最新作『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケ―の魔女』の公開に先立って、前作の『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』を改めて見直したので、ちょっとした感想や好きなセリフなんかを書いていきます。
がっつり内容ネタバレありますのでご注意ください。
また、記載している内容はすべて書いている僕個人の感想や考察になります。僕自身知らない情報や間違っている認識などもあるかもしれませんが、その点ご理解いただきニュータイプのように違いも超えて理解しあえる心でご覧いただければと思います。
目次
作品概要
監 督:村瀬修功
公開日:2021年6月11日
時 間:95分
富野 由悠季による小説作品『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の映像化作品。
舞台は宇宙世紀0105年。シャアの反乱から12年後、ラプラス宣言から9年後の世界。ブライト・ノアとミライ・ヤシマの息子であるハサウェイ・ノアを主役とした物語。
キャッチコピーは「その閃光は人類の希望」「シャアの理想とアムロの情熱 2人の意思を継ぐ者」
全体を通しての感想とか考察など
本作はどの世界線なのか
そもそも本作の原作小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』は、同じく小説の『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』の続編として作られており、映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』とは話が繋がっていない作品になります。
今回映像化するにあたってそこはどうするのかと思っていました。公式からの明言は(多分)無かったと思いますが、基本的には映像作品である以上同じく映像作品の映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』から繋がっていると考えるのが自然かと思います(つまり小説版とは似て非なるもの)。
また、冒頭のOPの映像に出てくるアムロの機体も通常のνガンダムになっている(小説ではHi-ν)ので、本作は映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』から続く世界線の物語と考えていいと思います。
噛めば噛むほど面白さがわかるタイプの作品
作品の総評としてはまあまあ楽しめた、といったぐらいだったと思います。
好みで言えば近い時期にやっていた『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』の方がどちらかと言えば好きだったかな。
登場人物たちの会話が結構難解で、しかも戦闘シーンも映像は凄いものの構図やカット割りが結構見辛く感じるものになっているので、初見の時は十分に楽しめなかったというのが本音です。ただ、改めて配信等で観直していくうちに、会話の意味や戦闘シーンの演出のこだわりなんかも見えてくるようになりました。繰り返し見たり色々な人の考察を見たりして、噛めば噛むほど面白さがわかって来る作品、という感じだったんじゃないかと思います。
キャラ同士の会話が難解
本作の登場人物の会話はシリーズの中でもかなり難解な方だと思います。その主な要因はやはりヒロインであるギギ・アンダルシアの存在。強い感性を持ったニュータイプでありつつ、電波要素もかなり強いキャラクターで、彼女の参加している会話は特に初見では「何ってるかよくわからない」感が強くなります。
ギギを中心に、ハサウェイやケネスといった、ニュータイプ能力が高い、もしくは純粋にとても鋭く洞察力が高い人物たちの会話となっているため、全員が常に相手の真意の少し先を読みつつの会話なので外から見ている方には難解に映るということだと思います。
ここを作品の良し悪しとしてどう評価するかは人それぞれかと思いますが、映画館で1回見るだけであれば「よくわからない話だった」感が強くなるし、前の項目で言った通り繰り返し見ていくと各キャラクターの真意や会話の裏なんかも見えてくるので面白く感じるようになっていたと思います。
戦闘シーン描写のリアリティ
戦闘シーンの映像のクオリティは凄い。とんでもなく凄い。
本作の特徴としてMSをあくまで機動兵器として描き切っており、非常に高いリアリティを演出していると思います。ただ、その反面画面としては「見辛い」と感じる場面も多くありました。
MSの全身が画面に映っていることが少なく、例えば『ガンダムSEED』シリーズの戦闘シーンのような「ロボとロボのバトル」という要素は少なかったように思いました。戦闘シーンでは特にコックピット内の描写や、パイロット目線での映像が多用されていた印象です。そのため、前述の「ロボとロボのバトルを見ている」というよりは、「機動兵器による戦闘に参加している」ような印象を持つ映像になっていたと思います。ここは前にも名前を出した『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』等とは対照的な表現だと思います。
また、ホテル襲撃後のハサウェイやギギが生身でMSの戦闘から逃げているシーンでは、MSの下半身だけの描写や下から見上げるカット(自然とMSの顔は見辛く不気味な印象になる)が多く、ここも「ガンダムの戦闘シーン」というよりは一種のパニック映画のような描き方が特徴的だったと思います。
この辺の表現については他のガンダム作品と比べても本作はかなり尖っているというか挑戦的で、どっちが良い悪いとか上下とかではなく、見る人の好みによって評価が分かれるといった感じだと思います。
BGM・挿入歌
正直ガンダム映画ではだいたいそうだと思いますが、BGM・挿入歌はやっぱりどれも良かったですね。
今回は澤野弘之っぽさ全開の楽曲ばっかりでどれも非常にカッコよかったです。
・OP
「Möbius」(Hiroyuki Sawano feat. mpi & Laco & Benjamin)
・ホテル襲撃シーン
「TRACER」(Hiroyuki Sawano feat. Benjamin)
・ED
「閃光」([Alexandros])
地名が多い
本作では東南アジアやオセアニアの地名がよく出てきます。ダバオとかアデレードとか。
個人的な感覚かもですが、それだけでなんかちょっとテンションが上がるというか海外旅行に行きたくなりますね。出てくるのはほとんど実際の地名であり、マフティーと連邦双方に地理的な事情やパワーバランスもあるはずなので、地図を片手にいまどこで何が起きているのかを考えながら見るのも楽しそうです。
チェーンの件は?
