こんにちは。
先日、政府がキッズウィークを導入する考えを表明して話題になりました。
ネット上では賛否両論(というより否がメイン)が飛び交い、僕もニュースサイト・個人のブログ・Twitterなどで様々な意見を目にしました。
まだ正式には大した情報が出ていない段階ですが、少しばかり真剣に影響や善し悪しについて考えてみました。
僕の結論としては以下の通りです。
そもそも検討すべきことの順序が間違っている
目次
キッズウィークとは?
【ポイント】
- 有給取得を促すことが狙い
- 対象は小中高校
- 夏休みの1週間をどこかの平日にまるごと移す
- 休みとする週は都道府県等で異なる
- 有給取得推進を企業に要請する
【考えられるメリット】
- 有給取得率の増加
- 家族で過ごす時間を増やす
- 観光地や交通機関の混雑の緩和、分散
- 消費の拡大
ほうほう。休みが増えるし、観光地が混雑しない平日に旅行もできる、オフシーズンなら航空券も安い!素晴らしい!
…とはならかったようですね。まあ、まだ概略が発表された段階なので突っ込みどころ満載でも仕方ないような気もしますが、実際に有用な施策なのかどうかいくつかの観点で考えてみたいと思います。
立場別に影響を考える
※細分化しすぎると分かりにくいので、立場はざっくりと分けています。
①子ども
【考えられるメリット】
- 家族で過ごす時間が増える(親が休めれば)
【考えられるデメリット】
- 親が休めなければむしろ寂しい時間を過ごすことになる可能性大
- 冷暖房のない学校なら暑い中の地獄の授業が増える
この試作で一番影響を受けるのは子どもですが、残念ながらその子供に対してのメリットがあまり目立たないような気が…。
中高生であれば親がいなくとも友達と過ごすなり楽しく過ごすことはできそうですが、小さい子で親が休めない仕事だった場合、家に一人になってしまったりどこかに預けられたりと結局寂しい時間を過ごすことになってしまいそうです。
②独身者
【考えられるメリット】
- 休めたら儲けもの
- 上の連中が休んでくれるだけでも良し
【考えられるデメリット】
- なし
実は僕は独身者が一番デメリットなく恩恵を得られる可能性があるんじゃないかと考えています。
本件についての議論でネット上で独身者について言及されるのは概ね以下の2つの考え方になります。
- A:さすがに「子どもがいない人は休めない」なんてバカげたことにはならないだろう
- B:独身者は対象にされていないので、休んだ人の分皺寄せがくる。
Aについては多少楽観的な気もしますが、まあ元々無かった休みですから、便乗して有給が取れたらめっけもんですね。
Bが問題、のように見えますが、この状況になっている時点でそれなりに優良な職場環境であることが推察されます。大抵のとこは「C:結局誰も休めない」だって。
別に子どもいないんですから、わざわざキッズウィークに休む必要ないですよね。有給が取りづらくて困っている若者の一番の障害は、「全く休もうとしないおっさん達」です。子どものいる上の連中が「1週間休んだ」という実績ができたら、自分達もどこか好きなタイミングで休めばいいと思います。彼らが1週間休んだ間のフォローをしているわけですから、大分有給の申請は通しやすくなっているはずです。
③子どものいる家庭
【考えられるメリット】
- 子どもとの時間が増える(休めりゃな!)
