ゆめろぐ

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自由を夢見るアラサー社畜が日々の思いを書き留めていきます。仕事、趣味、生活についての雑記ブログです。基本平日22時、休日は不定期に更新。

「Jドリーム(完全燃焼編)」(おすすめサッカー漫画のレビュー&名台詞)

Jドリーム(完全燃焼編)/塀内夏子


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【あらすじ/概要】

いよいよ始まるフランスW杯アジア予選。前回あと1歩のところで涙を飲んだドーハ組のベテラン、年代別とはいえ世界を制したワールドユース組、そして新たに加わった新戦力。厳しい最終予選の中で、レギュラー争い怪我人やスランプ、思わぬアクシデントが次々と続出しながらも、日本がW杯初出場を掴むまでの姿が描かれる。作中では特に、ベテランの精神力がチームを助けながらも若手選手に世代交代をしていく物語が、ベテラン側、若手側それぞれの心情とともに感動的に描かれている。


Jドリーム - Wikipedia

【基本情報】

作者: 塀内夏子
雑誌: 週刊少年マガジン
連載: 完結済
巻数: 8巻(単行本)、4巻(Kindle)
前編: 無印編、飛翔編


【データ】

国内――――――――――海外  *1
現実☆☆☆☆☆☆☆☆★★奇抜  *2
クラブ★★★★★★★★★★代表  *3
戦術☆☆☆☆☆☆★★★★個人  *4


※個人の感覚です。
※W杯予選のみを描いた作品のため「国内/海外」は評価なし。


 

【こんな人におすすめ】

  • 衝突を繰り返しながらチームとして結束・成長していく熱い人間ドラマが好きな人。
  • 読んでいて感情を揺さぶられるような、キャラクターの内面描写が上手い漫画が好きな人。
  • W杯に出ることが当たり前でなかった時代の辛く苦しいアジア予選やドーハの悲劇・そして日本が初めてW杯に出ることが決まったジョホールバルの感動を覚えている人。
  • 上記は知らないけれども日本代表の試合を見るのは好きで、過去の歴史にも興味がある人。
  • 前作までのJドリームシリーズを読んだ人は絶対!
  • 日本のサッカーを愛するすべての人。

 

【レビュー】

Jドリームの完結編。集大成。過去の2編はこの時のために、フランスに行くためにあったんだ。

無印編でドーハの悲劇を経験したベテラン選手たち、そして飛翔編で躍動した若手たち、そして新キャラも加わって日本初のW杯出場・フランスを目指す戦いを繰り広げます。
当然そこには、ベテランと新鋭とのポジション争いや様々な苦悩・葛藤も描かれています。作者の塀内さんの本領発揮です。読者としては前作までに登場したベテランと若手の両方に思い入れがあり、また新キャラも魅力的な奴が多く、さらに作者の心情描写の巧みさもあって、試合の行方よりも各ポジション争いをどう決着させるのか!?という方が気になって読んじゃったりします。

  • 無印編→1994アメリカ大会予選(ドーハの悲劇)
  • 飛翔編→ワールドユース編
  • 完全燃焼編→1998フランス大会予選(ジョホールバルの歓喜)


歴史的にも周知の事実なので、ネタバレにはあたらないと判断していっちゃいますが、本作の最後で上記の通り日本がW杯への初出場を決めるシーン(ジョホールバルの歓喜)が描かれます。


僕も正直ドーハの悲劇は完全に記憶がなく、ジョホールバルの歓喜がかろうじてなんですが、あのころ本当に日本はW杯への熱に沸いていたように思います。
我々を含む若い世代にはW杯に出るのが当然のように思えますが、プロリーグができるさらに前から日本のサッカーを知っている人たちには本当に遠い夢だったんですね。
それを踏まえて最終戦終了後の歓喜のシーンを読んでいると、無印編・飛翔編からの積み重ねもあって、涙なしには読めません(もう何回目かの再読かわからないのに毎回そう)。



無印編・飛翔編・そして本作の完全燃焼編までの3作からなるJドリームシリーズ、サッカーを愛するすべての人にすすめたい、間違いなしの名作です。




※以降ネタバレも含まれるので注意。

 
 

【忘れられない名台詞】

命がけでW杯にいきたい、その執念がドロドロとうずまく国同士の戦いだ
 
”なかよし”じゃ勝てない
”戦争”が始まるんだぞ!
 