本作は前述の通り映画『逆襲のシャア』から続く物語になっているのが濃厚です。
そうするとこのハサウェイはチェーンを殺したハサウェイということに。そこが完全にノータッチだったのがやっぱり気になる。
ハサウェイが苛まれるべきなのはクェスではなくてチェーンの幻だろ?という所ですね。ここに関して本作のハサウェイがクェスクェスとばっかり言っていたのが気になりました。
好きなセリフや気になるシーン
好きなセリフ、印象に残ったセリフや、気になるシーンなどを順番に。
・アデレード会議
冒頭のギギのセリフで初めて言及。本作の中心にもなる重要なキーワード。
ここで可決されようとしている「地球帰還に関する特例法案」を潰すのがマフティー(ハサウェイ)の目的。
アデレードはオーストラリア南部に実在する都市で、南オーストラリア州の州都。一年戦争ではジオン軍に制圧されていたようで、他のガンダム作品では『機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…』で名前が出ていた。
・「マフティーは宣言した。連邦政府の閣僚を暗殺した後で、地球環境のために全ての人類は地球から出なければならない、と」(ケネス)
・「例外なく、ね」(ギギ)
ケネスの口からマフティー(ハサウェイ)の目的の説明。その前にギギも言っている通り、『逆襲のシャア』のシャアに通じる行動理念になっている。
ギギの口から発せられた「例外」という言葉は本作のキーワードにもなっている。
・ギャプラン
偽マフティー達が乗ってきたブースター付のギャプラン。原作小説はサブフライトユニット(ベース・ジャバ―とか)だったみたいなのでここはファンサービスかな。
・「悲鳴をあげるな。神経が苛立つ」(偽マフティー)
やけに声のいい偽マフティーの伝説のセリフ。
YouTubeの自動字幕がとんでもない誤変換をしてしまったことにより、非常にシリアスな場面のはずだったのにこのカボチャ男は一転してネットのおもちゃとして愛され続けることになった。
・「スーダン語、アラブ語、古いアイルランド語の構成。というより酷いメドレー。名前じゃないわ。マフティー・ナビ―ユ・エリン」(ギギ)
突然笑いだしてテロリストを含む周りの皆さんをドン引きさせたギギのセリフ。マフティーの名前の由来の説明。
その後空港でハサウェイと会話するシーンで「正当な預言者の王」という意味であることも語られている。
・「やっちゃいなよ、そんなニセモノなんか」(ギギ)
ギギが実際に声を発する前にハサウェイに聞こえていた幻聴みたいなのはクェスの声だった?