【考えられるデメリット】
- 世帯収入が減る可能性がある
まあ確かに休めれば政府の考えるようなメリットをが享受できるかもしれませんね。
ただ、これにより金銭的な負担が増える場合だって考えられます。例えば、
- どうしても休めなくて、結局有料でどこかに子どもを預ける
- 片方(例えば母親)はパートタイムで働いているため、キッズウィークの期間は純粋に収入が減る
とかですかね。上記の例によらず時給で働いている人の場合は、収入の直接的な減少に繋がる懸念があります。1週間分って結構大きいですよね。
業種別に影響を考える
※こちらも特徴的な区分にざっくりわけています。
①大企業
比較的この企画に乗りやすい業種その1。
大企業が故に国の施策に同調しているところを内外に示す必要があるという世間体、比較的大きな人的リソース、等によりキッズウィークが推進される企業が出る可能性は多いですね。
それでもそうそう簡単に「全社で1週間休み!」とは行かないでしょうから、独身組は「子どもがいる人を休ませた」という実績をきっちりと自分の有給取得に繋げる根回しが必要ですね。
②公務員
この企画に乗りやすい業種その2。
というかお国の施策を公務員がガン無視というわけにはいかないでしょうから、何かしかの形でお休みできる事になると思います。
まあ、このキッズウィークで一番休めそうなのが公務員というのが、一般の人の反発を生んでいる一番のファクターかもしれませんが。
しかし、地方公務員たる学校の先生が休めるのであれば、それはメリットの1つになるかなと僕は思っています。
③中小企業
この企画に乗れなそうな業種その1。
世間体やリソースといった面で優位な大企業だって完璧に上手くいくようには思えないのに、中小で働く人はなおのことメリットを享受できにくそうです。
まだ独身者は元々休みじゃなかった日に働くだけなので損害もないですが、小学校低学年などの小さな子どもがいて休みが取れない人は、その期間の子どもの面倒をどうするか考えないといけないという負担が増えています。
嫌がらせか?
④サービス業等
※ここでは一般的に休日に働く業態の人、という意味でサービス業等とまとめさせていただいています。
一番割りを食う業種。
ゴールデンウィークが一回増えるようなものなので、繁忙期が増えて休むどころじゃない。
1つ前と同様に、サービス業で休めない家庭の子どもはどうしろと言うのでしょうか。
ちなみに休日が増えて消費が増えれば、業界としてのメリットにはなるかもしれません。しかし、それはあくまで業界・企業のメリットであり、今回主眼におかれるべき労働者の立場からは遠いため考慮しません。
総評
一番恩恵を得られるのは?
上で考えてきた諸々を併せて考えると、一番リスクなくメリットを享受できそうなのは「大企業勤務の独身者」か「独身の公務員」ということになってしまいました。
まさかの結果です。
本来恩恵を受けるべき人達ほどメリットを受けられず、下手をすればより苦しい状況に陥ってしまうことになります。
両親サービス業で共働きの子ども等のケースは考えなかったのでしょうか。
これじゃ「公務員のための連休増やしただけ」なんて揶揄されても仕方ないですね。
ネットで多くの人に批判されているように、現状では穴だらけの施策のようにしか見えません。
今後の検討に期待したい、が
現状はまだざっくりとした案の発表のみにとどまっています。今後の詳細を詰める中で良案となっていくことを期待したいですが、前回の失態を国民は忘れていません。
すでにギャグみたいな存在に等しくなってしまったプレミアムなんとやら。
恐らく世の多くの企業において、月の中で一番忙しいかもしれない月末の金曜。ここに設定した無策、無考慮を皆は忘れていません。
どうせネットで皆がどれだけ言ったところで、最終的には押し通してくるわけです。ならば少しでも、一人でも多くの人が、メリットを受けられる施策に成長させてくれることを、一応は期待しておきたいです。
結論:そもそも順序がおかしい
- 1.有給取得を推進したい
↓
- 2・子どもも休ませれは家族の時間も増える!
↓
- 3.企業に協力を要請
なぜこの順番でやろうとしてしまったのか…。一番根深く深刻な問題を後に回すから、どこかに歪みや皺寄せが出ちゃうんですよね。
- 1.有給取得を推進したい
↓
- 2.適正な休暇が取れる環境を作る
↓
- 3.子どもも休ませて、家族の時間の増加・消費の拡大・地域の活性を実現する
こうであるべきはずなんですよね。
結局どうやって適切に休暇を取るかという観点では、まったく根本的な解決に至っておらず、まるで関係のない所を一周するような議論になってしまいました。
これなら、「有給取得率が○○%を越える企業は税制面で優遇する」なんてルールを作った方がよっぽど早いんじゃないですかね?
連休で旅行に行きたい・・・・。
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