トレーナー 小林宏 (単行本1巻)

 
初戦に勝利して浮かれる鷹と、不気味な警告を投げかける新キャラ伊達。
不機嫌になってしまった鷹にシリーズもう一人の主人公(と僕が思ってる)小林さんがかけた言葉。

前作の飛翔編は若さあふれるキラキラとした青春編でしたが、汚い大人の戦い(言いすぎか?)が始まるんですね。初めからガチガチに引いて時間かせぎをする相手・不可解な判定・異常に短いロスタイム(日本が勝っていないときに限る)など、実際の日本代表戦の中継でも見られるような、スポーツの爽やかさだけじゃない部分が見事に描かれています。本当に、「つらく苦しいアジア予選」を書かせたら最高です。



この戦いは長丁場だ
この先きっと・・・きっとベテランの力が必要になる時がくる!
チャンスはまたくる!その時に、
 
もどってこい!!必ず!

 
トレーナー 小林宏 (単行本1巻)


若手主体にシフトしていこうとする日本代表。新鋭の吉川にとって変わられる形で代表から落選したベテランの嶋ですが、試合当日にはスタジアムまでメンバーを激励に来ていました。
その嶋に小林さんがかけた言葉です。

これに対しての嶋の「そのつもりです!」の台詞も表情もすごくいい。


あの音は・・・
W杯を狙う男たちの、骨のきしむ音だ

  
トレーナー 小林宏(単行本2巻)


色々と歯車が狂い始めたオーストラリア戦で。
かっこいい台詞ではありますが、この台詞のシーンでセンターバックの立浪が退場になります。明らかに不可解な判定ですが、それも審判の質の悪いアジア予選ならではか。

ちなみに作中でもラスト付近で語られますが、本作は大半のメンバーが一度は離脱をしています。上記の立浪のように退場のペナルティーによる出場停止・ゲガ・疲労・ポジション争いに破れて、等々。各々がその悔しい経験を経て戻ってくるというのも本作の見所の1つです。
 
 
 

だせ!外だ!
ゲームを切れ!サッカーをするな!!

 
日本代表 北村大地  (単行本2巻)


上の続きのオーストラリア戦で。立浪の退場と失点で冷静さを失った若いメンバーに対してかけた言葉です。実際のサッカーでも味方の退場などの不測の事態が起きたときは、わざとボールを外に出してゲームを切り、落ち着くための時間をとることはあります。

それにしても北村、いつのまにかすっかり頼もしくなって(*´ω`*)
 
 
 

一敗くらいなんでもないって顔をしておけ
今自分たちがしょげかえっていたら敵が本当に強くなってしまうぞ

 
アウェイでもう一度戦うんだろ
顔をあげろ!ロッカールームまででいい!

 
日本代表 伊達勲  (単行本2巻)


結局立浪退場のショックと失点を引きずったままオーストラリアに敗戦します。
これは1つ前の物に続いて実際のサッカーにおいても重要な、至言だと思います。

ちなみに無印編の中国戦で鷹が「徹底的に叩いておいて、どっちが強いかはっきりさせておく」といったようなことを言ってました。負けている時と勝っている時、立場は逆ですが考え方の根本は同じですね。

 
 

鷹の欠場を無駄にしないために
"明日"を勝つために


明日につなげるために!
この試合勝たなければならない!絶対!!

 
日本代表メンバー (単行本3巻)


疲弊した鷹を休ませたジュベスタン戦の開始前に。すでに崖っぷちの日本代表でしたが、後に控えるより重要な試合のために満身創痍のエース鷹を休ませました。
ここは試合中のピッチの描写もいいんですが、控え室でやきもきしながらテレビ観戦している鷹の方もいいですね。

ちなみにジュベスタンは架空の国です。雰囲気的にはウズベキスタンとかカザフスタンって感じの響きですね。
 
 
 

やっとヤジをいってもらえる身分にもどったぜ
 
ピッチにいればこそだよな
 
日本代表 嶋泰明 (単行本3巻)