その後ハサウェイはあっさりニセモノ達を制圧。最後にハサウェイに銃を向けたピエロの仮面がちょっとクェスっぽかった。
・ダバオ
ハイジャック事件の後ハウンゼンが着陸した場所であり、本作のメインの舞台となる都市。
フィリピンのミンダナオ島に実在する。
・「(ニセモノには)感じなかったんだよな。マフティーの、清廉さ、というのかな」(ケネス)
ハサウェイにも指摘されている通り、一部でマフティーの考えを認めていることを感じさせるセリフ。
・オエンベリ
マフティーとは別の反地球連邦分子が数万集結しているとされるオーストラリア北部の町(ケネスの説明から)。
軽く検索しても出なかったので架空の名称かと思いきや、オーストラリア北部のノーザンテリトリー州ガンバランヤの旧称(?)がOenpelli(オエンペリ)というらしい。ハサウェイが持っていたガイドブックの記載は「OENBELLI」だったのでスペルは違うけど、地図上の場所はダーウィンの東で大体あっていた。
連邦のキンバレー・ヘイマン大佐を司令官とするキンバレー部隊が制圧に動いている。
・オープニング
流れているのは「Möbius」(Hiroyuki Sawano feat. mpi & Laco & Benjamin)。映像も音楽もやたらとオシャレなOP。
ここで映し出される機体は『逆襲のシャア』のものも含まれている。ここのνガンダムがHi-νではなく普通のνガンダムになっていることは、本作が小説『ベルトーチカ・チルドレン』ではなくあくまで映画の『逆襲のシャア』から続く物語であることを示唆していると思われる。
・メナド
インドネシアの都市。スラウェシのミナハサ半島にある。ググるとマナドという名称で出てくる。
植物監視官の訓練中であるハサウェイ・ノアとしての目的地。
・ハサウェイの正体に気づくギギ
空港での会話でハサウェイがマフティーであることを言い当てるギギ。ここで気づいたというよりはハウンゼンの中で気づいていたことを思い出した、という感じか。本作の中でも屈指の難解会話&ギギの電波っぷりが表れているシーン。ハサウェイも「この子は、嘘がわかるんだ」とギギのニュータイプとしての感性の強さを感じている。
・「マフティーのやり方、正しくないよ」(ギギ)
・「他のやり方があるならば、教えて欲しいってマフティーは聞くよ」(ハサウェイ)
・「あるよ」(ギギ)
・「なんだい?」(ハサウェイ)
・「絶対に間違わない独裁政権の樹立よ」(ギギ)
・「(笑う)」(ハサウェイ)
・「おかしい?」(ギギ)
・「そりゃあね。しかし、それができる人間がいるとすれば、それは神様だよ」(ハサウェイ)
・「じゃあ、あなたが神になればいい」(ギギ)
・「そんな人が出てくる頃は、人間全体が神になっているよ」(ハサウェイ)
・「それが、ニュータイプってこと?」(ギギ)
・「そんなのはいないよ、学校で教えられたろ」(ハサウェイ)
子供みたいな理想を語るギギ。でもその理想の行きつく先こそがニュータイプ論か。
しかしハサウェイはもう人類全体がニュータイプになることには絶望してしまっている様子(CCAのシャアのように)。
・マンハンター
地球の不法居住者を捕まえて強制送還する組織。CCAでは冒頭のシーンで家出したクェスを探すのに駆り出されていた。
一部で大人気の股間に機銃を付けた陸戦用ジェガンA型マンハンター仕様が登場。
・「なんでマフティーはハンターを叩かないのかしら」(店員)
・「なんでマフティーはハンターを叩かねえんですかねえ」(運転手)
どちらもハサウェイは言葉を濁していたが、よく考えるとマフティーもマンハンターも「人類を地球から宇宙に上げる」という点で根本は共通している。ハサウェイはすべての人類を、マンハンターは連邦政府に認められていない人間を、という部分が異なっている。
・「学がありすぎんですよ。最後は皆で宇宙に出ようってんでしょ。あれ、わからねえんだよなあ。ダバオって、そんなに環境汚染されてねえでしょう」(運転手)
・「でも、緑は少なくなって、魚だって捕れないだろう」(ハサウェイ)
・「島のみんなぐらい、食っていけますよ」(運転手)
・「マフティーは、千年先のことを言っているようだけど」(ハサウェイ)
・「(笑う) 暇なんだねえ、その人さ。暮らしって、そんな先考えている暇ないやね」(運転手)
・「暇?」(ハサウェイ)
・「でしょうが。地球居住許可証を手に入れるんで、エラい人につぎ込む金のことを考えたら、明後日のことなんか考えられないねえ」(運転手)
・「明後日のこと、か・・・」(ハサウェイ)
ここも一部で人気なハサウェイと運転手の会話。理想と現実の対比がよく描かれているが、話をちゃんと聞いているとこの運転手も連邦政府に金(賄賂?)を払って地球に居住している"特例"側の人間であることがわかる。どちらが正しい、ではなく、どちらも間違っているがどちらも一理あるという、この後のハサウェイも言っている「仕組みの深さ」による歪みを表している会話。
