなども語られたらいいなと思う。
本作のシリーズを読んでいて、高校のあたりの日本史・世界史の教科書を改めて購入してみようと思った。今改めて「覚えなきゃいけないこと」ではなく「一つの物語の流れ」として読み直したら色々と面白いかもしれない。