 
ジュベスタン戦の続き。先制を許しエースも不在の日本代表にサポーターからはブーイングが出ます。
一度は代表から落選しながらも、若手選手の不調もあって代表に戻ってきた嶋ならではの言葉です。やはりこの漫画はベテラン選手がとてもいいです。
 
 
 

サッカーがおまえのすべておまえの生命そのものだということを
 
おまえも知らなかっただろう・・・
 
トレーナー 小林宏 (単行本3巻)


ジュベスタン戦終了後に、ピッチから戻ってきた仲間たちに駆け寄る鷹に向けた小林さんのモノローグ。
ここでの本人すら自覚していなかった鷹の涙も、本作のグッとくるシーンの一つです。
 
  
 

ブラジルやドイツ相手ならともかく、あんな内容で日本と引き分けて大喜びしているチームなんか
 
W杯に挑む資格なんかないよ!
きっちり勝とうぜ!

 
日本代表 嶋泰明 (単行本3巻)


ザハブ首長国との2戦目となるアウェイゲームの前に。このセリフを言った嶋はザハブとの1戦目は代表を落選した時期で、テレビ観戦をしていました。
最初の日本との対決でエースの鷹を負傷させることを狙ったプレーをしたり、あからさまな時間稼ぎをして、試合は引き分けとなりました。

実際のW杯アジア予選でもテレビで観戦していて同じようなことを思うことはよくあるので、地味に好きなセリフの一つです。

なお、このザハブ首長国もジュベスタンと同じく架空の国です。
  
 

何のために伊達がハーフタイムまでがまんをした!
この15分をオレたちに与えるためだろう!?

 
後半戦のためだろう?
 
日本代表 北村大地 (単行本4巻)


サウジアラビア戦のハーフタイムにFW伊達の負傷を聞いて落ち込む鷹に対して。
伊達と北村のツインタワーによる究極のセットプレーの完成が見えた矢先でした。交代が決まった後の鷹への伊達の「すまん」も心に来るものがありました。

実際、ゲーム中(しかも前半)に負傷交代となるよりも、ハーフタイムまで粘ることで、北村の言う通りその15分を使って戦術の切り替えや交代選手の準備などが可能になり残る選手のメンタル的にもダメージが少なくなります。相当のファインプレーと言えますね(痛かったろうけど・・・)。
ちなみに伊達君は防衛大学に所属していて身体も大きく屈強そうですが、なんとなくちょいちょい怪我してるイメージが強いですね。

二人いてよかったな
GKは二人必要だったな
 
あとたのむぞ! 
 
日本代表 富永朗 (単行本5巻)


同じくサウジアラビア戦で。もう失点の許されない場面で決定的なピンチとなった日本を救うために、退場となることがわかっていてもGKの富永は相手を止めました。

そして控えGKでもありライバルでもあった浜本に交代する際にかけた言葉です。1つしかない正GKの椅子を争い、「GKは二人もいらない」と常に競い合っていた二人だったからこそ、この富永のセリフは響きます。 



この熱い思い、たぎる血を再び・・・
三たび代表選にそそぎこむことができる

 
神様、感謝を・・・!
  
日本代表 嶋泰明 (単行本7巻)


W杯をかけた最後の試合となるジョホールバルでのイラン戦。負傷したボランチの柳木に代わり、本来サイドバックのベテラン嶋が出場した際のセリフ。
嶋は最終的には左サイドバックのポジションは新鋭の吉川に譲った形になりましたが、最後の最後で(もう何度目かわからない)復活を見せました。

実際の主人公は鷹、序盤の主人公は本橋、裏の主人公は小林さん、僕の中での主人公は嶋、です(鷹以外は僕の個人的な感想です)。

おまえはW杯へいく身だろう
日本の司令塔として戦うんだろう

 
日本代表 伊達勲 (単行本8巻)


鷹を負傷させようと狙うイランの選手から、得点のチャンスを捨てても鷹を守った伊達の一言。
上のほうで「怪我しやすい」とか言いましたけど、やっぱり伊達君は頼りになります。
防衛大学卒業後は自衛隊任官が決まっており、W杯に出場する気も興味もなかった伊達ですが、仲間たちに感化されて段々とW杯やサッカーそのものに惹かれていく姿もよいです。