・ケネスとハサウェイの会話
ここの男子トークは好き。ケネスが非常にいいキャラクターをしている。あと電気もつけずにナイフとフォークでお行儀よく食事しているハサウェイが怖い。
・「じゃあ教えてくれよ、この仕組みの深さを破壊する方法を。人類全部が、地球に住むことはできないんだ。でなければ、シャアがおこした反乱も、あの時死んでいった人たちも慰められない。例外規定がある限り、人は不正をするんだ。」(ハサウェイ)
ハサウェイの行動理念を端的に表したセリフ。宇宙世紀における人類の宇宙移住におけるこの例外規定が本作の根幹のテーマといってもいいもの。
・メッサーの出撃シーン
ここが非常にカッコいい。流れているのは「TRACER」(Hiroyuki Sawano feat. Benjamin)。
劇場での初見では『ガンダムNT』のナラティブガンダムの初登場シーンを思い出したあちらの曲は「Vigilante」。澤野弘之かなと思ったら澤野弘之だった非常にらしい楽曲。
ちなみにここでガウマン(シベットかも)が言っている「わがギャルセゾンの前に、障害物無し」のギャルセゾンはマフティーが使用しているサブ・フライト・システム。
・「巻き添えの方々の霊には、哀悼の意を表する。勘弁してくれ」(ガウマン)
ハサウェイが主人公であること、連邦が腐敗しまくっていること、そして津田健次郎のイケメンボイスのせいで忘れてしまいがちだが、マフティーが純度100%のテロ組織であることを表したセリフ。勘弁してくれ、じゃねーよ。
・「やっぱり、怖いことするよ、あなた」(ギギ)
確かに自分のいるホテルを襲撃させるなんて尋常じゃない。
・「あれが新型という奴なら、アナハイムはやりやがったってことだ」(ハサウェイ)
飛行するペーネロペーを見て。マフティーにも連邦にもミノフスキー・フライトを搭載した最新鋭機を供給しているという、アナハイムお馴染みのやり方。
・「気に入らないね。あんたの弱点が出たみたいな感じがするよ」(エメラルダ)
ギギを捨てられないハサウェイに。
仲間にもそれ思われてるんかい。
・「敵を抱え込んでいるんだ、色々とな」(ハサウェイ)
ハサウェイがエメラルダに言ったセリフ。
これも初見は良くわからなかったけど、ギギが敵にも味方にもなる要注意人物であることを伝えている?
・クェスの幻
ケネスの方に走っていくギギを見て、CCAでシャアの元に走るクェスがフラッシュバックするハサウェイ。
そしてなんかゼットンみたいな電子音を響かせながら飛来するペーネロペー。
・「キルケー部隊だ、いい名前だろ」(ケネス)
中略
・「獰猛な動物を大人しくさせるキルケーの魔法。太陽神のヘイリオスの娘」(ギギ)
第二部のサブタイトルにも使われていキルケー。
・「いくら高い理想を掲げても、そんなに人を殺してたら、いつかはマフティーが生け贄になるなって」(ハサウェイ)
本人が言っているわけだから覚悟はできている、みたいな意味か。
・「冗談じゃねえ、勝手にドカンドカンやっておいてよお。クソテロリストが」(市民)
マフティーの犯行声明に対して。直球ドストレートの正論である。
・「戦場にいる人間は、げんを担ぐんだよ」(ケネス)
・「そうかなあ。でもハサウェイは私を避けていたけど」(ギギ)
これでケネスにハサウェイ=マフティーであることが感づかれる。初見では最初は意味がよく分からなかった。ケネスさん鋭すぎである。
・ハルマヘラ島
インドネシアのモルッカ諸島にある島。
この島の沖合でハサウェイのΞガンダム空中受領及びレーンのペーネロペーとの対決が行われた。
・ペーネロペーに乗せられるガウマン
このシーンで気になるのはやっぱりレーンの「ペネロペ―」呼び。
・「身構えている時には、死神は来ないものだ、ハサウェイ」(アムロ?)
Ξガンダムを起動するときにハサウェイの耳に聞こえてきたアムロの声。ゲームなどからハサウェイのセリフという印象もあったけど、本来はアムロのセリフ。
・エンドロール後のワンカット
エンドロール後に画面に意味深に映し出されるワンカット。
「Australian continent Northern territory OENBELLI 2days ago...」
そのまま訳すと、
「オーストラリア大陸ノーザンテリトリー州オエンベリ 2日前」
画像は破壊されたグスタフ・カールの頭部の上で連邦の旗を燃やす人物。オエンベリの反連邦勢力と思われるが、2日前ということなのでこの後キンバリーの部隊に壊滅させられるのか。どのみち第二部に繋がる内容ではありそう。
さいごに
ということで閃光のハサウェイ第一部の感想&気になった点・好きなセリフでした。
劇場で最初に見た時はやはりあまり刺さりはしなかったんですが、細かい描写とか登場人物の会話とか、深堀りすればするだけ楽しめる作品ではあると思います。
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