イラン戦の終盤で負傷したもののGK用や非常時のために交代枠を残すため、自身の交代を拒否しました。その際に「自分はこの試合限りですから」と言う伊達に対して、北村がかけた「みんなでW杯に行くんだ!!」という言葉も非常に印象的でした。


ちなみに、W杯に興味がなく海外のトップリーグで活躍する選手も知らず、サッカー自体に興味がなく「任務」として試合をこなしていたような印象のある伊達。しかし、オーストラリア戦での敗戦時の対応・サウジアラビア戦で味方のためにハーフタイムまで交代を伸ばさせた判断・このイラン戦での延長まで見据えた交代枠の考え方、などなどむしろ誰よりもサッカーのセオリー・王道を熟知しているような感じさえありますね。

実は伊達君は隠れサッカーオタで、衛星放送も契約して海外の試合も全部チェックとかしてたら面白いなあ・・・。


一人でとった?いいや、みんながフォローに走っていったからさ!イラン代表もさぞたまげただろうよ!
 
この点はみんなで
全員でもぎとったゴールだ!!

  
トレーナー 小林宏 (単行本8巻)


イラン戦で試合をきめる最後のゴールを鷹が決めたシーンで。
鷹一人で相手のほとんどを抜き去ったゴールに見えますが、チームメイトがフォローに走って囮になりスペースを作ったからこそのゴールでした。本作最後のゴールとしてふさわしい、漫画ならではと言えるドラマティックなゴールになりました。


あああ、とうとう・・・
とうとう日本がW杯にでられる日がきたんだ・・・!

本橋、本郷!みてるか?
おまえたちがあれほどまで夢みたW杯が・・・

 
トレーナー 小林宏 (単行本8巻)


「W杯に間に合わなかった選手たち」。本作で度々使用された表現です。
1992年にプロのリーグが発足し、1993年にドーハであと一歩の所で涙を飲み、初めてのW杯出場を決めたのは1997年。当然Jリーグ設立のずっと以前からもW杯出場を夢見ていた選手は無数にいたわけで・・・。それを思うと、ドーハを知らない世代の僕でもこの辺りからは毎回ずっとウルウルして読むことになります。何度再読しても変わらずそうなんですよね。


富永さん、いきましょう!
いっしょに・・・フランスへ!

W杯へ・・・いっしょに・・・
 
日本代表 北村大地 (単行本8巻)


サウジ戦で退場となり出場停止となっていた富永も駆けつけ、北村・嶋・富永の3人で抱き合って泣くシーンで。
会場実況の「ドーハ組3人が泣いております!4年前ドーハであと一歩とせまりながらも悔し涙にくれた3人が・・・」もいいですね。この辺はもう余計な説明は不要かもしれません。


そうだたしかに夢だった
長い長い間

ずーっとずーっと遠い夢だったんだなァ・・・・
 
日本代表 スタッフ陣 (単行本8巻)


W杯初出場が決まったシーンの続きです。
ここももう説明不要です。



さいごに

現在はW杯に出場するのがあたりまえのようになり、決勝トーナメントの進出が実質的な目標となっています。しかし、この作品を読むと当時テレビの前でW杯出場を決めた岡野の最後のゴールを見た記憶が(ぼんやりとですが)浮かび上がってきます。テレビに映る選手・スタッフ・ファン、本当に多くの人が喜び感動していたように思います。

当然、「初出場」というのは1回しか経験できないわけで、時間がたてばそれを知らない世代も増えてきます。それを知っているからどう、知らないからどう、ということではなくて、世代を超えて変わらずに感動できるものというのは確かにあると思っています。

ドーハやジョホールバルを知っている世代、知らない世代、日本のサッカーを愛するすべての人に胸を張っておすすめしたい不朽の名作です。

 
  

 
 
【前作です。あわせてどうぞ!】
www.yumekichi-blog.com
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*1:①「国内/海外」はJリーグなどの国内がメインか、海外リーグがメインかを表します。

*2:②「現実/奇抜」は現実的な表現を多用するか、漫画ならではの奇抜な展開が多いかを表します。

*3:③「クラブ/代表」はクラブチームや部活チームがおおいか、日本代表などの代表戦が多いかを表します。

*4:④「戦術/個人」は試合の中で戦術的な要素が多いか、個人技的な要素が強いかを表します。